手がかかる子ほど可愛い!?「ジャズマスター」というギターの話。
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
あまざけです。
学生時代に趣味でバンドをやっていた僕。
さまざまなギターを弾いてきた結果、個人的に一番かっこいいと感じたギターの紹介です!
■Fender USA American Vintage '62 「Jazzmaster」
上記写真が我が相棒の「ジャズマスター」。
2009年、大学生のときに購入しました。
フェンダーUSAの「アメリカン・ヴィンテージ」シリーズ。
1962年に発売されたモデルを再現したジャズマスターです。
漆黒のボディ、べっ甲柄の大きなピックガード。
クリーム色のピックアップ・コントロールノブ・トグルスイッチ。
いやー、かっこいいですねぇ!
・名称の由来
「ジャズマスター」という名の通り、ジャズを弾くことを想定して作られたギター。
1950年代のジャズではGibsonのレスポールやEpiphoneのフルアコ系のギターが多く使われており、フェンダー社のレオ・フェンダーがそこに対抗するために製作したギターが「ジャズマスター」というわけです。
ただしジャズ界ではあまり浸透せず、しかしその独特な音色からサーフミュージック、ガレージロック、オルタナティブロック、シューゲイザーなどのジャンルで広く愛用されるようになります。
・音の特徴
ストラトやテレキャスに比べると、音が太く甘いサウンド。
弦それぞれの音の分離感が良い。
歪ませるとジャキジャキしたサウンド。
低域、中域、高域の音のバランスが良い。
印象としては「荒々しい音」。
・ヘッド
ストラトやテレキャスと比べると大きめのヘッド。
※ヘッドの大きさについては製造年代で違いがあります。
フェンダー社のロゴ(スパゲティロゴ)と、「JAZZMASTER」の文字。
そして何といっても、風が吹いているようなイラストがおしゃれ。
このロゴ等はヘッドに直接描かれているわけではなく、シールのようなもので貼られています。
シールと言っても身近にあるシールとは違って、年月が経っても剥がれることはありません。
僕のジャズマスターは2009年に購入したものですが、シール部分はキレイなままです。
ただ、爪などで力いっぱいガリガリと擦ったら剥がれるかもです。やめましょうね。
・ピックアップ
ピックアップはジャズマスター専用のもの。
これだけで特別感ありますよね。
シングルコイルなのですが、ストラトキャスターなどのそれ↓と比べると大きいですよね。
この大きさがサウンドにも影響していて、太くて甘い音となり、そして純粋に音量が大きいです。
何やらいろいろとスイッチとノブが付いていますが、これはピックアップの切り替えとトーン・ボリュームを操作するもの。
写真左側にある黒いスイッチを左側(ギターを抱えたときは上側)に切り替えるとフロントピックアップのみに作用するコントロール。
写真右側の効果は無視されます。
黒いスイッチを右側(ギターを抱えたときは下側)に切り替えると黒いコントロールは効力を失い、写真右側のコントロールが効くようにスイッチされます。
こちらは、トグルスイッチでピックアップを切り替えることができ、フロント、ミックス、リアを使い分けることが出来ます。
なお、同じフロントピックアップでも音が変わります。
黒いスイッチが左側(ギターを抱えたときは上側)にした場合のフロントの音は、そうじゃないフロントの場合と比べて音が太く丸いです。
ちなみに、「P-90」ピックアップと見た目は似ていますが全くの別物です。
・指板
ストラトと同じ「ロングスケール」
「ローズウッド指板」
ネックとの接着面が直線な「スラブボード」貼り
フェンダーで初めてローズウッド指板が採用されたのがジャズマスターなのです。
なお、1963年頃からラウンドボード貼りに仕様変更されています。
木材の収縮や製造時の作業効率を鑑みるとラウンドボードの方がメリットが大きいですからね。
ですが、「アメリカンヴィンテージ」シリーズは当時の仕様を再現しているので、スラブボード貼りとなっていますね。
・ボディ
他のギターと比較すると、けっこう大きめのボディです。
なので、体の小さい方は重く感じたりするかもしれません。
ジャズプレイヤーが座って弾くことを想定しているのでコンター加工されており、演奏時の体にフィットするようにボディが削られております。
テレキャスターなどの角張っているギターですと体に角が食い込みますが、ジャズマスターは体にフィットするので演奏しやすいのが特長です。
なお、ボディの木材は「アルダー」です。
・ブリッジ
ジャズマスターを語る上で欠かせない「ブリッジ」の話。
ジャズマスターのブリッジは独特で、下記の写真で分かるように、溝の浅いサドルに「乗っているだけ」です。
なので強めのピッキングをすると「弦落ち」(下記写真)してしまうのが難点。
弦落ちの原因としては以下が考えられます。
サドルの溝に弦がフィットせず固定されていない
弦のテンションが低い
強く弾き過ぎ
<原因1>については、ブリッジを別のものに交換するというジャズマスターのオリジナル性を損なう方法で解決します。
フェンダー社の「ムスタング」というギターのブリッジですと比較的弦落ちしにくいそうですし、「MASTERY BRIDGE」という無骨な見た目のブリッジもあります。
ムスタング用のブリッジ
MASTERY BRIDGE社の「MASTERY BRIDGE」
<原因2>については、「バズストップバー」というパーツを使えばテンションを上げることが出来ます。ひゃっほーい!
このバーで弦を抑え込み角度を大きくすることで弦のテンションを上げるというわけです。
そして、「太めの弦を使う」ことも解決策のひとつです。
太いぶん、張力が強くなりテンションも上がること請け合いです。
そもそもジャズマスターはジャズ向けのギターとして作られたので、太い弦を張り、強く掻き鳴らすような弾き方をしないという前提があります。
<原因3>については、ジャズマスターと友達になれば解決します。
急にファンシーな話になりましたが、これは冗談ではなく「本当」だと考えています。
実際の体験ですが、僕は対策を一切していませんが弦落ちしません。
演奏するジャンルもポップ、パンク、ロック、シューゲイザー、アニソンなど様々でしたが、弦落ちしません。
確かに、ジャズマスターを購入した直後半年間くらいは弦落ちに悩まされました。
でも毎日弾いていて扱いに慣れたのか、ある時から急に弦落ちしなくなりました。
ですから、ジャズマスターを弾くことに慣れればどうってことないです!
・トレモロユニット
ジャズマスター専用の「フローティング・トレモロ」。
アームを穴に差し込むのですが、ストラトのようにクルクル回してはめ込むのではなく、グッと差し込むだけで固定されます。
ユニットの構造上、ストラトのような激しいアーミングは出来ませんが、ゆらゆらと漂うような浮遊感のある自然なトレモロを付与することができます。
アームが長いので右手に持ったままピッキングやストロークが出来るので自然なビブラートを付与することができるのが特長ですね。
そして、この謎の丸いパーツ。
これはトレモロをロックするためのボタンで、カチッと動かすことが出来ます。
上記写真ですと、下に動かすとロックがかかります。
ロックするとアームアップができないようになります。
何の為にあるの?ということですが、これは弦が切れた場合にチューニングが狂うことをある程度防いでくれるようです。
・ジャズマスターのシリーズ変遷
少しだけ歴史の話。
ジャズマスターに限らずですが、フェンダーUSAのギターは幾度となくモデルチェンジを繰り返しています。
1958年:オリジナルのジャズマスターが発売。
1999年:「American Vintage」シリーズが発売。
2016年:「アメリカン・プロフェッショナル」シリーズが発売。
2018年:「アメリカン・パフォーマー」シリーズが発売。
2020年:「アメリカン・オリジナル」シリーズが発売。
2022年:「American Vintage Ⅱ」シリーズが発売。
で、僕のジャズマスターは「American Vintage」シリーズ。
製造年月は忘れましたが、僕が購入したのが2009年なので2007年前後に製造されたものだと思います。
・ジャズマスターを使用しているギタリスト
「Number Girl」:田渕ひさ子氏
「My Bloody Valentine」:ケヴィン・シールズ
「Pale Saints」:Graeme Naysmith
「Swervedriver」:Adam Franklin
「The Jesus and Mary Chain」:William Reid
「Ringo Deathstarr」:Elliott Frazier
「Sonic Youth」:サーストン・ムーア
「Television」:トム・ヴァーレイン
「Dinosaur Jr.」:J・マスシス
「LUNA SEA」:INORAN
「toe」:美濃隆章
「BLANKEY JET CITY」:浅井健一
これはほんの一例です。
シューゲイザーやオルタナに限らず、様々なジャンルのギタリストに愛用されているギターです。
■思い出話。
・自分の音楽性が確立されてから買った納得の一本
僕が高校生のときに初めて買ったエレキギターは、フェンダージャパンの「ストラトキャスター」。
ストラトを買った理由は「汎用性」。自分のスタイルが確立される初心者の頃だったので。
ですがその後、自分の音楽の好みやプレイスタイルを自覚し始め、新たなギターが欲しくなりました。
そこで見つけたのが「ジャズマスター」。
・デメリットなんてメリットで搔き消せる。
ジャズマスターの音の特徴やよく使われているジャンルやバンドを調べれば調べるほど、その魅力に惹き込まれていきました。
ブリッジの問題もあって「使いにくいギター」と揶揄されることも多いですが、そんなことよりもその「音色」と「見た目」に惚れ込みました。
ジャキジャキで唯一無二の荒々しい音色。
無骨でもなく優しくもない、中性的なボディ。
当時の僕のコミュニティ内ではジャズマスター使用者が不在だったのも大きな理由ですね。
・足で見つけた至高の一本
ジャズマスターとひとくちに言ってもUSA製、Mexico製、JAPAN製がありますし、楽器ですのでもちろん個体によっても大きな違いがあります。
なので、大阪市・京都市の楽器屋を巡りに巡り、自分に合う納得の一本を見つけることが出来ました。(大阪梅田の某楽器屋で購入)
購入金額は約18万円。USAなのでそこそこの価格。
実家暮らしとはいえアルバイト生活の大学生。
高い買い物でしたが、僕の目にはジャズマスターしか入らなかったので節約も苦じゃありません。
・努力が苦しくない
購入後は今まで以上に練習にも熱が入り、弾きながら寝落ちしたことも何度もあります。
弾き過ぎて指が痛くなっても「弾きたい!」という欲求が勝って弾き続けましたし、空腹を忘れたこともあります。
アイドルの写真撮影のごとく写真を撮りまくってニヤニヤしていたこともありましたねぇ笑。
それぐらい好きになれるギターと出会えたのは幸運ですし、こうやって14年経った今でも好きでいられるということは本当に幸せ。
■さいごに。
あなたにも「自分にはこのギターが一番!」という一本が見つかることを祈っております。
ではでは。。
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