統失2級

30歳の時に統合失調症と診断された男です。発症前はパチンコ店員やトラック運転手等をやっ…

統失2級

30歳の時に統合失調症と診断された男です。発症前はパチンコ店員やトラック運転手等をやっていました。今は精神薬のお陰で本が読める迄に回復し主に小説を読んでいますが偶にノンフィクションも読みます。noteにはショート小説や統失の闘病記や格闘技のエッセイや読書感想文等を投稿しています。

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【幻聴の話】 エッセイ

過去には、あれだけ僕の事をいじめて苦しめていた幻聴たちも、今ではすっかり無害な存在に変り果ててしまい、今では完全に僕の暇潰しの玩具と化しています。現在の幻聴は僕が話掛けた時に返事をする程度になり、自分から話掛けて来る事は皆無です。僕は退屈な時に気紛れの遊び感覚で、頭の中の声で幻聴に話掛けます。「お前は不細工だから天国には行けない」とか、「お前は臭いからベランダから飛び降りて死んでくれ」等と僕は言います。すると、幻聴は「何だと、お前の方こそ不細工だし臭いし死んだ方が良い」と返し

    • 【神の使い】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

      昔々、草原の地にリハーダという名の村があり、その村には2人の兄弟が住んでいた。兄はヨウという18歳の少年で、弟はムサーカという14歳の少年である。そして、この兄弟の両親は残酷にも侵略者たちの蛮行によって、5ヶ月前に命を落としていた。侵略者たちは50人程度で徒党を組み夜陰に紛れて突然、村にやって来ると、リーダーらしき人物が声高らかに「この土地は神が我々、カルダ族に与えた聖なる土地である。よって、お前たちは3年以内にこの土地から出て行け。3年後もこの土地に住んでいるリハーダ族は皆

      • 【発情期】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

        札幌市に青田治久という1人の男が居た。青田はかつての製薬会社勤務時代に副作用の殆どないダイエット薬をほぼ1人で開発しており、会社から500億円の報奨金を受け取っていた。その後、青田は会社を退社し、まだ、30代後半の身ではありながらも隠居生活を送る事になっていた。青田には2度の離婚歴があったが、そのいずれの離婚もダイエット薬開発前の出来事であったので、報奨金は納税額を除いて丸々、青田の懐に入っていた。2度の離婚を経験した事によって青田の結婚生活への憧憬の念は完全に消滅する事とな

        • 【鬼神】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          窓の外の暗闇に閃光が走り、2秒ほど後に雷鳴が轟く。(近いな)湯地慶彦は心の声で呟き、僅かに警戒する。しかし、その後は閃光が走る事も雷鳴が轟く事も無かった。その内、強めの雨が降り出して来たので、慶彦は窓を閉じカーテンも閉じる。煙草を一服した後、壁時計を見ると24時半を回っていた。慶彦は寝る事にした。 翌朝は7時半のアラームによって目を覚まし8時丁度にマンションの部屋を出る。そこまでは、いつもと同じ日常だった。しかし、1階のマンション出入口まで足を進めた所で慶彦は我が目を疑う事

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        【幻聴の話】 エッセイ

          【青葉被告への死刑判決に思う事】 エッセイ

          一方的な被害妄想の下、京都アニメーションに放火し36人もの尊い命を奪った青葉真司被告に本日2024年1月25日、死刑判決が下された。青葉被告側が控訴する可能性もあるが、僕個人の意見としては青葉被告にはこの判決を粛々と受け入れて、その命を断つ事で潔く罪を償って欲しいと思っている。36人の無辜の市民を殺害するというのはそれほど重大な罪であるのだ。(翌日の26日に弁護団が控訴を発表)僕も統合失調症を患う1人の男ではあるが、昔、精神薬を断薬していた頃は集団ストーカーの被害妄想が極度に

          【青葉被告への死刑判決に思う事】 エッセイ

          【理不尽な幸福】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          目覚めたが体が動かせず、声も出せない。そして何故か後頭部がヒリヒリする。カーテンの隙間から光が差し込んで来る様子もないので、まだ夜明け前だろう。金縛りは人生始めての経験ではあったが、中迫浩文はそんな状況下にありながらも、それほど恐怖を感じてはいなかった。浩文は統合失調症の36歳の独身の男である。6年前に統合失調症と診断され現在は障害者年金で暮らしている。そんな、浩文は最近とある考えに取り付かれていた。それは、この世界はコンピューターによる仮想現実の世界であり、自分は何故か、そ

          【理不尽な幸福】 統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          【亀の恩返し】統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          昔々、南の島にトゥクブという13歳の少年が居た。トゥクブの母親はトゥクブを出産した日に亡くなり、トゥクブの父親は4ヶ月前に漁に出た切り帰らぬ人となっていた。トゥクブは伯父に漁を教わりながら、父親が残した小さな家で1人暮しをしている。そして、今日も朝から日暮れ前までトゥクブは伯父と2人で小船に乗り漁に出ていた。釣果は、程よく大きな魚が6匹で、伯父が5匹の魚を受け取りトゥクブの取り分は1匹だった。船は伯父の物であり、トゥクブの仕事はあくまで助手的な物であったし、伯父の家は7人家族

          【亀の恩返し】統合失調症2級男が書いた超ショート小説

          プロレスに付いて思う事

          1953年に力道山が日本プロレスを旗揚げしてから、2001年にミスター高橋がプロレス界の内幕を描いた暴露本『流血の魔術、最強の演技』を出版する迄の48年間。日本のプロレス界は手を変え品を変え、または徹底的に理論武装してファンを「プロレスは格闘技」と洗脳していた。力道山の「プロレスはショーだと言われがちだが、今後はその様な疑いが持たれる試合は行わない」という発言。そして木村政彦への試合中の裏切り。アントニオ猪木の「あいつ等(全日本プロレス)は見せる為の稽古をするが、うち等は真剣

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          【覆面芸人つよし】統合失調症2級男が書いたショート小説

          「日本の女優は整形だらけだ。あんな女たちとSEXするのは、マネキンとSEXするのと何も変わらない」芸人のナーノつよしは常々こんな言葉をテレビで発信していたのだが、そんな、ナーノの毒舌をテレビの前の視聴者は大いに楽しんで支持し、ナーノは絶大な人気を集めていた。現在、47歳のナーノは31歳頃から売れ出して、16年間も順風満帆な芸能生活を送っていた。しかし、ある夏の夜に単独のバイク事故を起こしてしまい、ナーノの顔面は醜く崩れてしまう。それでも、根っからの芸人気質であるナーノは、その

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          ユダヤという人々

          現在、イスラエルによるパレスチナ人虐殺の惨劇が発生していますが、アメリカもヨーロッパ諸国もイスラエルの暴力を止めようとは本気では行動していません。その理由は欧米は既にユダヤ勢力に支配されており、彼等にはイスラエルを抑え込む力が無いからです。残念な話ですが、これは陰謀論でも何でもなく、歴然とした事実です。そして、ユダヤ支配は日本も対岸の火事ではなく、日本のメディアもユダヤ勢力の影響下にあり、真正面からイスラエルやユダヤ人を批判する事は出来ません。所謂、西側と呼ばれる国々は、ほぼ

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          【創造主】 統失2級男が書いた超ショート小説

          どうやら、僕は死んでしまったようだ。10代後半の男性に見える転生係員に聞いた話では、歩道を歩いている時に頭上から老朽化した看板が落下して来て頭に直撃し、即死したのだという。僕はまだ12歳であの日は小夜里姉さんの誕生日で家族全員で焼き肉屋に出掛ける予定だったのに、本当にツイてない。自分の死を受け入れられず、呆然としていると、さっきの転生係員が希望の転生先を訊いて来た。僕が、「また人間に生まれたい」と即答すると、転生係員は「それは叶いません。牛、熊、豚、虎、羊、狼、馬、ライオンの

          【創造主】 統失2級男が書いた超ショート小説

          愛国者と売国奴

          昔の庶民は文字すら知らず、自ら考える機会も与えられずに権力者の言いなりであった。それが、明治以降の時代では多くの庶民が学校で文字を学ぶ事となり、自らの頭で考える様になった。と言いたいところだが、大多数の庶民は、まだまだ権力者の言いなりであったのが歴史の現実である。それは、情報が統制されていた為だ。その後、ネット時代に突入すると膨大な情報に触れる事となった庶民は、自らの頭で考える事が可能となった。と今度こそ言いたいところだが、実はこの話には落とし穴がある。ネットの情報は玉石混交

          愛国者と売国奴

          【神様から聞いた話】 統失2級男が書いた超ショート小説

          9月も中旬を迎えると夏の暑さもピークを過ぎて、夜は角部屋の2面の窓ガラスを全開にさえすれば、クーラーを点けずとも気持ち良く眠りに就ける様になった。しかし、そうなると心配なのは深夜の押し込み強盗である。広田一輝の部屋は4階建てマンションの4階であったので、屋上からロープを使って侵入してくる輩が居ないとも限らない。その為、一輝はベッドの枕元の棚に通販サイトで買った刃渡り14cmのナイフを忍ばせていた。そして、その晩の一輝と言えば、大学時代の友人である2人の男と居酒屋にて、かなりの

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          【呪いの書】 統失2級男が書いた超ショート小説

          強力な台風に襲われたら、軽く吹き飛んでしまいそうな年季の入った木造の古本屋を出張先の宮崎市で見付けたのだが、しかし、軽い気持ちで入ってみる。その外観に相応しい薄暗く古びた店内にて、充満する古本の匂いを嗅ぎながら、佐方正則は『呪いの書』というタイトルの本を手に取った。それは、どうやら呪いのハウトゥー本の様だった。出版社は魁天社という聞き覚えのない会社で、著者の鶴藤亀吉という名前にも聞き覚えはなかった。ページの後ろにも奥付けは無く、出版された年代も分からない。本の状態は悪くなかっ

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          【スーパーヒューマン】統失2級男が書いた超ショート小説

          坂山海輝は統合失調症の27歳の男性です。以前の海輝は統合失調症の症状に酷く苦しめられ、自殺未遂も1度起こしていましたが、現在は精神薬を真面目に服用する様になり、症状も落ち着いて平穏な日常が送れる迄に回復していました。また障害者雇用枠ではありますが、フルタイムの仕事にも就いています。そんな初夏のとある日曜日に朝食を食べようと箸を持った瞬間に、こんな声が海輝の頭の中に響いて来ました。「私は誇り高き目玉焼きである。その誇り故に立派な人間に食して欲しいというのが、私の切なる願いだ。私

          【スーパーヒューマン】統失2級男が書いた超ショート小説

          【街とその不確かな壁】【方舟】【泣き虫】の感想

          6月は村上春樹さんの『街とその不確かな壁』と夕木春央さんの『方舟』と金子達仁さんの『泣き虫』を読ませて頂きました。今回は、その3冊の感想を書いていきたいと思います。まずは、『街とその不確かな壁』ですが、本書は村上さんが1980年に執筆された『街と、その不確かな壁』という中編小説のリメイクで、(旧作と新作のタイトルでは読点の有無が違います)1985年に執筆された『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の続編的な作品です。この新作は3部構成になっており、第1部では幻想的な世

          【街とその不確かな壁】【方舟】【泣き虫】の感想