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2.19 旅のキホン

朝9時にホテルをチェックアウト。

マドリッドの朝は日本の冬と似ていて、肌に刺すように冷たく乾燥した空気だった。
体感気温は2℃くらいだろうか。

バックパックを背負い、昨日出会った2人に会うためにマヨール広場に歩いて向かった。地球の歩き方の略地図を頼りに王宮の横道を通り抜け、少し道に迷ったが歩くこと30分、待ち合わせ場所のマヨール広場に到着。

待ち合わせの時間より少し早くマヨール広場に着いたので、現金を引き出そうと思いATMを探すことにした。旅の資金はすべて日本でCitiBankの口座に入れてきたので、各地のATMで引き落としながら旅をする予定てある。

旅の定番「トラベラーズチェック」を持ち歩くという選択肢もあったが、旅行中ずっと綴を持って歩かなくては行けないのが好きになれず持ってきていない。

トラベラーズチェックとは、長期旅行者向けの小切手みたいなもので、数枚綴りになっている小切手を必要な分金額を書き込み現金化して現地で使用するという物。例えスリにあってトラベラーズチェックを盗まれても、自分のサインがないと使えないようになっているので被害は最小限に食い止められるという便利なものではある。

しかし、出発前に少しでも荷物を減らしたいとHISの人に相談したところ、このCitiBankのキャッシュカードの事を教えてくれた。クレジットカードとまではいかないまでも割と便利だと思う。

もちろんトラベラーズチェックと同じく、カードを無くしたら一巻の終わりだが…。

「ひとまず3日間程の資金があればいいので10,000Ptsもあればいいか。」

Puerta del Sol(プエルタ・デル・ソル=太陽の門)の近くに提携銀行があり、「World Cash」と書かれたCitiBankのキャッシュカードをATMに差しこんでみた。

が、しかし…、まったく反応なし。

「あれ!? HISの人が言ってた銀行のはずなんだけど…。」

万が一このカードがヨーロッパ非対応だとしたら(CitiBankはアメリカの会社なのでありえなくはない)…。

少々焦ったが、しかしそんなものをHISの人が勧めるわけも無く、銀行の窓口に行きカードを見せると別の銀行を教えてくれた。

その銀行のATMにカードを差し込むとあっさりと現金が出てきて一安心。10,000Pts(約9千円)を引き出し急いでマヨール広場に戻るが、10時を過ぎてしまったせいか2人の姿は見当たらなかった。

広場中を探し回ること15分。

片っ端から広場にあるショップを覗いて探すと、広場内のインフォメーションオフィスに2人はいた。 

「来たね、おはよ〜。」

サラサラヘアさんが笑顔で手を振ってくれている。

「新しい街に来たらまず i (インフォメーションオフィス)に行くといいんだよ」と、インフォメーションオフィスに辿り着いた後で教えてくれた…。

インフォメーションオフィスは観光に必要なことを全て教えてくれる最強のお助けBOXで、旅行で困った時に駆けつければ大抵のことは解決するらしい。

「今日から泊まるところ、探すの一緒に手伝ってあげるよ。」

昨日のバスでの移動といい、今日の待ち合わせといい、初対面の人がこんなに優しくしてくれてほんとに有り難い。ただただ感謝である。

ちなみに昨夜バスの中で、なぜ声を掛けてくれたか聞いてみたところ、貧乏旅行のオーラを出している自分が不安そうにしていたので声をかけてくれたとのことだった。

体格がいい方の男性の方はこれから別の街に向かうらしくマヨール広場でお別れ。
あっさりとしたお別れだ。名前すら聞いてないし。

お別れ後、サラサラさんと一緒に広場を出て安宿が密集するというエリアに向かった。

「スペイン語では” ¿ hay habitación ? “っていうといいよ。」

「アイ、アビタシオン…。」

最初に目星をつけたホテルは「HOSTEL LOS ARCOS」。

映画の中でしか見たことのなかった、大きな円状の金具でドアをノックするやつを「コンコンコン」とやると感じの良さそうなおばあちゃんがニコニコしながら出てきた。

中に入れてもらい部屋を確認。
床は少しだけ傾いているが、バス・トイレ付きで6畳位。セントラルヒーティングもある。2,500Pts。ここに決めた。

ホテルがすんなり決まり一安心しているとサラサラさんが

「じゃあ次は朝ごはんを探しに行こう!」 

ホテル近くのカフェで350Ptsのサンドイッチをテイクアウトしベンチに座って食べた。

食べながら雑談していると、プラド美術館に行ってみようという話になり徒歩で向うことに。
15分ほど旧市街の狭い道を歩きプラド美術館に到着。入場料を支払い中に入ると、見たことがない巨大な絵画が目の前に現れ、その規模に圧倒された。
他にも巨大な彫刻や石像があったり、教科書で見たような絵画もあったりで4時間程の時間はあっという間に過ぎた。もっと絵画の知識と興味があったら1日中は余裕でいることが出来ると思う。

21時。

El corte inglesというデパートの地下にあるスーパーマーケットで、今夜の夕食になるビスケットとミネラルウォーターを買い、ホテル近くのエスタンコでスポーツ新聞「As」を買い宿に戻った。

「食費」と「宿泊費」をいかに削るかで今後の旅行のクオリティが変わってくるので出来るだけ抑えていかないといけない。

美味しいものも食べたいが、毎日外食するわけにもいかないしひとまず空腹を満たせればそれでよいという日も必要になってくると思う。

ちなみにエスタンコとは、街のどこにでもある小さなコンビニみたいな売店で日本のキヨスクととても似ている。というかこちらが本家のような気がする。

ホテルに戻り部屋に戻ろうとすると、ロビーにあるサロンの方から日本語で話す声が聞こえてきたので覗いてみた。話している人と目が合ったので軽く挨拶をすると

「こんばんは。観光ですか?」

「あ、はい。一応…。」

3日前からこのホテルに滞在しているという30歳代くらいの日本人男性2人が話しかけてくれた。
スペインに来た目的や、今まで訪れた国の話などしばらく雑談していると、暇そうにしていたホテルのおばあちゃんが話に参加してきた。当然おばあちゃんはスペイン語しか話せないので、スペイン語と日本語が混じり合う謎のコミュニケーションを試みること数十分。

おばあちゃんの孫娘らしき中学生くらいの女の子が帰宅してきて会話に加わってきた。
女の子は少しの英語が喋れたので、日本語、スペイン語、英語で5人でワイワイ盛り上がり1時間ほど雑談。何を話したかよく分からなかったが楽しい時間だった。

部屋に戻り、持参した西和辞典を片手に「As」の解読を試みるが、思ったほど解読出来なかったので写真から記事を想像して読んだ気分になり22時に就寝。

「As」はサッカー情報が豊富なスポーツ新聞で、サッカークラブ「レアル・マドリッド」寄りの記事を書くことで有名である。

本日の出費

朝食 350Pts
昼食 1,150Pts
ビスケットとミネラルウォーター(デパート) 370Pts
スポーツ新聞「As」 125Pts
プラド美術館入場料 500Pts

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