2000年代のYELLOW MAGIC ORCHESTRA③ -SKETCH SHOW-

 幸宏さんと細野さんは「イエローマジックショー」での共演や、ラジオ番組での「一緒に何かやろう」という会話を機に、もともとは「細野さんが幸宏さんのアルバムをプロデュースする」というプロジェクトが、二人のバンドへ、という形に発展しました。

 そのバンドは〈SKETCH SHOW〉と名付けられて、坂本さんも2曲の楽曲共作、音源提供をしていました。

2002年8月9日、青山スバイラルホールにて、「STRANGE NIGHT VOL.1」と呼ばれるイベントが開催、これは、細野さんが主宰するレーベル「DAISY WORLD DISC」のショーケースで、所属アーティスト数組のライブでしたが、トリとなったのは幸宏さんと細野さんの〈SKETCH SHOW〉。
次月に発売されるアルバムから5曲を披露し、2曲目の演奏曲となる、坂本さんとの共作曲「WONDEFUL TO ME」で、幸宏さんの呼びかけのもと、坂本さんがゲスト参加。公のステージ上では1993年の再生YMO以来、3人揃った姿となりました。

2002年9月19日、ついに〈SKETCH SHOW〉のファースト・アルバム「AUDIO SPONGE」が発売、坂本さんと、YMOチルドレンの1人であるテイ・トウワさんも参加し、以後、幸宏さんと細野さんの二人は〈SKETCH SHOW〉として積極的にメディア出演し、話題となりました。

年末には〈SKETCH SHOW〉として初のライブ・ツアー「WILD SKETCH SHOW」が行われ、コーネリアスとして活動する小山田圭吾さん、権藤知彦さんらが参加、この二人は以後、YMO3人のライブ活動における重要なサポートメンバーとなっていきます。そして、12月3日、8日の東京公演では坂本さんがライブ後半にゲスト参加し、「WONDERFUL TO ME」次作ミニアルバムやセカンド・アルバムに収録される「CHRONOGRAPH」、アンコールではYMO時代の「CUE」「中国女」を、8日のみ、細野さんの「はらいそ」を追加し、一緒に演奏しています。なお、ライブオープニングの2人のトーク中でも坂本さんがチラッと顔を出す、横切るなどの演出があり、この時点での3人の関係が1980年代以上より良好になり始めていることが感じ取れました。


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