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良い感じの読書生活ゲーム(4)

 あなたが自分で幸せになるための「良い感じの読書生活ゲーム」を紹介している。このゲームは3つのステージがあり、3つ目の応用ステージを紹介する。ちなみに、前回は以下のリンクを参照。

応用ステージの紹介

1.応用ステージは実践ステージの「オプション」

 応用ステージは、実践ステージに対して「ローカルルール」や「特別ルール」を追加していくというもの。実践ステージに「オプション」や「プラグイン」を追加するようなイメージ。

 実践ステージは、リーグ戦の読書によって「快楽とやりがいの両立」を目指す。これを「読書生活ゲームの原型」とした時、応用ステージは自分なりのオプションを追加して行って読書生活ゲームそのものを変えていく。応用ステージを進めるに従って、あなただけのオリジナルな「読書生活ゲーム」になっていく。

 なぜ幸せになるためにゲーミフィケーションを利用するかというと、ゲーム化することで、幸せになるための「構造と作用(ストラクチャ・アンド・エージェンシー)」を自分に与えることができるから。幸せになるための構造と作用が働くことで、なんとなく読書生活ゲームを進めることで、いつの間にか幸せになっている状態を目指す。(参考書として『構造と力』を紹介します。)

2. 応用ステージのルール

 応用ステージで最も重要なルールは「実践ステージのルールを逸脱しないこと」。

【ルール1】骨子は基本ステージと同じ。読書リストをつくり、読書記録を付けて、定期的に振り返りを行うこと。読書して、読み終われば読書記録を付ける。これを守る。

【ルール2】一つ前の実践ステージのルールを逸脱しないこと。実践ステージのルールで重要なのは以下の2点。

  • 2-1:読書リストに、「(1) 次に読みたい本の一覧」、「(2) 読んだ本の一覧」、「(3) 振り返り結果」の欄を用意する。読みたい本と読んだ本の構成を考えてカテゴリ化していくところが、実践ステージの妙。読書リストの巧拙が「読書生活ゲーム」の成否を分ける。

  • 2-2:振り返りを二段階で行う。一段目は短期間(1ヶ月程度)で読んだ感想を振り返る(単試合の振り返り)。二段目は四半期・半期・1年といった長めの期間で、読書構成をカテゴリ単位で振り返る(リーグ戦の振り返り)。

【ルール3】ルール1、ルール2の前提の上で、実践ステージに蓄積するように追加ルールや追加オプションを足していく。二段階目の振り返りの中で、オプション追加が有効か見定めて、適宜オプションの追加と削除を繰り返す。

3.応用ステージのクリア条件

 応用ステージのクリア条件は、実践ステージと同じ。「振り返りで幸せを実感して記録することで満足できたか」どうか。別に誰もあなたの記録を見て論評などはしない。あなた自身が、自分に満足するかどうかがこのゲームのすべて。

 読書生活ゲームの結果は、このゲームを行わなかったであろう自分との比較が鍵を握る。想定されるゲームの結末は、実践ステージと同じで以下の通り。

  1. 失敗。全てのカテゴリで満足が得られなかった。

  2. 学習。一部のカテゴリには満足いかないが、次につながる学びがあった。

  3. 達成。全てのカテゴリで目標をクリアし、学びや気付きを得た。

  4. 成功。このゲームを通じて幸福度の上昇を実感できた。

 一つ前の「実践ステージ」でマンネリ化してくると、振り返った時に読書生活ゲームの結末として「達成」に留まる場合が出てくる。不満はないけれど、幸福度の上昇を感じなくなってくる。このような状況になった場合、応用ステージとして、オプション追加を試すと良い。

応用ステージとして何を追加するか

 応用ステージとして挙げることのできるオプションは多数ある。しかし多くが理屈っぽく偏ったウンチクであり、役に立つかどうかちょっと怪しい。以後、きっと多くの人に当てはまるであろう追加オプションに自制して紹介する。(自分なりの読書論は、いつか「読書生活ゲーム」とは別で紹介できればと思う。)

 応用ステージの追加オプションとして、『両利きの経営』の考え方を援用して「読書の深化」と「読書の探索」の2方向で考える。

応用ステージの方向性1:読書の深化

 応用ステージとしてルールを追加することで、読書を極めて幸福度を高めていく。ただし、読書を極めたところで幸せになるとは限らない。そのため、定期的な振り返りの中で、自分に合ったルール追加となっているかどうかを確かめる必要がある。

1.追加ルール(1)可視化して集計することで自分を知る

 集計して振り返ることで幸せを感じる場合がある。例えば、ランニング好きな人でも、月ごとに走った距離を記録して喜ぶ人とそうでない人がいるように。読書生活ゲームは読書記録をつけるが、この記録を細かく記録して集計することで、振り返る時間の充実度を高めることができるかも知れない(注意:人による)。例えば、以下のようなルール追加を考えてみると良い。

  • 読了した本ごとに★評価を付ける。年度で★4や★5の本を並べて「読んで良かった本」を振り返ってみる。振り返った結果をブログなどに書いてみて楽しむ。

  • 月単位でカテゴリごとに読んだ冊数を記録し、読了ペースを可視化する。読了ペースを維持できたことに、改めて達成感を感じる。

  • 振り返りを使って、集計結果から、自分はどのような人物なのかを客観視して記録する。「自分と同じ本を好む人物がもう一人いたら、その人はどんな人だろう」と夢想して楽しむ。

2.追加ルール(2)気分がアガるアプリを使う

 応用ステージまで来たのなら、ケチらず有料でもいい感じのアプリを使うのも一手。実のところ、アプリの出来はバカにできない。Appleのメモアプリや、Google Keepや、MicrosoftのWordなどでも十分管理できるが、素敵なアプリを使う方が気分はアガる。

 相性の良いアプリはそれこそ人それぞれだろうが、おすすめはハイセンスなジャーナルアプリを使うこと。Appleユーザなら「Day One」や「Moleskine Journey」あたり。いずれも有料だが、気に入ったアプリを使うと読書意欲が高まったりする。他で言えば「ビブリオ」や「honto with」のような読書支援アプリを使っても良い。組み合わせて使うのもアリ。

3.追加ルール(3)本の読み方と読書療法を知る

 本の読み方に関する理論として、ローゼンブラットの「読者反応理論」は知っておいて損はない。この理論は発表されて50年以上経過しており、推奨も批判も多く出ている。詳しくはGoogle検索(Googleスカラーでの検索がおすすめ)して調べて欲しい。
(リンク)読書反応理論の検索結果
https://scholar.google.co.jp/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88+%E8%AA%AD%E8%80%85%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E7%90%86%E8%AB%96&btnG=

 読書反応理論では、読者が文章を読むときの姿勢を、(1)審美的な読み方(美や喜びを味わうエステティク(aesthetic)な読み方)と、(2)導出的な読み方(成果を求めて情報を取り出すエフェレント(efferent)な読み方)に分けて論じている。ポイントは、1つの本を読む時にこの両方の姿勢を意識するということ。

 本の読み方に関する理論として、他にも読書療法(読書セラピー)がある。興味があればご自身で調べてもらうとして、読書療法のポイントは「没頭」にある点を押さえておくと良い。読みやすい本が没頭しやすいというわけではない。難しくても夢中になれれば没頭できる。「他人の意見などどうでも良い」と思えれば、読書療法として成功しているも同然と言っちゃって良いと思う。

(リンク)日本読書療法学会
https://bibliotherapy.jp/about-us/

4.追加ルール(4)読書に関する本を読んで参考にする

 読書を深めるための追加ルールとしておすすめできるものは、まだまだある。しかしここでとめどなく挙げても、読む方が疲れるだけだろう。「読書の深化」によって幸せを感じるためのルールとして、最後に「読書に関する本を読む」ことをお勧めしたい。

 本の読み方は実に多様である。この多様さに気づき、自分の読書スタイルを振り返る上で、読書読本を読むのは有効である。なんだかいろんな人が読書について語った本を出している。ちょっと見てみて、相性の良さそうな読書論に出会ったら、ぜひ買って手元に置いておくと良い。

 読書読本はたくさんある(無駄に多いとすら思える)。その中でマニアックではなく一般向けと思える一冊として齋藤孝さんの『読書する人だけがたどり着ける場所』を紹介する。どれを読もうか迷っている人への最初の一冊として。


 応用ステージの方向性として、もう一つ、読書以外の活動と読書生活ゲームをつなげていくというものがある。これを「読書の探索」と呼んで、別のエントリーに分けて紹介する。(つづく)

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