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シュペルターと歩む15年記 #20

この樹、何の樹?


おひさしブリストルボーファイター!

英国機に興味がありつつも、
そちら方面にはなかなか触手が伸びないトトムです。

ごあいさつ

この形(雲龍型のことではなく飛行機のこと)をカッコ良い
と感じる境地に至るには、まだまだ!

プラモデルどころか、
モデルアート季刊の『イギリス空軍の戦闘機』の本ですら
本屋の店先で手にとっては戻しを数日繰り返しながら悩んだ挙句…
買わずじまいでした。

買わずじまい


ただし英国機に対する興味の片鱗ココにあり。
(片鱗を探してみてください)

シュペルターと歩む15年記の本編(?)である製作記は、7月の肩編から
なんと!
5ヶ月ぶりストル(もう良い!)

満を持して!とうとうシュペルターが完成しました

いや!脚や肩の構想(妄想)図だの、キットの部品を切った貼っただのと
これまで散発的にゲリラnoteしておいて、急に“完成”と言われても
そんなわけあるか!
と賢明なるトム・クルーズファンの方であれば
”ミッションインポッシブル・デッドレコニング”の
崖の上のイーサンの名セリフよろしく、吐き捨てた事でしょう。

『いやいや、何をおっしゃる。
当のガレージキットは2019年4月6日に完成していますよ。』

などと推理小説の叙述トリックを気取って、
そのようなことを言うつもりは毛頭ございません

この5カ月の間に、noteではさまざまなネタをつまみ食いしながらも、
振り返り”としてのシュペルター製作が
noteの記事にする前の製作データ整理として
水面下でちゃくちゃくと進行していたのです。

そう、製作データ整理というのは
シュペルターと歩む15年記 #10でお伝えした、
製作メモの内容をExcelでチャートにまとめたものです。

あの時点では2017年3月末(Excelで514行目)までのデータを
書き込んでいたのですが、
シュペルターが完成した2019年4月まで進めると
1087行に及んでおります。

ここまで長大になると、せっかくまとめたのに全体がわからない

まとめたチャートをもとに、もっと全体像がわかる
体系的な図に描き直しました。

これはこれで、なかなか骨が折れましたが、やっと完成!
(ここで、『とうとう完成しました!』の発言に至るわけです。)


ガレージキット
の完成→チャートの完成→体系図の完成と
3度目の完成を経て
改めてこれから4度目の完成たるNote記事完結を目指します

何故にこれほどまでにデータ整理にこだわるかというと、
この『シュペルターと歩む15年記』のコンセプトが
ある程度”製作内容の単位”でまとめながらも
15年間のさまざまな記録経時的に綴っていくことだからです。

これまでは製作開始後、最初に力を注いだところ
記事として書きやすいところを中心に纏めを書いてきたのですが、
途中でアインシュタインさんの力を借りなければならないような
時間の逆転も起こったりして、
次に何を書けば良いか、非常に迷っているわけです。

そこで
”これまで何がどこまで書けているのか?”
”次は何から書けば良いのか?”
全体が見渡せる設計図のようなものが必要になるわけです。

それで出来たのかコレ
樹状になった線図です。

15年かけて育った木


この~樹何の樹?、気になる樹!

この線図作成の目的である”次に書く記事のテーマ決め”をする前に、
この”線図の形”の方に興味が湧き、
樹状の線図”に他にどんなものがあるのか調べて見たくなりました。


FTA(Fault Tree Analysis)

日本語では「故障の木解析」と呼ばれます 
不具合事象をトップにして、故障の要因を階層に分解した
樹形図状の図式で、原因調査を網羅的に行うための解析手法なのです。

通常、左端不具合事象を書き、
右側に向けて事象から分解した要因を書いていくのですが、
これでは名前に””という文字を付けるのは、
なかなかに厚かましいというもの。

事象要因を書く場合もありますが、
やっぱりというにはちょっと苦しい。

文字を横向きに書く関係から、縦書きではどうしても横長用紙で内容が薄くなってしまう。


縦書きの上下を逆にすると、木のように見えなくもないのですが
FTA作る人、使う人にとってはどうしても
この向き”でないといけないので、仕方がない。
判定として”樹形”図としては落第生と言わざるを得ません。

まぁ、”枝分かれしているから、樹形と言えなくもない”
認めるくらいの広い気持ちを持って、
自分でも何か一つFTAを作ってみましょう。

お題、お題は?と…
どうも最近運動不足を自覚し、
さらにマックスバリューでお買い物した時には、ついつい買い物カゴに
スナック菓子をそっと忍ばせてしまいがちなトトムとしては
これからの人生で気を付けねばならない事は、”糖尿病”。

”糖尿病の症状である、血糖値が上昇することを不具合事象として
インターネットで調べたことをFTAの形にまとめておけば、
これからの行動指標として有意義なのではないだろうか?

じゃあ早速、とネットで血糖値について調べ始めたちょうどその次の日、
会社から帰って、玄関で靴を脱いでいると
スマホを出せ!』と声を掛けられました。

トトム家はいつからスマホ強盗が出没するほど治安が悪くなったのだ?
と振り返ると、娘のポコぞう

奇しくもポコぞうが、本日の学校の理科(生物)の授業で、
人体における糖尿病発症のしくみについて習ったということで、
トトムのスマホを渡すと速攻で学校のノートを写メ
待ち受け画面にされてしまいました。

さらにリビングへ行きお風呂に入る前に、ちょっとばかし空腹を
和らげようと、ポテトチップスの袋を手に取ると
その袋にマジックで…

世界一有益な待ち受けと世界一ありがたいご忠告


とりあえず、ネットで調べかけていた付け焼刃の知識を並べ立てて
糖尿病予防に対する心構えを述べ、その場を乗り切る。

さて、改めてWikipediaの”糖尿病”、”インスリン抵抗性”、
ペットボトル症候群”、”肥満”、”中性脂肪”などで調べた内容を
FTAにしてみました。

糖尿病 FTA

出来ました。
注意すべき特徴として以下の事が明らかになりました。

糖尿病にならぬ、正しき道はただ一つだけ、
 ”道を外れるの易く、戻るのは至難!

・インスリン分泌は少なすぎても、多すぎてもいけない。
・糖分の取り過ぎなど、一つの過ちが短期的、中期的に多重的な効果
 伴い血糖値を上げる。
・血糖値が上がったという結果が更なる血糖値上昇の原因となり
 悪循環が繰り返す。

なんという恐ろしい悪魔のFTAなのでしょうか!?

ただFTAから原因を絞り込むと、
遺伝的なコントロールできない要素を覗けば、次の4つです。
①清涼飲料水
②過剰な米飯(および高カロリー食品)
③運動不足
④喫煙です。

清涼飲料水はほとんど飲みませんし、喫煙もしませんので、
気を付けることは適切なカロリーの食事運動
うん、シンプルな結論だ!

家系図

家系図については解説の必要はないと思うのですが、
誰しもがイメージする典型的な家系図って
こんなものじゃあないでしょうか?

将軍家とか天皇家のと違ってわかりやすい!

上から下に向かって時間軸が取られており、
子孫が繁栄した場合には下に行くほど広がって行きますので、
縦書きのFTAと同様に”逆樹形型”樹形図の一種です。

うん?ちょっとおかしくありませんか
なんだか煙に巻かれているような。

そう、この家系図には5組、離婚も含めると6組の夫婦が登場しますが
いずれも子供は2人
ただし離婚された筆豆聡さん、安紀さんのお子さんは1人です。

一組の夫婦(お父さん&お母さん)から子供が二人生まれると
人口としては変わらないはずなのですが、
なぜか上から下に向かって人数が増えています

わかった!

(日本の習慣を前提にすると)
〇〇家息子が結婚すると
他人だった女性が一族という観点からは””と称するのだろうが)
として家系図に加わり、
逆にが結婚して旦那さんの姓に変わったとしても、
子供であるという血縁関係は変わらないのであるから、
△△家として家系図に組み込まれたままなのです。

つまり△△家の家系図でも娘さんは””として
一族に加えられているということです。
要は幻の人口増加からくりダブルカウントというわけである。

しかし、かつての中国の一人っ子政策というわけではありませんが、
一つの核家族1人の子供ばかりだとしたら、
次のような家系図になります。

6世代で64人が1人に!人類滅亡の図?


これは枝を広げた樹のように見えるではありませんか?

しかし一人っ子だろうと松野家のむつ子だろうと同じ事、
人間がこの世に生まれるためには、
生物的には2人の両親4人の祖父母8人の曽祖父母が必要である
という事を示す図でもあります。

今風かぁ~

これは子孫から見ると遺伝子濃縮であり、
先祖から見ると遺伝子希釈なのですが、
それはさておいても、
結婚して子孫を残すということは
自分をこの世に生み出してくれた膨大な数ご先祖さまと、
それまではご縁のなかった配偶者のこれまた膨大な数のご先祖様の遺伝子が
突然『こんにちは』するということなのである。

これがすべての世代すべて人に言えるのだから、
完璧な家系図が書けるとすれば逆樹形でも樹形でもなく、
網目状遺伝子ネットワーク図なのです。

もう少し家系図を深く理解するために、
またまた自分自身でやってみました。

とりあえずトトム家の家系図というものを見た事がなかったので
唐突な話題になることをちょっと恥ずかしく感じながら母親に電話。
あるいは奥さんにも聞きながらわかる限りの家系図をつくります。

トトムDNAの旅


ピンクの丸で囲んでいる自分を中心に考えて、
自分に受け継いだ遺伝子と自分の子孫の遺伝子構成に関与する遺伝子
範囲をピンクで着色しています。

中心を(緑の丸で囲んでいる)に移して同様に考えると
ピンク+緑色の部分までネットワークが広がることになるのですが、
更に祖父の世代を中心にするならば、
父の兄弟結婚相手の一族までもが範囲に含まれて来るわけで、
非常に複雑なネットワークとなるのです。
(これらの遠縁の一族は家系図には書ききれないので、
個人名を二重線の枠で囲って、そこに配偶者とその一族までも
含めていることを表しています。)

ただしやってみた結果、家系図について分かった事よりも、
家系図について分からない事のほうがよくわかりました。

上への広がり
父の父、すなわち祖父の代になると良く分からない
既に父が亡くなっていることもありますが、
祖父は父が幼い頃に亡くなっており、
父自身あまり詳しく祖父(つまり父にとっての父)の
兄弟などの事は知らないそうなのです。

横の広がり
父・母の兄弟姉妹、すなわち叔父さん、叔母さんまではわかるが
叔父さん、叔母さんの結婚相手の家族は霧の中(なかなか聞けないよね)
だったり、
叔父さん、叔母さんのお子さんたち(すなわちいとこ)を
家系図に網羅するのはなかなか大変であり、
更にいとこ達の婚姻関係などはさすがに無理。

下への広がり
一番予期できないは子孫の結婚相手です。
いやいや出会って三日で結婚ということは、ドラマでもないかぎり
そうそうないでしょう。

つき合いながらお互いを知っていき、
”一人一人が相手を想う”という気持ちから 
二人で一緒の人生を歩む”気持ちに変わる準備ができれば
結婚となるのでしょうから
結婚相手自体が予期できないということは無いのでしょうが、
こと”家系図を完璧に記す”という事であれば、
交際期間中からお互いの事を知ることに加えて、
どれだけ相手の先祖の家系図がわかっているかも
確認したほうが良いでしょう。

”二人で一緒の人生”のところはトトム結婚式の誓いの言葉のセルフオマージュ

ちなみに家系図とは別に家系樹と呼ばれるものがあり、
これは図形というよりものような表現になります。

皆さまがご存じのものとしては
ハリーポッターシリウスブラックさんの実家で
不死鳥の騎士団本部に使われた館の
タペストリーに書かれていたものではないでしょうか?

グリモールドプレイス12番地へようこそ

ただこれを見るとお嫁さんなり、入り婿さんが
どこから来て、どこに描かれているのかがわかり難く、
実用的とは言えなさそうです。

さてさて、シュペルター製作とは関係ない話を
延々と続けてまいりましたが
既に5000文字強! 

結局 ”真”樹形図状の図式の仲間は見つかりませんでしたが、
『この樹、何の樹?』については次回また考えるとして、
シュペルター製作体系図解読していきましょう。


上下方向の時間の間隔は製作チャートと異なり
基本的に等間隔としていますが、
組立工程ではあっという間に形が変わって行きますので
他の工程と同じ幅にすると書ききれないところもあり、
一部上下の間隔を少し広げています

組立工程はそれまで丹念に作り上げてきた部品がロボットの形になる、
モーターヘッドガレキ製作の醍醐味のプロセスなのですが、
時間こそ短いが、かなり気を遣う重要工程なのです。

部品単位で樹のがあるのですが、枝に太く色が付いた線がある
ところが”作業をやっている”期間。の意味は次の通りです
: 加工磨きの工程
   形状を変えたり、表面を滑らかにする作業です。
オレンジ塗装工程
   
塗装以外にも、下地処理やマスキング、塗膜の磨きも含みます。
枝と枝をつなぐ横向きのピンクの線: 組立工程

そしてリンゴの実のような赤い丸写真を撮影したポイントです。

これまでnoteで紹介した部分グレイで塗った枠で囲んでみます。

こうして色分けしていくと情報は整理しやすい!

こうしてみると面積的には4分の1くらいを
カバーしているように見えますが、
ピンポイントでどんどん話が進んでいる部品と
初期の製作段階から手付かずで放置されている部品、
あるいは途中まで説明して中断しているものもあって
なんだか虫食いの葉っぱのようです。

なぜこうなっているのでしょうか?

それもこの樹形図からわかります。
パターンごとに記事にしにくい理由を考えてみると。
青い矢印の”1”
   製作初期から既にnote紹介済の部品と一緒に作業しているのに、
  これまでの記事では説明していなかったもの。

大腿関節:単独では登場させにくく、製作途中の写真も少ない
     →登場は塗装品の股関節との組立時(サブアッセンブリ:薄青)
腰アーマー:単品ではあまり改造をせず、主に腰装甲基部との組立調整のみ
     →登場は塗装品の組立時(下半身アッセンブリ:薄紫)

緑の矢印の”2”
  少し遅れて製作に着手しているが、記事に出来ていないもの。

踵アンカー、足首アーマー、膝後ろカバー
 シュペルターの本体には後付けとなる独立した部品。
 結構色々がんばって作ってますが、
 つい製作中のお写真を撮り忘れてました。
  シュペルター本体への組み込みは最後の最後です。
   →登場は完成品の本体組立時!その時までしばしの別れ

また逢う日まで。

           (単品完成後最終取付:薄緑)

大腿後カバー、腹: これは改造はあまりありません。
     →何かのついでに紹介するかも

肩装甲: 改造よりも塗装(???)に手間暇を惜しみなく掛けています。
     本体への取り付けも最後で後半のクライマックスの一つ
     →塗装の段階で紹介しましょう。(単品完成後最終取付:薄緑)

上腕~手首: ルミナスの関節の複製品を
     キットの外装の中に仕込めばばよいと軽く考えていたので、
     あまり写真をとっていません。
     でも最後の仕上げは一工夫しています。
     →塗装した単品が腕アッセンブリーになる直前なら写真あり。
      やむなしやむなし(サブアッセンブリ:薄青)

赤い矢印の”3”
 一度記事にしたものの途中で止まっているもの

足首: おおよその形ができたところまで紹介スミ。
    次に写真を撮っているのは、塗装後の状態です。
   →脛や大腿と一緒に単品状態で紹介できるものだし、
    最初に作り始めていち早く記事にしたものなので
    塗装の説明もこれらの部品を最初にするのが筋でしょう!
            (単品塗装:薄オレンジ)

足首関節、膝関節: 関節基本部品以外の付属品がたくさんありますが
          それらは脚の部品全部一緒に写した集合写真以外は
          塗装後にしか写していません。
    →塗装状態での関節一体化や脚部品との組立段階ならば
     写真映りもばっちりです。(サブアッセンブリ:薄青)

ということで今後の『シュペルターと歩む15年記』の
当面の展開が決まりました。
今回 脚部パーツ塗装に突入
次回 脚部関節の組立
次々回 上腕~前腕の組立

あとはまた成り行きを見て考えていきましょう。

いよいよ新章突入!

何の前触れもなく、塗装についての説明から始まります。
足首、脛、大腿部
製作期間は2015年9月~2017年11月です!

シュペルターといえば
どなたが何と言われましょうとも、白と金でシュペルターのイメージ
決まってしまいます。

シュペルターの白

モーターヘッドガレージキットの塗装ってどんなものでしょうか。

ガンダムなどのなんちゃってリアル表現に使うMAX塗り
戦車模型のカラーモジュレーションなどの技法よりも、
デザイン自体にメリハリのあるモーターヘッドは
単色艶有りで美しく仕上げるのが常道だと信じます

左:MAX塗り、右:カラーモジュレーション

特にミラージュ騎士団の白色系モーターヘッドは神秘的な印象と同時に
陰影を強調して立体感を出すためにもパールカラーが使われることが多い。

ただし『シュペルターを歩む15年記#1』で、ちょっとだけ触れたように
大阪のボークスに展示されていたHSGKシュペルターパール塗装を見て、
これじゃない感”を抱いてからというもの、
自分はどういう白にしたいのか?ずっと考え続けていました。

イメージソースはモデルグラフィックス2002年4月号の
ファイブスターストーリーズガレージキット特集で見た、
ワークショップキャストのレッドミラージュ作例。
ソリッド感のある白が、旧設定に基づきながらも
古さを感じさせない生嶋毅彦氏の抜群の造形力で
引き立てられています。

こういう資料はいつか役に立つのです

次回作のボークス レッドミラージュV3
半透明蛍光ホワイトで塗ることが決まっていましたので、
ソリッドホワイトシュペルターでやってみようという訳です。

さてさて白といっても、純白から暖色系のアイボリーに近いものまで
様々であり、基本色を決めるところから始めなくてはならない。

Mr.カラーGXはどうにもエアブラシでの塗装感に馴染めないので、
隠ぺい力が高いというクールホワイトは使わず、
通常のMr.カラーで何種類かテストします。

最も基本的な白である#1ホワイト
あまり暖色側のアイボリー系には振りたくないので、
逆に灰色がかった#69グランプリホワイトが本命。

それからどんな色なのか塗ってみないと名前からは想像の付かない
#156スーパーホワイト(一体何がスーパーなのだろうか?)も
ついでに色見本をつくってみます。

カメラには白を自動的に調整する機能があるので、実際の色の再現はなかなかむずかしい

グランプリホワイトはちょっとグレー味が強すぎるようで、
意外にもスーパーホワイトが#1ホワイトよりも
少しだけグレーがかっていて良い感じ。
よしこれにしよう。

ただしこれをそのまま塗ったのでは芸がない

ソリッドカラーを使って、透明感立体感を強調する術は
ないものだろうか?

透明感ということで安易にも隠ぺい力を下げるために、
スーパーホワイトにクリアーを混ぜてみる。

白というのは顔料の特性上隠ぺい力はそこそこ高いので、
クリアーを目分量で思い切ってスーパーホワイト自体よりも
多いくらいの比率で混ぜるのです。

当然隠ぺい力を下げたということは下地色が影響するということ。
下地は高輝度のシルバーとするため
ギラギラしたガイアカラーのスターブライトシルバーをチョイス。

塗装は#2ブラック、スターブライトシルバー、
そして隠ぺい力を下げたスーパーホワイトの3層重ねです。

並べて比べるとわずかに下地の色の差がわかる程度の微妙な違い

特にスーパーホワイト塗り重ね回数をコントロールして
色調を揃える必要がありますが、
果たして陰影の強調に一役買ってくれているでしょうか?


シュペルターの金

シュペルターっていうのはK.O.Gナイト・オブ・ゴールド
のうちの一騎なので、
どのようなゴールドを使うかは重要課題の一つです。

パトラクシェミラージュを半透明ゴールド仕上げとした時は
キットのインストラクションに従って
アルクラッドⅡペイルゴールドを薄く塗装したのですが、
それと同じでは面白くありません。

シュペルターは肩からぶら下がる多数の装飾的装甲があって
多分に儀礼的な出で立ちでありながら、
同時に高潔な印象も大切です。

シュペルターのイメージキャラクターオスカル



やはりK.O.Gであるオージェ・アルスキュルのお手本となったAUGE
に塗装した時の赤みの強いゴージャスなゴールドとは
少し求めるイメージが違います。

K.O.Gは天照モータヘッドのシリーズ名グレード(かな?)であり、
まったくゴールド部のないオージェアルスキュルもK.O.Gなのですから、
兄弟騎でゴールドの色味が統一されているというわけでもなさそうです。

むしろシュペルターは別名、ナイト・オブ・クローム
呼ばれることもあるらしく、
哀シイケドコレ戦争ナノヨネ さんの製作記では、
市販塗料の中でも最も”ゴールドらしくないゴールド”である
タミヤスプレーのシャンパンゴールドで塗装しています。

しかし、トトムとしてはやはり”ゴールドはゴールド”!
にしたいので、とりあえず手持ちのゴールド系塗料から選抜

Mrカラースーパーメタリック スーパーゴールドはいかがでしょうか?

ゴールドも選定が難しい塗料の一つ

どうやら“スーパー“づいていますが、
Mrメタルカラーのスーパーゴールドはゴールドゴールドせず
少し真鍮色がかった落ち着いたゴールド。
でもタミヤスプレーシャンパンゴールドよりも確かにゴールドで、
表面をクリアーコーティングできるツーコート用の塗料なので
塗膜の光沢感耐久性も確保できるでしょう。

シュペルターの特別色

脚部にはもう一色、特別色が!

そうなんです。太腿の前面の色です

設定画では関節などのフレーム色とよく似た
パープル掛かったグレーに見えますが、
いくら何でも外装の一番目立つところがフレームむき出しに
なっているハズもなく…

MMシュペルターのあまりあてにならない”指定”カラーガイドでは
シルバー+パール+ブルーで下塗り後、
シャインパールパープル+クリアーでコーティング
と書かれている。

古いボークスガレージキットのインストラクションのカラーガイドは
配合比率が書かれていなかったり、
どうやっても完成見本と違う色だったりしてあてにならないのですが、
この調色レシピもやばい香りプンプンします。

メタリックカラーソリッドカラーを混ぜると
色の顔料金属粒子と分離してうまく発色しなかったりしますし、
シルバー系の反射の多い下地の上にパールをコーティングしても
効果は今一つ。

この指定カラーはテストもせずあっさりパスすることにします。

(製作時点では)最新のIMSシュペルターのボークス完成見本では
この部分は鮮やかなブルーメタリックです。

まぁ設定画を今風に解釈すればステンレス排気管の焼け色のような
鏡面ブルーというのが一つの答なのだろうが、
これを塗装で表現するとなると
ミラー調のシルバーの上にクリアーブルーをコーティングする
塗装法となり、オーバーコートに強いミラー調のシルバー塗装が
できるかどうかにかかっています。

ミラー調塗装はその時点の手持ち塗料や塗料知識の範囲では
手に負えるものではなかったし、
ミラー調ってきれいだけど取りつく島もない優等生のようで
私のイメージするシュペルターには合わなかったのでパス
としてなんとか別の塗装法を探求しよう。

他に独自解釈で塗装している作例をネットで調べてみると
先ほどの哀シイケドコレ戦争ナノヨネさんの作例は、
オージェアルスキュルをオマージュしてまさかの赤系に塗装されており
予想の斜め上を行くアプローチですし、
タイでガンプラ』の記事を書いているFinoさんは、
なんとここでナイト・オブ・クロームの名前にちなんで、
ピッカピッカクロームシート貼りとしており、
カラーリングは自由とはいえ
やはり”シュペルター”の塗装とは違う道を歩むものです。

左:哀シイケドコレ戦争ナノヨネさんの作品、右:Finoさんの作品



ということで、ここからはブルー系という一線は超えないようにして
なんとか新しい表現を試みたいと、野心を抱いての戦いの記録です。

ブルー系というだけでは無限の組合せがある。
基本となる塗料を決めるところから始めよう。

丁度使うあてもなく、ガイアカラーのプレミアムシリーズ
GP-05 ウルトラマリンブルーとGP-05pパールウルトラマリンブルー
という塗料を買っていたところだ。

これを使ってみる。

まずは試しにホワイトのプラ板に塗装し発色をみる。

  うん。難しい

なぜって?確かに発色はきれいだが、
ホワイト顔料の入っていない濁りのないブルーだけに
非常に隠ぺい力が低く、
下地の色と塗り重ね回数で全く違う濃さになるうえに、
エアブラシ塗装をもってしても場所による色ムラになりやすいのだ。

とりあえず、下地はシルバーの3種類で試す。
隠ぺい力が低いブルーの下地はライトブルーとするのが定石なのだが、
『折角のウルトラマリンブルーの色相下地の色で調整するなんて、
どういうことなんざましょ~。奥様~。』
ご近所様に言われたくないものである。

この判断が正しいかどうかわからないが、
下地はあくまで無彩色から選ぶことにしよう。

ウルトラマリンブルーを黒下地の上に何度塗り重ねても
明度、彩度とも上がらず見た目ほぼブラック

白下地は前述の通り、塗り重ね回数次第で青色の濃さが変わりすぎる

これに対してパールウルトラマリンブルーはパール粒子が入っている。
パール粒子は偏光性があり完全に不透明ではないが、
それでも隠ぺい力が上がっており、
白下地でも黒下地でもなかなか良い発色である。
特に黒下地がパールの特性を存分に引き出し、
渋くリッチな色合いである。

だが断る
(あっ、さっきまでAmazon Primeで
岸部露伴は動かない』を見ておりました。)

求めているのはこれではない。
なぜとは言えないが、シュペルターでは安易なパール表現は
どうにも避けたいのである。

それでは、とスターブライトシルバーを下地にして
ウルトラマリンブルーの塗装を試すと発色明度彩度とも良好。
ただし色相が少しブルーすぎて単調である。

色の素マゼンダを少々加えて、パープル寄りのブルーにする。

あれ?さっきせっかくのウルトラマリンブルーの色相調整するなんて
とおっしゃったではないか!と言われる方‼

あぁ憶えていましたか

だが、加えます

下地色の影響ではなく塗料そのものに混色するのはヨシとしよう。
なぜだかわからんが。

悩みがあるからブルーなのではなく、ブルーがあるから悩むのですよ

ただこれだけだとただの”発色の良いパープル寄りブルー”なので、
もう一工夫。

ここでクレオスのMr.クリスタルカラーシリーズの中でも
敢えて、最も使いづらい塗料を試してみようと思うのだ。

Mr.クリスタルカラーはレッドミラージュV3のフレーム部にも使用した
(実は実際の塗装はシュペルターの後なので、後日使用することになる、が正しいのですが)塗料で、パール塗料と今一つ区別がはっきりしないものが多いのですが、その中にXC01 ダイヤモンドシルバーというものがある。

名前はなかなか華々しいのだが、どんな色だろうかと
買って早々に”パール系塗料発色確認の基本となるブラック下地
のテストピースに塗装してみた結果は一言。

微妙~!

文字通り一つ一つの粒子がダイヤモンドのように
キラキラ輝きを放つところは名前に偽りなし
なのだが、どうしても粒子が粗く
さらに見る角度によってかなりはっきりと下地色がわかるので、
シルバーとは言い難い。

このシリーズのメインラインナップである微細粒子の有色パール塗料
とはコンセプトの異なる異端児である。

その時は”ブラックの上にダイヤモンド粒子層が形成された何か
としか表現しようのないこの塗料を使う機会はあるのか
危ぶんでいたのだが、
その下地色を隠し切れない性質と、見ようによっては幻想的な反射色
今回はうまくマッチするのではないだろうか?。

さっそく黒→スターブライトシルバーの下地色
そのうえに先ほど決めた基本色であるウルトラマリンブルー+マゼンダ
を塗装したテストピースを3枚用意。

トップコーティングであるダイヤモンドシルバーの塗り重ね回数を
少な目中間多めと3種類をテスト。

下半分にわざと影を落として撮影

なおダイヤモンドシルバーの輝きは
その上にクリアーコートを施して、
表面を鏡面状に磨き上げた時に真価が発揮されるので、
最終フィニッシュまで仕上げて比較する。

やっぱりこの手の塗料は薄すぎてはだめだが、
濃すぎても基本色のブルー感が乏しくなるだけでなく、
ダイヤモンド的な輝きまでもが失われるので
(正確にはキラキラした粒子が高密度で密集することで
お互いに効果を目立たなくするという集団アイドルグループ的な感じ)
適度な粒子の密度で止め、
基本色の色をしっかり残しながら、その上でダイヤモンドシルバーの粒子が
疎らに見えない程度の適当且つ均一な密集度となるよう塗装すれば良い。

説明は難しいのだが、要はいい感じのところで塗り重ねを
止めておくのが肝心ということである。

かくしてブルー系塗装の意地を掛けた戦いは終わった。

難しいウルトラマリンブルー難しいダイヤモンドシルバーの組合せ
まさに毒を以って毒を制すではありませんが、
写真ではわかり難いものの平面状のテストピースではなかなか良い雰囲気
曲面に塗装するとよりキラメキ効果が目立ちますので
実際の部品への塗装が楽しみです。

シュペルターのおまけ

最後はふくらはぎカバーの塗装です。

ここはインストラクションでは、
なんと!今しがたたテストピースで塗装レシピを決定したところの
脛と太腿前面のブルーのラインと同じ色
が指定されているではありませんか!そんな馬鹿な

ちなみに頭部両サイドの角というかアンテナも同色なのです。
なかなかあり得ない!

いや!設定画を見る限りは確かに少しの濃淡の差はあるものの
ほとんど同じ色に見えるのであり得るのですが、
自分のイメージとはかけ離れ過ぎているので、
ふくらはぎ、アンテナはそれぞれ別々の塗料を調合します。

今回は脚のシリーズなのでふくらはぎの塗装色をご紹介。

ブルーはブルーでも黒に近いブルーと思うので、
ほぼほぼ黒のミッドナイトブルーをベースに調色してみます。

目分量ですが、
Mr.カラー#71ミッドナイトブルー#104ガンクロームを加え
メタリック感を出します。
シルバーではなく、何故にガンクロームかというと理由はないのです。

またミッドナイトブルーは濃紺というよりも
極めて黒に近いグレーがわずかにブルー味を帯びているかな?
いやいやどうだろうな?
というくらい色味が少ない塗料ので、
よりブルーに近づけるため#5ブルーを少々加えます。

配合比は調合皿の上に滴下したポタポタの回数で見当つけると
ミッドナイトブルー60%、ガンクローム40%にブルーを少々
です。

前にも書いたことの繰り返しになりますが、
メタリックカラーソリッドカラーの混合は
なかなか思ったような効果が得られず、
メタリック粒子が塗膜の層の下に沈んで目立たなかったり、
逆に表面に浮かんで不自然な粒子感が出たりするのですが、
この調色はまぁまぁ思ったような、
いや期待はあまりしてなかったけど結果オーライ的な色になりました。

そこで本塗装用に塗料瓶で塗料を調合。
さきほどと同じような比率で混ぜたつもりですが、
テストピースに塗ると少し感じが違う。
少しというのを数字にはできませんが、
その少しで受けるイメージはかなり異なる。
どうやらガンクロームが多すぎるようです。

この(調色失敗の)原液をベースにして
元の試作色に近づけるように
原液2に対してミッドナイトブルー1を加えたものと、
さらに青みを強めるために原液にブルーを加えたものの2種類をテスト。

メタリックカラーとソリッドカラーの相性が良いという奇跡

テストピースでは青みの強い後者の色合いも魅力的ですが、
テストピースの単色だけで決めるのは危険。
他の色との組み合わせも考えて、ふくらはぎは過度に青の色味を強調せず、あくまでもストイックな色にしよう。ということで前者を選択。

かあさん、僕のあの帽子どうしたでしょうね

ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。

みなさん、僕のあの部品どうしたでしょうね。
ええ、切って、貼った後、塗装をする前に
noteから落とした、あの脚の部品ですよ。

大丈夫です。
ちゃんと丁寧にディティールを仕上げた後で、塗装を行っています。

それでは一つ一つ塗装しているところを見ていきましょう。

足首

下地処理プライマーサフェイサーを使います。
足首は一刀両断して、間にエポキシパテを挟み
前後方向に延長しているのですが、
レジンでの複製はせずに、原型をそのまま使用してます。

レジンとパテとの境界線は素材の違いにより
亀裂段差が出来やすいので、
いろんな方向から確認をし、
しっかりと表面処理をすることが塗装の第一歩。

深い傷はサフェイサーを何度吹いても埋めきれません。

やれやれだぜ!(Amazon Primeのマイブームが、岸部露伴先生から
スターダスト・クルセイダーズへと変わりました。)

こういう場合は瓶入りプライマーサフェイサー原液を少し薄めて
で疵に流し込んでタッチアップします。

サフェイサーをエアブラシで吹くような濃度(3倍程度)に薄めると
吹き付けた時は傷が埋まっているように見えても、
溶剤が揮発すると肉瘦せして、必ず疵が現れますし、
逆に原液の濃度だと、流動性が低すぎて疵の中の空気が抜けず、
サフェイサー乾燥後に磨くと内部から気泡が現れて、
結局疵を埋めきれなかったりします。

いずれにしても虫刺されの”キンカン”のように
塗っては乾かし、塗っては乾かしを3~4回は繰り返す地道な作業です。

表面処理が出来たら全体をMr.カラーの#2ブラックで塗装します。
(下図の①:写真は無し)
メタリック塗装の下地は、重厚感が得られるのでが一般的なのです。
スーパーゴールドの部分はもちろん、足首関節の周りや足裏メカ部分にも
メタリック塗装をしますので共通で黒下地

また今回クリアーを混ぜたスーパーホワイトの塗装は
下地をスターブライトシルバーとしますので、
その下地は結局黒

わーい、まっくろくろすけ出ておいで~
と喜んで塗ったのは良いのですが、
その後平滑な下地とするために磨いたのがまずかった。

いや磨くのは良いのです。
特にメッキ調のシルバー塗装をする場合には下地の黒は
コンサートのピアノみたいにピカピカに磨かなければならないのですが、
その他の金属色でも下地が滑らかであるに越したことは無い。

まずかったのは、最初から全面を磨き、
折角磨いた下地をそのまま活かしたいと考えた事。

すなわち下図の②のような状態になったことです。

ホワイト塗装時、ホワイトに塗装する部分以外マスキングしています。
塗装後、マスキングを外すと写真の通り。
ピカピカに磨かれたブラック下地が残っています。

次のステップとして③として、ホワイト部マスキングして、
スーパーゴールドの塗装をします。

その結果は?

足首塗装完了状態

こうなりました。
ホワイト、ゴールドとも美しく塗れました。
特にゴールドは磨き上げた下地の上に塗装しているだけに、
滑らかな金属光沢美麗です。

ん?ホワイトゴールド境界線
わずかにブラックの下地が残っているではないですか!

これはしまった。ちょっと目立ちます。
塗り分け部の形状とマスキングテープの厚さによるものと思われますが、
とはいえすべての塗装を剥離して、やり直す気にもなりません。

きっと、こんな事が起こったんだろう。

塗装をやり直すのは良いとして、プライマーサフェイサーまで剥離して
下地処理をやり直すのは、
ジャイアンでなくとも『母ちゃん勘弁!』と寝言で言ってしまいそう。

夜は贖罪の時間

次の段階でエナメル系塗料で凹部にスミ入れしますので、
この部分には僅かにグレーがかったホワイトのエナメル塗料を流し込み、
ブラックの目隠しと、スミ入れ効果の両方を狙うことといたします。


足裏ディティールは最新ガレージキットと比べると立体感が乏しいが、
塗り分けするとなかなかイケてる。ただし完成後見る事はほとんどないのだが。

足裏側にも同じ現象は起こりますが、
ゴールドと接して塗装する金属色がかなり暗い色ですので、
ほとんど目立ちません。

足裏にはホワイトとスーパーゴールドの他に
5色塗装されているのがわかるでしょうか?

関節の塗装のところで説明をしますが、5色というのは次の色です。
がかったフレーム色:足裏の周辺
グレーっぽい金属色:足裏の中央(上の写真④で塗装している部分)
薄いゴールド(タミヤのシャンパンゴールド):ダクト状の部分
光沢の強いゴールド(バルケッタシャンパンゴールド):大きなダクトの両脇
アルクラッドⅡポリッシュドアルミニウム:踵の二つのピン

足首には塗装後に細かい装飾用の部品も取り付けするのですが、
それはいつの日にか組立段階でのご紹介といたします。

主な塗装色はホワイトと脚前面のブルーです。
いずれも基本色塗装前の下地
ブラックスターブライトシルバーですので
全面を一気に仕上げたいところですが、実際にそうしました。

シルバー一色

それでは足首のように塗り分けの境界線下地色が見えてしまうという
粗相が起こらなかったのかというと、大丈夫

塗り分け部の形状が平面
マスキングテープの厚さの影響を受けにくいこともありますが、
根本的にはホワイトとブルーの境界部に細いラインが入っており、
最後に細いラインを塗装していることで
完全に下地色は見えなくなっているのです。

せっせ~とマスキングだよ~


上の写真は細いライン塗装のためのマスキングをしているところ。

まだ全ての部分を塗り終わっているわけではありませんが、
ブルー塗装部の色合いが良く分かります。
深いブルーの上にコーティングしたダイヤモンドシルバーの粒子が
といった多色反射をしているのが見えますか?

まるで神秘的な霧の摩周湖の霧のない時のような雰囲気です。
(なんのこっちゃ)
これを摩周湖ブルー
いやいっそもう少し短くマッシュブルーと名付けます。
(塗装の6年後にして決まる色の名前!)

命名 マッシュブルー


マスキングの話に戻りますが、ホワイト塗装する時には、
わざとホワイトが細いラインにわずかに入り込むよう、
甘めマスキングするわけです。(図の②)
(細いラインを形成するスジボリがホワイトで埋まってしまう程度)

絵に描けば長い話である

次にブルーの塗装をする際にも同様に甘めのマスキングをして、
スジボリに塗装が付くようにします。(図の⑤)

最後に細いラインの塗装をしますが、
その前にホワイト部、ブルーの部分を研磨して鏡面状にします。
細いラインはタミヤシャンパンゴールド吹き付けままの
落ち着いた輝きを活かすつもりなので、
塗装前にその周辺部を磨いておく方がやりやすいのです。(図の⑧)

その際、細いラインに残っているマスキング境界線の
吹き溜まり跡もきれいに均して、細いラインの下地作りをします。

最後に細いラインを残してマスキングし、(図の⑨)
ラインの塗装をするわけですが
実はこの時のマスキングの位置は悩み所。

多分に経験的且つ感覚的な言葉でいうと
マスキングテープの端がスジボリの”ヘリ”に乗る感じ
とでもいいましょうか、
正確かどうかわかりませんが、敢えて数字でいうと
スジボリが6~7割くらい見える位置です。

なお塗膜の磨き時、ブルーの部分にはダイヤモンドシルバーの上に
スーパークリアーⅢをコーティングしていますので、
クリアー層の厚みの範囲内であれば磨いても
色の状態は変化しませんが、
ホワイトの部分ソリッド感を出したかったため、
クリアーコートはしていません。
(ホワイトに半分以上クリアーを混ぜているのに、どの口が言う⁉)

そのため、ホワイトは磨いて塗膜が薄くなる分、
下地のスターブライトシルバーが透過して見え易くなります。
そのため磨き代を考えて少し厚めに塗装しないといけませんし、
磨き過ぎは要注意です。

実際にこの脛部品でも両サイドの張り出しを強調した部分の磨きを
ついやりすぎたため
エアブラシでホワイトのタッチアップ塗装をすることになりました。


スネちゃま

脛部品の塗装状態がこれ。

両端のところ(フレキシブル装甲のサイドロックピースという設定でした)がグレーっぽい色になっているのが見えるかと思いますが、
これは設定にはないトトムオリジナルの配色です。

フレーム部の一次装甲に使用する色として、
アルマイトをイメージした調色をしてみたのですが、
その色を外装部にも結構多用しています。

アルマイトといえばアルミニウムの表面に生成した酸化アルミニウム(Al2O3:アルミナ)の被膜のことですが、
昔懐かしいお弁当箱に使われる材料というほうが馴染が深いでしょう。

たのしいな!

アルマイトの白っぽい銀色という特徴から
割と安易
SM01スーパーファインシルバー70%+#1ホワイト30%で調合し、
さらに通常であれば金属色は重厚さを表現するため下地をとするところ
逆に白の下地の上に塗装して軽さを強調。

塗装の面積が狭いため写真ではよく見えませんが、
グレーの中に鈍い金属光沢がありアルマイト的といえばアルマイト的。

でもなんか違うんです。それよりもピッタリな表現があるとしたら、
タミヤパテ溶きパテにして塗った表面の艶有りバージョン!

がんばって塗装した最後が、”溶きパテか。”とは思うのですが、
面白い表現ではある。
一時期コンクリート打ち放し調の建物が流行った時みたいな。

最後に脛の下端部付近にあるのはこれまた以前に紹介した、
イレイザーエンジンのキルスイッチ

プラ板、プラ棒から別部品として作ったものを取り付けています。

キルスイッチの塗装は何も考えず、
ガイアカラープレミアムシリーズGP-02のプレミアムレッド
白下地の上に塗ったのですが、素晴らしい発色
っていうかその能天気な発色が目立ちまくってしまいます。

まぁ通常ならばもう少し彩度を落とすべきところですが、
これは非常時に操作するスイッチということで、
目立つの上等!そのまま使用しました。


大腿

別にな~んも目新しい事ないっスよ~
(Amazon Primeで見るJoJoシリーズが、ダイヤモンドは砕けない
になりました。)

そう、大腿部品の塗装としては、脚部の統一性の観点からも
当然ながら脛と同じ配色ですので、特に新しい説明はないのです。

ただし塗装前の状態はちょっと特別です。

まるち、まるはち、まちるださん

部品を切断して繋いだり、ボリュームアップしたり、
ディティールを作り込んだりしているうちに、
6つもの素材を使っちゃってました。

マルチマテリアルの極み

エポキシパテはレジンへの接着力も強いし、表面も滑らかに仕上がります。

前面下端の二重装甲のようになっている部分は薄いので
エポキシパテ高密度タイプを使用

ポリパテはエポキシパテに比べて硬化前の状態が柔らかいので、
薄く広く盛り付ける場合には使用しやすいです。

大腿の下端は正確に1㎜分延長したかったので、
1㎜厚のプラ板を貼り付けています。

そして後面のフェアリング状の部分。
ここは薄く独立したフェアリング部品にする必要があり
真鍮板を使用しています。

こういった複数素材からなる部品の下地処理をする場合には、
どんなマテリアルを使えばよいのだろう?
レジンのみの部品であれば、
各社からレジン専用のサフェイサーが発売されています。

造形村GKサーフェイサー、Mr.レジンプライマーサーフェイサーなどです。

しかしこれらはすべからく
ウレタンレジン専用です。
プラスチックは素材を傷めますので使えません。
と注意書きがされています。

一方でMr.サーフェイサー1000、Mr.プライマーサーフェイサー1000
というものもあり、
これらには
プラモデルはもちろん、
金属(エッチングパーツ、ダイキャスト、ホワイトメタル)や
レジンパーツの塗装前仕上げに最適!』と書かれているのです。

こんな、んま~い話があるのでしょうか?
どんな素材にも使えるなんて!
これでは何のためにレジン専用のサフェイサーがあるのかわからない。

ボークスの塗料売り場の前で、各種サフェイサーを手に思案しつつ、
脳幹温度上昇!

考えていてもきりがないのでボークスの店員さんに聞いてみました。

すると
『やはりレジンパーツには、”レジン専用”のほうが密着性が優れています。どうしてもプラスチックを傷めないようにすると、
食いつきが悪くなりますから』というほぼ予想通りのお答え。
『でも、レジン専用でなくても、
塗装面を強くこすったりしなければ大丈夫ですよ。』

いや、塗装の塗り分けの為にマスキングテープを貼ったり剥がしたりを
何度もしますし、やはり強力な密着力がほしい。
部分的とはいえ改造にプラスチックを使用したのが間違いか!
もしくは複製によるレジンへの置き換えを徹底して行うべきだったか!

その時、店員さんの目がキラリと光り、
意味ありげに周囲を一瞥したかと思うと
『実は奥の手があります。』とささやく。(ここのところ脚色です)

『意外と知られていないのですが、金属専用と思われている
メタルプライマーは、実は溶剤自体や強くはなく、接着剤のような成分で
プラスチックも傷めず、レジンにも強力に密着するんです』
『ただしサーフェイサーのようにを埋める効果は
ほとんどありませんのでメタルプライマーを吹き付けた上に、
プラスチックを傷めないタイプのサーフェイサーで下地処理をすれば、
きれいに仕上げられます』

おー、さすがボークスの店員さん。
近くにいた人に無作為に声を掛けただけなのに、なんと深い知識なのだ。

ひさびさに、近所の模型屋さんの模型名人に憧れる、
プラモ小僧のような気持ちになってしまいました。

教えていただいた通り、タミヤのメタルプライマー缶スプレー
Mr.プライマーサーフェイサー100を購入しました。


もももももいも湯上り卵肌(意味は本文の最後で!)


おかげ様で、こんなに下地は美肌に仕上がりました。
アルマイト塗装部の塗り分けのためのマスキング
少々メンドクサイですが、ボークス直伝強力下地処理のおかげで
安心してマスキングテープを密着させることができます。


とりあえず今回はここまで!ですが
最後に写真キャプションクイズの答え、
もももももいも” は ”桃井も”
でした~











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