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馬事東風 上の巻

春風に馬とたわむる


やりました!乗馬ライセンス4級試験、合格しました。
三木ホースランドパークにある乗馬教室・三木ホーストレック
4年かけて練習してきたのですが、
運動神経が今一つの私も、なんとかここまで辿り着けた事に感無量

乗馬教室に通える期間もあと2カ月足らずとなりましたが、
初めて乗馬をした日のことから思い返してみたいと思います。

乗馬事始め

三木ホースランドパーク、三木ホーストレック及び馬事センターの関係は今一つ分かっていない。

乗馬事始めはドンマイG.W. Part Ⅲでご紹介した通り、
蒜山高原の牧場なのですが、観光地で引馬の背中に乗っているだけでは
さすがに乗馬とは言いづらいので、
我が乗馬の学び舎たる三木ホースランドパークに始めて行った日から
改めて振り返ります。

2018年6月 三木ホースランドパーク トレッキング体験
ふるさと納税でトレッキング体験チケットをゲット!
トトムとポコぞう、二人で体験。ゼニファーは見守り隊です。

その日は朝からあいにくの雨模様でしたが、
事務所でいろいろと説明を受けた後、馬と一緒にポクポクと歩いて
第2屋外練習馬場(陸上競技場で言えばサブトラックみたいな)へ行き、
そこで馬に跨ったときには雨は上がっていました。

馬は日本乗系馬であるケイタ明華
(2頭とも今もトレッキングで頑張ってます)

インストラクターの方が先頭を歩いて誘導してくれるとはいえ
自分で手綱の操作をして、森の中クロスカントリーコースを歩きます。

三木へおいでませ。

ほとんど馬が道なりに自分で歩いてくれるとはいえ、
起伏のある、長いコースを歩くので乗馬気分は十分味わえました。

雨上がりの森は木々が出すマイナスイオン
いっぱいで清々しい気分。

ただ馬にとっては、マイナスイオンよりも、
の脇に生えているのほうが断然魅力的に見えるようで、
油断をするとムシャムシャ食べ始めて動かなくなります。
口を草に近づける前に、手綱で頭を引っ張り上げて、
道草ダメ!)
と指示を出すのにも結構な力が必要なのでした。


その後1年間は乗馬は無し。

乗馬教室への勧誘を馬耳東風とばかりに
聞き流していたわけではありません。

一度トレッキング体験をしたら、その後
乗馬に興味ありますか?とか
乗馬教室のご案内!
とか何かしら連絡が来そうなものですが、
三木ホーストレック、来る者は拒まず、来ないものは誘わずの姿勢で
まったくセールスは無しなのです。

翌年4月、ポコぞうは晴れて小学校6年生!

乗馬教室は小学校6年生から入会でき、
春風の気持ち良いこの季節は、乗馬を始めるにもうってつけ。

いや、風流を気取っているわけではなく、まじめな話
傍目から見ると優雅で気持ちよさそうなのですが
やってみると乗馬は結構ハードなのです。
の暑さはもうクラクラきますし、
は乗っている時はほど良く暖まりますが、
騎乗前の準備である馬装と騎乗後のお手入れはなかなかつらいのです。

閑話休題、トトムとポコぞう二人そろって乗馬教室に入会するために
再び三木ホースランドパークを訪れました。
でも何故トトムまでポコぞうが小学校6年生になるのを
待ってたかですって?

チッ!チッ!チッ!チッ!☝️
だってトトム一人では心細いではないですか。エッヘン


2019年4月 体験乗馬

正式な入会手続きをする前に、体験乗馬をすることになっているのです。

『やってみて”やっぱり無理!”っていう人もおられますし、
どうしても乗馬には危険が伴いますので・・・』
“乗馬は誰にでも楽しめる安全なスポーツです。”
というパンフレットを前にそのように説明されるが、
そのあたりの本音と建て前への感想はグッと呑み込む。

トレッキングとは違って20m×20mくらいの屋内練習馬場で
同じところをグルグル周回します。
これは体験乗馬に限らず、乗馬教室での基本的なスタイルです。

とはいえ最初は、円運動の中心インストラクターが位置し、
回転半径の長さの紐でつながれた馬に乗ってのメリーゴーランド状態。

イメージです。(正しくは一つの円に馬一頭のみ)

並歩発進は両足で馬体を挟む””で合図し、
手綱を軽く引っ張って停止させるのは
トレッキングの時に教えてもらった通りです。

速歩も少しですが体験
(並足の状態で更に強く””を入れると速足になるのですが、
さすがに初めてでは無理なので、インストラクターの号令で動きます)

あまり運動神経に自信はありませんが、
全然無理ってわけでもなさそうなので、やってみましょう。
トトムとポコぞう、正式に申し込み。

『だいたい皆さん週1回くらい、いらっしゃいますよ!』だそうです。

週1回毎週ともいえる。そんなに!?

いや、趣味なので毎日というならともかく、毎週くらいは当たり前!
と思うでしょうが、なかなか、お気軽にという訳にはいかないのです。

基本的なパターンは以下の通り
家を出発して車で1時間かけて三木ホースランドバークへ。(1Hr)
乗馬開始の約1時間前に到着し、馬を繋ぐ洗い場の場所を確保して
馬具を準備(倉庫から出してくる)(0.5Hr)
30分前に馬を馬房から連れ出して来て、馬装。(0.5Hr)
30分のレッスン(0.5Hr)
レッスン後は馬具を外して馬を馬房に戻す。
午後のレッスンの場合だと、馬のお手入れがあり約1時間。(1Hr )
その後、着替えて(夏の場合は汗びっしょりなのでシャワー室でシャワー)1時間かけて帰宅。(1Hr)

鞍などがある馬具置き場(左)、馬を繋ぐ洗い場(右)

ということで最大4.5時間 すなわち半日仕事なんですね。
たった30分のレッスンのために半日も!
もっと長い時間乗れば万事解決、と思う勿れ。
なかなかハードで30分でへとへとになるので、
やっぱりこれでちょうどいいのです。

とにかく無理せずぼちぼちとやってみましょう。

個性豊かな馬達との出会いと別れ

ビギナークラスからスタートです。
ビギナークラスの次はスタートクラスなのだから、ややこしい。

紐(調馬索)に繋がれた状態の馬での練習では
スタートラインにも立っていない、ということか?
いや調馬索が外れても、次はビギナーAクラスからビギナーBクラスへの
クラスアップなのだから、なおさらややこしい。

スタートの定義


クラスによらず、乗る馬は当日受付をしたときに初めてわかる
という仕組みですが、ビギナークラスは乗りやすい馬から。
馬によって性格も走り方(動作)も違うので、
だいたい主担当(?)の馬が決まっており、
最初のうちはほぼ主担当に固定です。
トトムはタイキエニグマ、ポコぞうはマイネルグレーカ

申し遅れましたが三木ホースランドパークは関西随一の乗馬施設。
JRAと三木市の合同施設であり、乗馬の振興のため、
通常の乗馬クラブの半分くらいの値段で乗馬教室は入会でき、
これまた割安でレッスンを受けることができます。
そのかわり在籍期間は最長3年間です。
(ただし新型コロナの緊急事態宣言で何カ月か休止期間があったことと、
最後の1年となる2022年に、希望すればあと1年延長可能という
ルール変更があったため、今でも通っています。)

所属する馬は、中央競馬で活躍した往年のサラブレット達。

タイキエニグマは大樹ファームの生産馬で
中央競馬での獲得賞金は1億6214万円と並みのサラリーマンをしのぎます。

当時18歳、人間で言えば55歳(現在の私と同い年です)と
定年退職には早いですが、
当然競走馬として現役バリバリというわけにはいかず、
乗馬教室で乗馬振興に貢献しているというわけです。

ただしピート・ミッチェル大佐のように若い頃は無茶をしたけど、
今は教官として、人格が円熟の極致に達している
というわけにはいかないようで、インストラクター曰く、
馬は何歳になっても精神年齢は小3男子!』なのだそうです。

全盛期の時ですら精神年齢若いな!

エニグマグレーカ白馬ですが、馬界では白馬を芦毛と呼びます。
もともとは褐色などの毛色ですが、後から白い毛が増えて来て
白馬のになるのだとか。

まぁ呼び方はとにかく暴れん坊将軍のように
白馬に乗れたというだけでテンション爆上がりです。

やはり初心者は白馬に限る。
しかし玄人となると黒馬にいわれなきロマンを感じるもの。(私見です)
ちなみに黒馬は黒馬で、和牛と異なり黒毛とはいわず”青毛”なので驚き。
(これ乗馬ライセンス試験に出まーす。)

いや、日本。平和だな。

少し慣れてくると、担当馬が変わります。
日によって違いますが、トトムの場合には、
メイショーダイクンスプラッシュエンド
ビギナーBクラス時代の担当馬、
ポコぞうはマニアあこがれ(笑)の青毛 バルタバス

おそらくエニグマ、グレーカは入会したばかりの超ビギナー生徒
お相手専門なのでしょう。

そんなエニグマグレーカも気が付くと
馬房に姿を見る事がなくなりました。
乗馬教室を引退して、三木ホースランドパークから北海道の牧場に移り
のんびりすごしているんだとか。
引退馬に幸多かれ

なに?この画像?と思われた方。これぞシュワちゃんの名作『バトルランナー』です。
ランニングマンというTVショーをクリアーした勝者は南の島でのんびり暮らせるのだとか。

スタート(速歩)クラスでは、馬をあまり固定せず、
いろいろな馬に乗りましたが、彼らの半数以上は現在はご引退。

そして究極の目標である、スタート(駈歩)クラス
その上位クラスにはホップクラス、ステップクラスがありますが、
週1くらいの練習量では全く手が届きません。

やはり素人レベルにとっては駈歩が一番難しいので、また馬固定に戻り
トトムは明藍リアルブラック
ポコぞうはほとんど明藍中心です。

以上駈歩(かけあし)クラスまでを駆け足で説明しましたが、
上の巻”最後は印象に残った馬の紹介で締めくくりたいと思います。

なお以下の紹介は、あくまでレッスンでごく短い時間だけ馬と触れ合う
レッスン生思い込みでありまして、
三木ホーストレックで毎日馬のお世話をしているスタッフさんが記載した
三木ホーストレックのHPの紹介文とは
全く違うものであることを申し添えておきます。

まずは引退馬から
バルタバス
 
愛称はバルちゃん。青毛(黒い毛色)で見た目迫力がありますが
おとなしくて乗りやすい。
ポコぞうのお気に入りの子ですが、この子もいつの間にか引退。
さようなら~。お達者で~。

カプリシオ 
芦毛ですが、繊細なイメージは微塵もなく大柄。
胴も太ければ足も太い。
後脚の足首をガードするプロテクターは
普通の馬にピッタリサイズのものでは短すぎて、足首に巻ききれません。

洗い場で鞍を装着すると、どういう訳か眠くなるようで、
ウトウトしはじめます。
ウトウト、カックンを繰り返しているので、
警戒心の強い馬でもどんなに神経が太い奴がいるんだ!
と感心していたのですが、
ある日、お隣の人がカプリシオの騎乗準備しているときに
完全に眠ってしまい、前のめりにコケるのを見てしまいました。

どうも鞍を付けて胸を腹帯で締められると眠くなるようで、馬のドクターが診察をしていました。
それ以来カプリシオに乗る時は、ウトウト始めると、
おい、しっかりしろ!ねるんじゃないぞ~!
と八甲田山のように起こし続けないといけないのです。

友情出演は沖田十三さん

イーリス 
三木ホーストレックの初代(?)紅一点
ホーストレックはほとんどが牡馬ですが、数少ない牝馬の一人。
お肌の弱い乙女で、足首をガードするプロテクターも
肌触りの良い柔らかいものを専用に使っていました。

続いて、今でも三木ホーストレックで乗ることが出来ます!
現役馬🎉

ジャスミン 
三木ホーストレックの2代目(?)紅一点
三木ホーストレックのHPでは『気の弱いまじめな女の子。』
と紹介されていたのですが、男子達(当然馬のです)から
ちょっかいかけられて、ウザっ!ってなったのか、
練習で走っている時には、雄の馬が後ろから近づきすぎると
(いわゆる女の尻を追う状態)
ジャスミンに蹴りをかまされるので注意してください、と言われます。

その他馬房から大きな音が聞こえてくるときは
たいがいはジャスミンが壁を蹴っている音。
なにか気に入らないことでもあったのでしょうか?

ジャスミンには半年遅く乗馬を始めたゼニファーが
よく乗っていたのですが、
途中から怠けることを覚えたらしく、
やる気の出ないときにはあまり走らなくなったということで、
まさに馬脚を現したか。


マイネルアンドレア

アンドレ様と呼ばれる高貴なお方。
ポコぞうが馬房から連れ出す時に無口(馬が口にくわえる”はみ”のない頭絡で、引馬をしたり、洗い場につなぐためのもの)
をつけようとすると、”無礼者、我を誰と心得るか!”
威嚇してくるためポコぞうは苦手としている。

アンドレ様

リアルブラック
青毛で、バルタバス同様におとなしい馬。
馬房から出す時も、だいたいがすすんで無口をつけさせてくれますし、
洗い場ではいつもよい子にしています。
ただし脇腹のブラッシングだけは嫌なのか尻尾でペシペシ叩いてきます。

ニンジンも欲しがりません。いや欲しいけど我慢します。
でも一通り馬装が終わってから、いつもニンジンを入れている手提げ袋からタオルや手袋を取り出そうと、ガサゴソすると、
”あ!、あの中にニンジンがっ!”じゅるじゅる(よだれイメージ音)
じーっと見つめてくるので、さすがに忍びなくなり
そのタイミングでニンジンヒトカケラあげましょう。 ボリボリボリ…。
その後、”あの~ニンジンもう少しいただけないでしょうか? ”
と前脚で、そろ~っと地面をなでるような遠慮がちなアピールが
これまた同情を誘います。

そんな可愛い仕草がみんなに大人気のリアルブラックですが、
前髪がとっても短いのです。
イケメン ”で検索すると、すぐに下のような画像が出てくるほど
イケメンサラブレッドに大切な前髪

ネット検索で出てくる イケメン馬



『頭絡を付けた後は前髪が額革の下敷きになるので、
きれいに前髪を出してあげましょう』とインストラクターには
言われるのですが、リアルブラックの前髪は短すぎて頭絡を付けても
額革に届きません。

リアルブラックのデコスケ近影
リアルブラックのデコスケ最近影

ダノンジェラート
速足、駈足などレッスン中、次に何をやるかはわかっているのに
騎乗者が正確に指示を出さないとやってくれない、
なかなかやりにくい上司のような存在。
得意技は走りながらのボロ(うんち)。
他の馬もレッスン中にボロをすることはありますが、
ダノンはボロをしないことがまず無い
30分のレッスン中におおよそ2~3回はボロをします。


スプラッシュエンド
 
綺麗な栗毛のお馬さん。
お調子者で三木ホースランドパークの広報部長ということらしいです。
よくのように顔をスリスリしてきましたが、
これはただ顔が痒かったのでしょう。
レッスンを終えて洗い場に帰ってくると、必ずおしっこをします。
『ひとっ走りした後のおしっこは開放感が格別だぜい。』
と言いたげに、勢いよくバシャバシャほとばしります。
まさにSplash Endの名前は案外、“最後”に“水しぶき“なのでは?

イメージです

明藍
脚での合図に、軽く反応してくれますし、
なんだったらインストラクターの掛け声(人間語)を理解して
(実はほとんど馬が日本語の掛け声がわかっていると思われますが、
速足を止めるなどの楽な方向の指示のみ聞こうとします)
合図に先回りして動いてくれます。
そんな乗りやすい明藍ですが、騎乗前の馬装は少し大変。
馬房にいるときは自分ではあまり水を飲まないのか、
洗い場に出るとまず水をガブ飲みます。
いえ無口をつないでいるので、馬は自分では飲めない、
水をくんだバケツを口元に持って行って飲ませてあげる必要があります。
その量たるや、バケツで2杯半。(バケツですよ)
1杯目が空なり、水道でバケツに水をいれていると、
前脚でパカン、パカンと地面を蹴り”まだ飲む‼水いる!” と催促。
『はいはい、わかってます。だから水を汲んでいるんでしょ!』

水を満足するまで飲んだら、
”今度はニンジンくれ。ニンジンをくれなきゃ馬装に協力してあげない。”
と更に強く前脚を打ち付けてアピール。
控えめなアピールで同情を誘うリアルブラックとは正反対の強硬派
まぁねだられるままにあげていては、
レッスン後にご褒美としてあげる分がなくなってしまうので、
ほどほどにするのですが、かなり前払い要求が強いです。

そして最後のこだわりは、『馬房の外ではおしっこはしない。』です。
やたらうんちおしっこネタが多いな。
どうせなら、スプラッシュエンドのように洗い場でおしっこをして
スッキリしてから馬房に帰ればよいのに、
決まって馬房に帰ってからおしっこジャー
今からくつろぐ自室の牧草の上にわざわざおしっこをするとは、
いかなる心理なのか?
しかし、一つのレッスンが終わった後に、続けてレッスンがある場合には、馬房には戻らず、また練習馬場へ行きますので
明藍としても”あれ?おうち戻るんじゃないの?”
”もうおしっこ我慢できない。”
と馬場の真ん中でジャーっと粗相をする時がたまにあり。
何食わぬ顔でやってますが、
自分でも、うわっと思っている気配を感じます。

最後は馬のトイレ事情の説明が中心になってしまいました。

馬も個人、いや個馬ごとにトイレ道あり!

ちなみに勝手な感想ですが、
練習馬場での用足しはボロ(うんち)よりもおしっこのほううが、
より”やっちゃった感”が強いと感じるのは何故なんだろうか?
人間ならばおもらしはおしっこで済んだ方がまだマシだと思うのですが…
 

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