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インドは旅行じゃないよ。冒険だよ。 20.山奥の村へ(ネパール編)

何だか、ハイジの題名みたいw
アルプスの少女、ハイジ・・・何度見て何度泣いたことか(;Д;)
今でもハイジの声を聞くと、うるっとしてしまう(*´д`)

そのアルプスに来ているんだと思うと、感慨無量だなあ。
でも、聞いた処によると、実際、実在するハイジの村に行ってみると・・・ジメジメした土地で、とてもピーターのように寝転んだり出来る所じゃないらしい・・・・。
そんな情報いらないんだよ! 夢を壊すな!ヽ(`Д´)ノ

序に言っておくと、ドラマか映画か忘れたけど、大人になったハイジって・・・いらねえー(*´д`)

いきなり話が逸れてしまったw
まあ、書下ろしなので仕方ない。


ネパールの友、デポックに聖都カトマンズを案内してもらい、最後は彼の故郷、山奥の村・・・名前は覚えられない・・・に誘われた。
もちろん、予定のない旅だ、断る理由などない。
と言うか、反対に好奇心ワクワク、キムドンドンだ。

バスで山道を走ること5時間・・・遠い・・・。
「もうすぐだ。ほら、そこの山、それを越えると僕の育った山が見えるよ」
越えるんかい!・・・_| ̄|○

腰が痛くなって、内臓が揺られ過ぎて気持ち悪くなる寸前でバスを降りた。
二人ともぐったり・・・。

どこからともなく村人が集まって、僕たちをジロジロと無遠慮に見られる。
どの村人も、目玉が大きくて綺麗だ。
その目で見られると、迫力がある(゚∀゚;) 

村に来た外国人は、僕たちで二組目らしい。
一組目は、これもまたデポックの友だちのドイツ人だったようだ。

どこに行くにも村人が付いてくるw
取り敢えず、荷物を降ろしに、デポックの実家へ。

彼の村も、ネパールの例に漏れず、貧しい農家が集まっていた。
一面段々畑で、どこか懐かしさを感じる。
水は最近、デポックが井戸を掘って、山裾の川まで水を汲みに行く必要がなくなったらしい。

そして二階建ての家・・・彼の手作りとか (゚Д゚;)
彼が図面を引いて、資材を買って、村人総動員で作ったそうだ。

そう言えばインドでも、家を建てる時は、地元の人たちを雇い、石を運ばせていた。
日本でも昔はそうだったとか。

そして特筆すべきは、彼の家は自家発電をしているのだ。それも、トイレのメタンガスを利用して!
なんか、凄い。

食事は、大抵ダルカレー。色んな豆を煮こんで作るカレーだ。
それぞれの家庭ごとにマサラという香辛料が違う。
デポック家のは、まあまあ食べることが出来た。

でも、村中を挨拶回りwしていた時に出されたヨーグルト・・・これがまたひどい (ノД`)
腐った牛乳なのだ・・・オエ・・・_| ̄|○
これぞ本物の発酵食品だ。
何にも足さない、手を加えない・・・頼むから、足してください。加えてください(TДT)
でも奥さんは、美味しいとか言って飲んでるし・・・。
女は強し・・・・。

夜、本当に夜空が凄い。
これでもか! と言うぐらい、星が空一面に!!
物凄く近くに感じて、圧倒されるぐらい。
あんなにくっきりと天の川を見たのは初めてだった。

その満点の星空の下で飲むロキシーは、格別だった。
トウモロコシから蒸留されるネパールの地酒ロキシーは、バーボンとも違う、独特な味わいだ。
まあ、あの星空の下で飲むと、どんな酒でも格別だわな( ゚Д゚)y─┛~~

7時には就寝だ。
天井がゴソゴソと賑やかだ。
「なんだい、あの音は?」
「ああ、白アリだよ」
呆気なく言い放つ、あんたは凄い。

100wの明るい蛍光灯は、トイレのメタンガスで発生させた電気の賜物。
デポックと三人で飲んでいると、そこへ村人が、一人、また一人と集まってきた。
そして気が付くと、6畳ほどの部屋に20人ぐらいwww
ベッドの上も満員なんですけどw

おしんの国の人が来ているらしい・・・と言う噂を聞きつけて、隣の村から来てる人もいたとかwww

彼らは情報に飢えていた。
一生、村から出ない人がざらにいるらしい。
テレビもラジオも限られた番組しか見れないとか。

彼らは知りたがった。
僕たちのことを。僕たちの国のことを。

最先端を行っているデポックでさえ、日本人は、未だちょんまげをしていると思っていたほどw
道路はいつも大渋滞で、カゴとトヨタでいっぱいだとかww

彼らはネパール語しか話さない。
それをデポックが英語に直し、通訳してくれる。
僕はそれを日本語にして奥さんに通訳するw

彼らの質問に一つ一つ丁寧に答え、身振り手振りで大爆笑をかっさらったw
笑いに飢えている彼らにしてみれば、何をしても聞いてもおかしいらしく、自信のない芸人は一回イケばいいと思うw

話の流れで僕たちは歌を歌わされた。
元々カラオケに二人で8時間いるほどの歌好きだ。断る理由はないw
動揺から演歌。ポップスまで得意のハーモニーを聞かせた。

すると驚いたことに、みんな、本当にうっとりと聞いている。
芸能にも飢えていた彼らにとっては、二人の声は、天使の歌声に聞こえたに違いないww

僕らは調子に乗って、10曲ほど歌ったw
中でも一番人気があったのが、「竹田の子守歌」だった。
みんな目に涙を浮かべて、こっちも泣きそうになった。

それからその村にいる間、毎晩歌わされたのは言うまでもないw

翌日、仲良しのユキちゃんと遊んでいると、村人が青い顔をしてやってきた。
ユキちゃんは、デポックの飼っている子山羊で、僕が命名した。
ハイジの仲良しの子山羊の名前をもらったw

村人は胸に子山羊を抱えていた。
デポックに通訳を頼むと、どうやら昨日から横になって動かないと言うのだ。
ユキちゃんと比べると、明らかにお腹が張っている。パンパンだ。

色んな原因が考えられたが、親と離して一週間だと言う。
で、ピーンと来た。
便秘だ。
僕は、親のところに戻すように勧めた。
親は、子供の肛門を舐めて、排泄を促すと言う。
それを想い出したのだ。

翌日、僕の勘は当たって、子山羊から大量の💩が出たらしい。
それで元気になったとか。
良かった良かった・・・・・

と、それだけでは済まされないことになった。
その噂を聞き付けた近所の人が赤い顔をして僕を訪ねてきた。
風邪らしいのだが、なかなか治らないと言う・・・・・。

医者じゃないっつうの!ヽ(`Д´)ノ

仕方なく、緊急用に持ってきていた風邪薬を半分飲ませた。
やはり薬に身体が慣れていないのだろう、翌日、元気になって礼を言いに来た・・・・・。

それがいけなかった。
具合の悪い村人が来るわ来るわ・・・・。

僕はデポックに言った。
「医者じゃないから、変な診断は出来ない。だから本物の医者に行くよう言ってくれ」と。
すると彼は沈痛な面持ちで言った。
「違うんだ、トシ。ここに医者はいない。一番近くでカトマンズだ。それに彼らには金もない。診療費を払えない。だからトシ、大学も出ているんだろう? 日本人なら最低限知っている知識でいいんだ。彼らに教えてやって欲しい。恐らく彼らは、何もしないで放って置くよ。そうやって死んでいく人がたくさんいる」

胸が詰まって泣きそうになった。

そこへ足から血を流し、肩を担がれた男が連れて来られた。
農機具が足に当たり、切ってしまったらしい。
みると、出血は酷いが、傷は浅いようだ。

「医者に・・・・」
見上げると、デポックは首を振った。
彼は何もしないで、このまま放って置くよ・・・
そう聞こえた。

僕は泣きながらロキシーを持ってくるように言い、彼の足にかけ、粉末の止血剤をかけた。
洗い立てのベッドのシーツを持ってこさせ、細く引き裂いて包帯を作り、綺麗なハンカチを当てて彼の足に巻いた。

傷口が閉じるまで動くな。一日に一回、綺麗なハンカチに替えろ。もし腫れたら、その時はこれを飲め、と言って抗炎症剤の抗生物質を渡した。
劇的に効くだろうと思って、錠剤をナイフで半分にしそれを二個渡した。
時間を空けて飲めと。

するとデポックは言った。
「薬の意味も分からない彼らに二個渡してはダメだ。一度に飲んでしまう。僕が預かって置いて、一個ずつ渡す」と。

ネパール語と英語と日本語が飛び交う診療現場wに、新たな患者が。
ぐったりとした赤ちゃんを抱えたお母さんが!

エエ━━━Σ(°Д°;;)━━━ッ!!



これは無理!無理無理無理!
熱を出して三日間、引かないと言う。
風邪だと思ったが、とても診断を下せるような状況じゃない。
今すぐ医者に行け、と言った。
もし金がないなら僕が・・・・

その時、デポックが僕を手で制し、カトマンズの病院への行き方を説明し出した。
そして財布を取り出し、100ルピー札を数枚、彼女に渡した。
それは、恐らくこの村人の年収以上の金額だろう。

お母さんは泣いていた。
僕たちも泣いていた。


デポック、僕は君の一生涯の友だちになるよ。



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