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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処)

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希望と情熱だけを持ってひたすら夢を追いかけた若き芸術家が、同じアパートに住む子供たちと共に笑い泣いた日々の記憶。 楽しさも貧しさも悲しさも全ては一枚の絵に。
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記事一覧

餓死と乞食と資本論

餓死・・・ほとんどの日本人には関係ないだろうけど、 でも僕にとっては、身近だった。 二年…

tosiko
2年前
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この世に貧しい芸術家はいない

一尾60円の秋刀魚を買う。 アパートの廊下で、心を込めて七輪で焼く。 白い煙が真っ青な秋空に…

tosiko
2年前
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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処) その5 叫び

遺影描きのバイトは辞めた。 余りにもハードで、他に何も出来なくなくなったから。 すると、…

tosiko
2年前
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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処) その4 絵で稼ぐ

僕は焦っていた。 少しでも早くプロの絵描きになりたくて。 バイトしている時間がもったいない…

tosiko
2年前
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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処)その3

深夜のコンビニバイトを終えた朝のことだった。 布団を敷き、寝ようとしていたところに、バイ…

tosiko
2年前
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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処)その2

四畳半、六畳の2DK、ぽっとん便所付、家賃3万円。敷金10万円、礼金なし 家具は、自分で買った…

tosiko
2年前
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鍵のない部屋(27歳貧乏絵描きの住処)その1

僕の部屋は、基本、鍵をかけない。 盗られて困るようなモノがないからだ。 いつの間にか、同じアパートに住む子供たちが勝手に出入りするようになった。 彼らは、僕のいない時でも、僕の部屋に集って遊んでいる。 ここを秘密基地にしているようだ。 オカズを持ってきてくれる子もいる。 「兄ちゃん、もっと食べないと栄養失調になるよ」 「これ、お母さんが、お兄ちゃんに持ってけって」 冷蔵庫には、買った覚えのない物が多く入っていた。 その多くは、自分たちで食べるお菓子だったが。 しかし、