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コロボックル物語


朝、ふっと思いたち、神奈川近代文学館で開催中の
佐藤さとる展 ー「コロボックル物語」とともにー
に行ってきました。
今は予約制になっているのも
知らずにいってしまいましたが、
幸いにも空いていたので入場できました。
さらに、幸いなことに、貸切状態でした。

私は小学生の時から
コロボックル物語が大好きでした。
まず、「コロボックル」という響きが
異国的で心惹かれました。

コロボックルとは

アイヌの伝承に登場する小人です。
アイヌ語ではコロポックル、
蕗の下の人」という意味です。


ちなみにアイヌ語では
[p]と[b]は同一の音素で、区別しないため、
コロボックルともコロポックルとも言うそうです。
「コロポックルの神さま」
というお話しを小学1年生の時、
先生から聞いた記憶があり、
私はいつか遠い北海道に住む小人さんに
会いたいとずっと思っていました。

図書室に「床下のこびとたち」を
見つけた時は小躍りしました。
メアリー・ノートンの「小人の冒険シリーズ」です。
そう、アリエッティの物語です。
もちろん舞台はイギリス。



日本のコロボックル、イギリスの小人たち
この人たちがお友達になったら、
どうなるかしらと想像したものでした。

佐藤さとるさんの生涯

佐藤さんは横須賀逸見で過ごした幼年時代を
わんぱく天国」で生き生きと描いています。
下の絵はご自身でお描きになった当時の風景です。




佐藤さとるさんの生涯です。



佐藤 さとる(さとう さとる、本名:佐藤 暁(読み同じ)[1]、1928年2月13日 - 2017年2月9日[2])は、日本の童話作家。本名名義による作品もある。既婚。日本文芸家協会会員[3]。

父・佐藤完一は海軍軍人で、ミッドウェイ海戦で戦死。アララギ派の歌人でもあった。母は小学校教員。父方の叔父佐藤真樹は「コスモス」の歌人で、その娘は奥村晃作と結婚した。
10歳まで神奈川県横須賀市で育ち横浜に転居、以後横浜を拠点として創作活動を行う。2歳上の双子の姉から字を教わり、5歳の頃に初めて「イソップ物語」を読み、アンデルセンやグリムの童話にも夢中になった[4]。
戦後、日本童話会に入会、童話創作を志す[5]。1949年児童文学者後藤楢根の紹介で長崎源之助と出会い、長崎と一緒に平塚武二に師事[6]。1950年、長崎、いぬいとみこや神戸淳吉らと、同人誌『豆の木』を創刊する。
実業之日本社で編集者生活を送った後、作家となった。「日本初のファンタジー小説」と謳われる『コロボックル物語』シリーズをはじめとするファンタジー的作品で知られる。

いぬいとみこさんの
「北極クマのミーシカ、ムーシカ」
小学校一年生の最初に読み聞かせの時間で
読んでもらった大好きな一冊。

小さな国ファンタジー」完成時は
瀬田貞二、坪田譲治もお祝いしています。

色紙には松谷みよ子さんのサインも。
村岡花子とも交流がありました。

なんて素敵な時代なんでしょう…。
ファンタジー物語の黎明期です。

展示会場で


丁寧に展示された会場は
静謐な空気に包まれていました。

愛読書にネズビット「砂の妖精
ああ、やっぱりね。私も大好き!

そして、
最晩年に手元に置いていた資料、蔵書の展示です。

⚫︎メーテルリンク作 菊池寛訳
「青い鳥」1928年「小学生全集」75巻
⚫︎石川達三「ろまんの残党」1980年
⚫︎モンゴメリ作 掛川恭子訳 
「アンの夢の家」2005年 

まあ!「アンの夢の家」を人生の
最後まで読んでいらしたなんて…
親近感をぐっと持ちました。


ミッドウェイ海戦でお父様を失くされた佐藤さんは
戦争を嫌っていました。
二度と戦争を起こしてはいけないと
考えていていました。

根底にある人間の哀しみ、優しさ、憎悪、和解、
を深く掘り下げて物語をお書きになっていたのでは、
と思いました。

佐藤さんの思いをしっかり受け止め、
世界観を表現された村上勉さん。
村上さんの絵があって、
コロボックル物語は多くの読者を得たと
言えるでしょう。


強く願って

佐藤さとるさんの自筆の文章があります。
写真撮影できないので、iPadに速攻で打ち込みました。

〜自分が生きてきた道をふりかえってみると、心の底から願っていたことだけは、わずかにかなえられているようだ。
もちろん願ってかなえられなかったほうが、山ほどある。
しかし、よく考えると、それらは心底願っていたことがかなうための必要なギセイ、不可欠な條件であったらしい。だから、望み実現には、先ずなにを最優先とするかをみきわめること。(こいつは現実にはむずかしく、多分潜在意識にゆだねる問題かもしれない。)そして、とにもかくにも強烈に望むことである。
強く願えば、きっと実現する。そしてこういう心の働きのことを、多分『祈り』というのだろうと思う。
《制作ノートに記された言葉から》

私も強く、強く、願っていきたいと思いました。

#佐藤さとる
#神奈川近代文学館
#佐藤さとる展
#コロボックル物語

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