プロレス・スーパーヒーロー列伝 傲慢と偏見、ブルーザー・バンディット編【短編小説】
三年ぶりに訪れたアマリロは相変わらず埃っぽかった。町を出ればすぐそこにあるのは砂漠であるから当然なのだが、まだ五月だというのにテキサスの太陽はすでに日本の真夏のそれと変わらない輝きである。しかし空気が極度に乾燥しているので、皮膚に浮かんだ汗はすぐに蒸発し、さらりとした感触だけを残していく。蒸し蒸しした日本の夏とはそこが大きく違うところだろう。私は市の郊外の空港で借りたレンタカーで、そのまま今回の目的地に向かっていた。町の中心からさほど離れていない、商業地区の外れにある倉庫で