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人生を変えた瞬間:ブロックスでの出会い

 人は生きている間に様々な体験をします。時には、それまで自分の信じてきた事が、大きくくつがえさたり、後の人生に重大な影響を与える出会いがあったり…、私たちは、それを人生の転機と呼んだりします。

環境破壊の波に抗うことに、一度はあきらめの気持ちすら抱いていたのぶさんでしたが、彼にも人生の転機が訪れます。

「くらしのね」の設備:井戸水をこちらのタンクに一旦組み上げます

「人生が変わる[1]パーマカルチャーツアー」への参加

◎のぶさんの話2:
物作りが好きで、シェアハウスに暮らしていた頃には[2]アースオーブンを作ったり、野菜を育てていました。
ある時、同じシェアハウスに暮らす一人から、渡された一枚のチラシに目がとまりました。それは「アーバン・パーマカルチャー・ガイド」のチラシでした。それを機に、アメリカは[3]ブロックスで行われる「人生が変わるパーマカルチャーツアー」への参加を考えるようになったんです。

そして、パーマカルチャーに対する予備知識はなかったけれど、余計なことは考えずに、とにかく行ってみようと、ツアーに臨むことを決心しました。


実際に参加してみるとブロックスで暮らす人々は、地球の未来を全然諦めていなかったんです。人が関わる事で、もっと自然が豊かになる、自然と共存できる生活があるという事を、日々の暮らしの中で、楽しみながら実践していたんですよ。

「くらしのね」の設備:全てが土に返る竹で作ったコンポスト

強烈な体験になったのは、タイミングもあったんだと思います。

新婚旅行でニュージーランド、北端から南端までの縦断3000kmのロングトレイルをしたのですが、そのあとパートナーの渓は別行動を取って帰国。
自分はそのまま、一人でメキシコからカナダまで4200kmのトレイルに挑みました。
つまり、合わせて7000kmを超える「歩く時間」を経て、ブロックスに入ったんです。スルーハイク中は、歩く時で、1日に12時間は歩いていたから、考える時間は十分にありました。今に思えば、それは自分自身とどっぷり向き合う時間だったわけです。

それで、メキシコからカナダまで歩いちゃったから、なんでも出来る気になっていました。また、一度は諦めていた未来だったけれど、もともとモノ作りが好きだったから、ブロックスで彼らが諦めずに、楽しく暮らしている姿を見て、自分も好きなことを生かしていけば、やっていけるじゃん、みたいな気持ちにもなっていたんです。

別に大きな社会の変革を起こすんじゃなくってね。

 極め付けはブロックスで出会った三兄弟、その一番下にあたるサムの奥さん、ユリコの存在でした。
ユリコはブロックスに住む日本人で、70歳を超えているんだけど、彼女はここに移り住むまで、波乱万丈の暮らしをしてきました。
今では人や自然の営み、さまざまな恩恵に囲まれて、幸せいっぱいで暮らしています。そのためか、「自分はこんなに幸せに暮らしているのに、この世界観を、日本人に味わってもらえないのは、とてもうしろめたい」と感じていたようです。

つづく…


[1] パーマカルチャー:人と自然が共に豊かになるような関係を築いていくためのデザイン手法(パーマカルチャーセンタージャパンより)

[2] アースオーブン:身の回りにある天然資材で手づくり、土をベースにしたオーブン

[3] ブロックス:アメリカのワシントン州、オーカス島にブロックス兄弟が築いた世界的にも有名なパーマカルチャー実践所

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