見出し画像

いいね☆警女 あの夏の日を忘れない

プロローグ

私の愛車は新車で購入して既に27年が過ぎたアルファロメオ155です。

2023年のゴールデンウィークにグリルの枠をアズールグレイメタリック
塗り替え、今度は剥がれずに美しい状態を保っていてくれます。

塗装の記録(再掲)

ところが一方でこの半年間でボンネットの塗膜が急激に劣化して
艶が無くなってきています。
あと5年もすると天井、後部トランク上面の塗装も劣化するでしょうから
その時は2度目の全塗装をしたうえで、
『ジオンはあと10年は戦える』というマ・クベの皮算用をしています。

すなわち、15年後ということになると私も70歳なので、
アルファロメオ155の引退とともに免許返還するのも良いでしょう。


とはいえ今回はそんな未来の話ではなく、
昨年の夏のタイトルの通り警察が関係する出来事です。

私が犯罪を犯したというわけではないのですが、
捜査に関する内容をnoteで公開するのは、
国家反逆罪には問われずとも、怒られたりしたら嫌なので
ほとぼりを冷ましていました。

年の明けた今、いざ公開の時。
念のため、事件発生日時は曖昧にして
被疑者(?)を特定されないように注意するとしよう。

この車、夏場はエアコンが効かないというのは
このシリーズではもはや公知の事実。
エアコンが壊れているわけではないのですが、
車内が非常に高温になるとエアコン操作パネル液晶表示が映らなくなり、 スイッチが入らなくなるのです。

実はインテリアもカッコ良いアルファ155

それを『エアコンは壊れていない』と言い張るのは、
冷媒ガスが抜けたり、コンプレッサが動かなくなったのではない”
ということで機械的には正常であり、
”ただ制御装置電気的不調なだけ”といういかにも機械工学系の考え。

初夏午前中の涼しいうちであれば、ちゃんとエアコンは効くのですが、
そのまま出かけて、出先の駐車場に停めておき、
いざ帰ろうとするとエアコンが作動しないという目に何度か遭っている。

そこでこの夏は一計を案じ、出かける時には
バスタオル保冷剤(多数)保冷バッグに入れて持っていきます。

目的地に着いて、駐車場に停める際に
フロントガラス日よけをきちんとつけると同時に
ダッシュボードコンソールエアコン操作パネルの上に
保冷剤を巻いたバスタオルを置くことで制御装置の過熱を防止するのです。

これが功を奏したのか、
7月中エアコンはサボることなくちゃんと動いてくれました。

ただ8月になると夏将軍到来!(昨年の夏は本当に暑かったですね)

午前中から半端ない熱波で、
朝のお出掛け時からエアコンが怪しくなり始めました。

エアコンの液晶表示自体は映るのですが、
エアコンの設定温度を表示する部分が外気温を表示しているのです。
(外気温ボタンを押して数秒間のみ外気温表示するのが正常)

以前、外気温を測るセンサーが壊れた時もこれと同じ状態となり、
”エアコンは動くが冷たい風が出ない”という事態になったことがあるので
イヤな予感(その時はセンサー交換で完治) 。

工ンジンを掛けるが、外気温と同じ熱風吹き出し
同時に顔から噴き出す

液晶表示せず、エアコン自体も動かないのが重症とすれば、これは軽症
エアコンパネルの上に保冷剤を置き、
傷は浅いぞ送風で自らの操作パネルを冷やすのだ! )
としばらく見守るが表示は外気温のまま、冷風が出る気配もなし

これでは乗れない

それでも8月下旬のある日早朝、日差しも翳り気味だったので
ダメ元でエンジンをかけると、瞬間液晶パネルは外気温を示すが、
すぐにエアコン設定温度表示に戻り、それに伴い冷風が出始める。

しめた!

これならば出先の駐車場でも保冷剤フルカバー
操作パネルの温度上昇を防げるかも! と乗り込んで出発。
(主に目的地は三木ホースランドパーク
乗馬レッスンの予約時間次第で出掛ける時間が早かったりするのです。)

出先では例の過熱対策完璧に施し、
2~3時間後に帰ろうとしたのですが、
朝のうちの曇りは既にすっかり晴れ、フロンガラス以外の窓から
燦燦と降り注ぐ直射日光で車内は極限の暑さに。
"なむさん"とキーをひねるが、ダメです

液晶パネルがつきません。
当然エアコンも動きません。

やっぱり真夏の暑さを舐めちゃあいかんな。
とまた運転席および助手席の窓を全開にし、
さらにを風を車内に導くガイドベーンのようにして、
少しでも風を車内に導入しながら帰る。

今年は9月になってからも暑さが緩む気配がなく、
残暑厳しかったですよね。

残暑お見舞い申し上げます。
などと呑気なことを言っている場合ではなく、夏場は全然車に乗れず

事件発生

それから1カ月弱経つとさすがに朝、タは涼しくなってきました。
車のエンジンもたまには掛けてあげないとバッテリーも弱ってしまう。
トコトコと駐車場(家から少しはなれた月極駐車場)まで出かける。

キーを一段捻って電源ON
操作パネルはちゃんとエアコン設定温度を示しているようです。
更にキーを捻ってエンジン始動

やりました! 

涼しい風が出てきます。

しばらくアイドリングを続けて、エンジンの調子を整え
本日は出掛ける用事もないのでこれでOK。

車から降りて家に戻ろうとすると、あれれ! ?
フロントバンパー白い筋が!

白く光っているところもありわかり難いですが、ほぼ写真中央の白い線

(ここからは臨場感が出るよう、
事件発生後の備忘録原文に極力忠実に記載します。)
なんと駐車場に停めている1カ月弱の間に車を当てられている!

白い筋は塗装が剥げているのか?
はたまた当てた車の塗装が付着しているのか

まあいずれ車の状態はきっちりと確認するとして、初動をどうすべきか?
まわりを見ると駐車の時の軌跡がアルファと干渉しそうな位置にある
白っぽい車が目に入る。

しかも側面には生々しい疵が!
しかしそこだけでなく、フロントバンパー下部など
あちこち当たりまくっている様子で決定打とはいえない。

疵の地面からの高さを測るという確認方法もあるが、
なかなか人様の車に忍び寄って巻き尺を当てるというのも
できることではない。

うーん… と思いつつ家に帰る。
とりあえず月極駐車場を管理している不動産屋さんにTEL。

当然”駐車場で発生した事故・盗難には一切責任は負いません”
なのであろうが一応、第一報は内部関係者から。
万一にもぶつけた相手からの連絡が入っていないか?を確認。

不動産屋さんは厄介事に出来るだけ口を突っ込みたくないらしく、
『そういう連絡はございませんねえ。それでは』ガチャリ。
と早々に電話を切る。

さすがにこの線はないですね。あれば不動産屋から連絡がきています。
予想通りですが一応は聞いてみるもの。

仁義を切ったことで、この後警察に通報しようが、
泣き寝入りしようがこちらの勝手である。(カッコ悪い啖呵である。)

はっきり言って警察に言うのメンドクサイです。
どうせ"擦り傷"という軽い物損だけで、
当てた車を突き止めるための捜査が行われるとは思えないのである。

とりあえずこういう場合はどうするものなのだろう?
インターネット検索

駐車場といっても店舗の駐車場もあれば、自宅の駐車場もある。
また車をぶつけられたといっても、事故に遭遇したのと、
後から疵に気が付いたのでは対応も違う。

なかなか世の中、シチュエーション選択分岐が多いものである。

"月極駐車場に車を停めていたのですが、
気が付いたら車に疵がついていました"と
怪我のと物についたの漢字の違いにも区別しながら、
四角仁鶴まぁるく収めてくれる”かどうかも
わからない内容を検索バーに打ち込む。

NHKには連絡していない


はい、リターンキー、ポン! 出ましたね。
ほぼ同じシチュエーションの相談

どれどれ?

”はっきりいって加害者が突き止められる可能性は低いが
一応警察に届けましょう
いろいろ自分で考えるよりも警察に任せたことでスッキリします。
事故処理ではないので110番ではなく、所轄の交番に電話。”

なるほどね。そういう考え方もあるな。

あと人の車にぶつけていても正直に言わない不届き者であれば、
いざとなれば自分が当てられた!と逆に言い張ることも考えられる。
やはり先手を取り警察に連絡しておくか。

しかし110番もしずらいが、所轄の交番って何番だよ?
と考えているうちに、うとうと眠ってしまい、もう日暮れである。
明日考えるか?

次の日(日曜日)は朝からルンルン家族でお出かけ、
ポコぞうとゼニファーが服を買いに行くというので、
『その近くにニトリあるよね。ふかふか枕が買いたい』と申し出し
一緒に行くことになったのです。

枕はミッション・インポッシプルを見に行った109シネマズのある
HAT神戸ニトリで見つけて、いつかはふかふか枕を!
狙っていたもの。

みんなでを買ったり。枕カバーを選んだり、シーツを買ったり。
お昼ご飯に大人のお子様ランチを食べたり、ポコぞうの服を選んだり!
と一日楽しく過ごして、すっかり車の疵も警察への連絡も忘れていました。

警女登場!

そして翌週の土曜日
散髪屋さんに行ったついでに、最寄りの交番直接行ってみました。
まあ”ついで”ということもありますけど、
やはり警察に顔を出すのに一市民として
ボサボサ頭という訳にもいかないので。

交番の側面から撮影(無人なので大丈夫)

ギ~とドアを開けて交番に入るが、人の気配はなし。
見ると“用事の方はこの電話の受話器を取ってください"との立札。

無人駅ならぬ、無人交番

受話器を取るが、シーン。
"受話器をとっても発信音が無ければこの番号に"と次の指令に従いピポピ

『はい、〇〇警察です。予想外に早く繋がる。
『いま交番の中にいるんですが…』
『はい』
『…どうしたらいいですか?
この電話に対応している人(警官?)がどこにいるのかすら
分からないのである。
誰でもそう思うだろう。
まさに暴漢に襲われて交番に逃げ込んでもこの対応なのだろうか?

とりあえず用件を言ってください。』緊急性!
いや、自分には緊急性はないのですが

(えー、では僭越ながら
我ながら何に気を遣ってなのかわからないが、あまり角が立たないように
駐車場に停めていた車に気がつくと擦り傷があったことを控えめに伝える。

『では当て逃げですね。』
せっかく控えめに言ったのに、あっさりと事を荒立てられる

いや、そうなんですけど、そうと決めつけて良いのかどうか、
私には決める権限はございません。

『では警察官を向かわせますので、お待ちください』ガチャリ、ツー、ツー
ここで一人ポツンと待っていて良いものか?
到着まで、どのくらい時間がかかるのか?
聞きたいことはあったのだが、余計な事は聞かぬ方がよいだろう。

とりあえず交番のカウンターの内側には事務机パイプ椅子
置かれているが、カウンターの外で待たされる人用の椅子などはなく、
そのまま立って待つ。

不用意にカウンター内に入ってあらぬ容疑をかけられるのも嫌なので。

交番の外で音がするたびに、到着か!と見るが、
善良な市民がスクーターや自転車で外を通り過きていくのが見えるだけ。

交番の扉のガラス越し目が合うのはなかなかきまりが悪い。
10分も経った頃、ブブブブ威勢のよくない音がして、
スーパーカブが到着。

交番の中に入ってきたのはマスクをした女性警察官でした。

ネット検索画像:こんな出で立ちでございました。(ご本人ではございません)



『あの、さきほど電話した者です。』と声を掛けたのはこちらからである。
だって重苦しい沈黙、いやなんですもの。

やおらカウンターの内側に座り、
カウンターの外とも内とも言えない通り道にパイプ椅子を広げて
私に座るようにと促がす女性警察官

いやここは親しみを込めて、歴女っぽく“警女”と呼ぶことにしよう。

警察が好きな女子のようにも聞こえるが、
こちらは正真正銘の警察官、のハズ

知らぬうちに交番の電話が通じる先が、
警察に成りすましたテロリストアジト、あるいは警察マニア活動拠点に繋ぎ変えられていなければの話ではあるが。

『お名前は・・・』
『あっ、免許証あります』と、すかさず提示

(かきかきかき)
被害届用紙に書いているのかと思えば、
バインダーにはさんだ無地の紙に名前や住所など書き写している。

もしかしたら広告の裏紙かな?と思わせる妙に白い紙である。
本当に警察同好会なのだろうか?
いや今時マニアのほうが本物よりも本物っぽいはず。

『ハイお返しします、で何が有りましたか?』

壁に貼ってあった、おそらくその交番の管轄をカバーしているであろう
縮尺の大きい地図で月極駐車場のだいたいの位置を示しつつ、
車に疵を発見した1週間前の日付と
最後に無事であった車の姿を見た日付(約1カ月前) を言う。

何時ですか?』
発見した日の時間ならまだしも、
1カ月前の最後に無事な姿を目撃した時間まで聞かれるとは、
まるで殺入事件の捜査のようである。

正直あまり覚えていないが、
その日お昼ご飯を食べて帰ったことは確かなので、
午後の最もそれらしい時刻を告げる。

その時、警女がスマホを取り出す。
新たな事件発生の連絡か?
それとも交番に到着した事を遅ればせながら本部に報告か?
と思っていると、もう一度駐車場の位置を聞かれる。

どうも地図上で示すよりも、 Google Mapの車から撮影した景色
ストリートビューというらしい)で確認したいようである。
文明的だが、そこまでするなら調書タブレットで取ればよいのに。

これです。表示した場所はランダムに選びました。

この辺ですかね。
警女が手に持った小さいスマホ画面老眼の身で覗き込みながら
場所を指定するのはなかなか難しい。

『ここかな?』
『ここですか?』
『いや、これは隣の駐車場でした。もうちょっと上に進んだ所です。』
画面が上り坂を上に進み、我が駐車場の入口が左手に見える。

『ここです、ここです。』
画面が左にターン
自分の車が映っていれば、”この車です。”と言えるし、
あわよくば ぶつけているシーンが映っていないかな。
などと都合の良い期待するが、
いつ頃撮った画像なのか犯人はおろか自分の車すら写っていない

『ここまでの距離ならば歩きですかね。
これから現場も確認しないといけないので。』
正直、調書を作成して終わりかと思っていたところ、
前向きな提案(指示?いや国家権力なので命令か? )が出される。

『あ、歩いて行けますよ。』
もし歩いて行けない距離であれば、どうするつもりであったのだろう。

まさか警女スーパーカブ二人乗りというわけでもないだろうし、
まさか警女はカブで、私はその後ろを必死に走ってついていく?

『あっ、駐車場で車の外側は見えますけど、』
(悪いことが重なり、車が盗難されていなければ
と変なことが頭に浮かびつつ)
『今、車のキーを持っていないので車の中は見えませんが良いですか?』
と念押し。

車検証とかも見せていただきたいので、
車を開けてもらう必要があります。』

車のナンバープレートだけではダメなのか?
『じゃあ家も近くなので、キーを取ってきます。』

『では10分後に現地集合ということで。』
不動産屋の内見のような約束を交わして一旦警女と別れる。

犯人(疑)は現場に戻る

ただいま。

『おかえり、お疲れ様。』とゼニファーに出迎えられるが、
いや今から駐車場で現地集合なんよ。
車検証を拝見ということでキーを取りに帰ったのです。

まだ集合時間には5分以上あり、約3分で行けるはずなので
トイレだけ済ませて再出発。

家を出て、駐車場への緩い上り坂にさしかかる。
すると少し先の道から見覚えのある警女のスーパーカブが出てきて、
私のすぐ目の前で坂道を登り始める。
(普通は交番からであれば、上り坂の突き当りから
逆に坂を下ってこちらに向かってくるはずであろうが、
周辺の警邏を兼ねているのか、単にルート選択を誤ったのか、
ずいぶん回り道をしたものである。)

約束の時間までまだ時間はあるが、
駐車場であまり警女を待たすわけにはいかないと、
警女のカブの後ろを走って追いかける。
さすがに警女はエンジンの力軽々と坂道を登っていき、
その後を必死に走って追いかけるという妄想が現実になってしまった。

まあ警女の出てきた交差点から駐車場までは50mと
それほどの距離はないので、
警女が駐車場にカブで駐車場に入ってから、20秒ほど遅れて到着。

駐車場の奥の方に車を停めているとは言ったものの、
車種正確な位置は告げていないにも関わらず、
警女は”ここしかないという位置”にカブを停めている。

そして、今しも駐車場に車を停めて出てきたを思われるおじさんが、
駐車場出口付近でいぶかし気に警女を眺めているのが見える。

閑静な住宅地にある駐車場にスーパーカブで乗り付けた警女
注目を集めるのは当然であろう。

ただ後から汗をかきつつ必死に走って警女に追いつくところを、
このおじさんに見られてしまうのも、市中引き回しの刑の罪人の様であり、ちょっと格好の良いものではないと気が引けるが、
それよりも警女に合流するのが優先であると思い、
おじさんは無視することにして目の前を通過。

警女に追いつき、
『お待たせしました!』(*´Д`)ハァハァ
『この車です。』とバンパーに付いている疵を指さすが、
その時には警女は被害者の車は言われずとも見抜いており
既に周囲に鋭い眼光を走らせている。

『心当たりの車ってありそうですか? 』
すでに内部犯行説で進められている。

前の道が狭いのでUターンをするために駐車場に入って来る外部の車
という線もゼロではないと思って、自分からは言わなかったが、
聞かれたのならばと思い、
『あの右側の車が、こうバックで入る時に
側面をぶつけるんじゃないかと。あの車の側面が。』
自説をぶつける。

すると『それは違うと思います。』と警女即却下
とりつくしまがないというか、
(すみません、素人が余計な事を言って)と思っていると
『私はあちらの車怪しいと思うんですよね。』と警女が左前方を指さす。

あれ?普段あそこにあんな車止まってたっけ?
日頃そこは空車になっていると思っているところに
シルバーの小型乗用車が。

推理ドラマ

『同じくらいの高さに疵がついてますし、赤い塗料も付着しています。』
急に容疑者浮上。
いや容疑車か。

駐車場についてまだ1分も経っていないのに
既に名探偵コナンに眠らされた毛利小五郎のような推理結果発表段階

いつのまにチェックしてたんだろう?鋭すぎる眼力がちょっと怖い。
『ちょっと高さを巻き尺で測ってみましよう。』
ズカズカと他人様の車に近づいていく。

すると、後方から『それはちゃうで一』という声が掛かる。

すわ、闖入者か! ? なにゆえ国家権力による捜査を邪魔するのだ!
と振り返ると、さっき駐車場入口ですれ違ったおじさん
まだいたの? ずっとこっち見てたの?

つかつかとやってきて、
これはちがうで一、仕事中にぶつけたんや
仕事先に狭い駐車場があってな、そこの柵にぶつけたもんやでー』

そもそも何の捜査をしているのかわかっていない筈なのに
それは違う”と言うのも怪しい

しかし正面から”違う”と言われるとなかなか難しいもの。
警女どうする?

『いや疵の高さが一緒なんですけど!赤い塗料もついてますよ。』
それは科学的証拠と言えるのだろうか?ドキドキ。

ていうか今の状況、まるで私が
”おまわりさーん、あの車が怪しいと思いま~す”
チクったように見えないか? いやいや違うんですよー

ネットでは
”警察に届け出すれば、加害者は見つからなくとも、
警察に任せることで肩の荷を下ろしたようにスッキリする”
という記載だったのですが、
まさか容疑者が現われ、肩の荷を下ろすどころか自分も
当事者として取り調べ現場に立ち会うことになろうとは、
思ったのと全く反対の方向である。
 
そのような心中のつぶやきは全く顧みられることなく
捜査(いやすでに取り調べ段階か?)は続く。

全員が怪しい

『柵にぶつかったっていつ頃ですか?』
『あれは1カ月くらい前にバンパーを換えて、
その後すぐにぶつかったんや。だから8月末くらいやな』

なかなか微妙な時期です。

何度も駐車場の柵にぶつかったものであるということを繰り返すおじさん。

とうとう警女が伝家の宝刀を抜く。
『じゃあ駐車場の柵にぶつかったというのは、届け出してますか?』
(いや普通、柵にぶつかったくらいではなかなか警察に届けんよなー。
どうする?おやじ

『いや仕事中やったから届け出しなかったよ。』
(いや、その答えは悪手だぞおやじ)と
心中どちらを応援しているのかわからない状況。
ディベートを観戦するようなものか?

仕事中であることと、届け出しないのは関係ないじゃないですか?
仕事を終わってからでも届け出できますよね。』
うーん、正論と言う刃!鋭すぎる。

『いや、何回もぶつかってるからいちいち届け出はせんよ。』
ばかばか!おやじ、自ら深みにはまっていきよる。

何回もぶつかっているといわれると、
警察としてはそちらのほうが気になるんですが。』
(確かにそうだが、捜査のポイントがちょっとズレ始める)

『とにかくこれはちがうんや。』

違うというんなら、仕方ないですが、
これは捜査をすることになりますよ。』

『その捜査ってどういう?』

こちらの方が(と急に警女に振られる、“?”)被害届を出されていて、一方で相手方から何も届出が出ていないということは、
事件性がありますから捜査を行うということです。』
被害届といってもただの白い紙にちょこっと書いただけなのだが…
『今”ぶつかった”と言ってもらえば、ただの物損事故なんですけど。』
 
すごい揺さぶり
 
『いや、ぶつかってないと思うんやけどな~』
 ちょっとおやじの主張がブレ始める

かなり怪しいのだが、仮に潔白の身でもそれだけ詰め寄られると
なんとなく自信がなくなってくるもの。
 
ドライブレコーダーありますか?』
『あるよ。』
『どのくらいの期間のデータが残っているんですか?』
長いことあるよ。』
 
ドライブレコーダーで思い出したのか、
『ぶつかったら”衝撃を感知しました”って教えてくれるんで、
その時は柵にぶつかったんや。』とおやじ
 
『これ再生するには別の装置がいるんで今見れないけど』
と言いつつ車内に入りドライブレコーダーをごそごそし始めるおやじ。
 
そのタイミングで、ついっと警女が近づいて来て
『あの人怪しいです可能性ありますよ』と耳打ち。
 
『これ家に帰って見てみるけど、ぶつかった覚えないんやけどなぁ』
 
『わかりました。もしも画像でぶつかってたり、
思い出したら〇〇警察に連絡してください。今日はもう結構です。』
 
本人の自白はあまりあてにならないと思ったのか、
早くおやじを帰して本格的な捜査をしたいらしい警女様なのだが、
おやじはなかなか現場から立ち去らず、私に向かって
『ご主人、申し訳ないね。』
何を謝る?
 
『これいい車なんで普段から、すごい気を付けているんやで!

『気を遣わせてすみません
すこぶる怪しいおやじであるが、
自称潔白な人を犯人扱いするわけにはいかないので、
とりあえず謝っておく
 
『ところでこれ、なんていうメーカーの車なん?』
 
あさっての方向に進む会話に業を煮やした警女様
 『それはいいですけど、ご主人(おやじ)忙しのに、
ドライプレコーダーの画像見ていただくのも悪いですから、
警察の方で見ます。そのマイクロSD預かってもよろしいですか?」
核心に切り込む。

『え、ええよ。』と意外にも素直に渡すおやじ。
まあ潔白を主張する身としては、拒否はできないか?
早く帰れば良いものを。

ここで、
『ところでお巡りさん名刺かなにか、いただける?』
とオヤジ反撃
まぁ私有財産を預けるのだから当然といえば当然だが。

『ああ名刺ですね。』
(あるんかな?)
『名刺は今ないので、名前書いときます。』
といって例のバインダーに挟んだ白紙に名前を書き、
ビリっと半分くらいに破って渡す警女。

これはこれで十分怪しいな

果たして犯入は誰なのか?

ついに帰るオヤジ

警女がつかつかと近寄ってきて、
『あの人がぶつけた可能性が非常に高いです。』とささやく。

『確かに、私はちょっと遅れて(走って)きたんですけど、
その時もあの人駐車場の入り口付近でお巡りさんのことをずっと見ていて
挙動不審だったんですけど、そのままずっとこっち見てたんですね。』
駐車場入口で見た事を話す。

『私も最初に見た時から何かあるなと思ってたんです。』
警女が更に話を盛る。

急に縮まる二人の距離
これまでからは考えられないくらい話が弾む
やはり警女はマルヒ(被疑者のこと)が現れて、高揚しているのだろうか?

『ただぶつかっているところがかなり下の方なので
ドライプレコーダーの映像が残っていても、
はっきりぶつかったかどう画像で断定できない場合もあるんです。
その場合はちょっと加害者を特定できないですけど。』

いやー、もう犯人がわかるとかというよりも、
こんな面白い(いやハラハラする、もとい市民として貴重な体験をさせていただいただけで十分です。)という気持ちを隠すように
『いやそれは仕方ないです。
私としても犯入を見つけてほしいというよりも、
逆にぶつけたんじゃないかと言われるかもしれないので、
ちゃんと届け出しておこうと思ったんです。』

まあー部真実ではあるが、
犯入が見つかってほしいという気持ちがないでもない
ただ期待してなかっただけである。(とはいえない

そこで警女の目がギラりと光る。
『ところで先週、疵がついているのを見つけて
届け出まで1週間空いたのはどんな理由なのですか?』

しまった!ものわかりが良すぎるのは何か裏がある
と思われたのか?
『いや調べたら110番でなく、所轄警察ということで
電話番号どうしようかなと考えていたら土曜日は夜になり、
交番に行った方が早いと思っていたんですが、
日曜日は用事で出掛けまして、
それで本日交番に赴いたわけで。(散髪のついでとは言わない)
 
『そうですか。』
 
ホッ。これ以上は追及されないみたいだ。冷汗

すでに自分を含めてなんとなく誰が怪しいのかわからなくなっている

『ところでちょっと手伝ってください。』と警女に言われ
まずは写真撮影のためにのところを指さす仕事を依頼される。

とうとう”初めての共同作業”をしてしまいました。
『それから疵の高さを巻き尺で示した写真撮りたいんですけど、
手を放すと自然に引っ込むんですよ。』
だいたいの巻き尺はそんなものである。

巻き尺が引っ込まないように押さえるのを手伝うのも必要だが、
そもそも地面にちゃんと巻き尺の先が付くように固定する事すら、
なんなら、
地面に着いた巻き尺の先から疵までを写真に収められる程離れる事さえ、
片手で巻き尺を持ちながらカメラを構えた状態では難しい警女。

もういっそのこと私が巻き尺を受け取り
右手で地面に先をつけ、左手で巻き尺本体をもって疵のところに当てる。

警女はどうもすみませんといいつつ心置きなくベストアングルで写真撮影。

その後
『わたしは駐車場の配置確認をして帰りますのでもういいですよ。』
と警女に言われ、やっと解放

でもせっかく一週間ぶりに来たのでエンジンは掛けておきたい。
『ちょっとだけ工ンジン掛けますね。』と警女に断り、キーを捻る。

ただしこの車、サイレンサーのグラスウール損傷で、
マフラーを換えているのである。
純正はすでに生産中止で、数カ月待って手に入れたCROSマフラー
正規ディーラーで車検も問題ないと言われて取り換えたものだが
ちょっと音がでかい

二本出し!



工ンジンをかけると野太い音が。
しまった!また”不法改造じゃないですよね?”
目を付けられるかと思ったが、そこはお咎めなし。

警女は捜査には熱心だが、車自体には興味はなさそうだ。
 
工ンジンもちゃんと掛かったし、
『本日はこれで、お先に失礼しまーす。』
とまるで明日も会う会社の上司への挨拶のような言葉を発して家に帰る。

真相は二日間の彼方

その日の夕食後に意外にも早く警察より電話がかかる。
(ドッカンぶつかった、明確な映像でも見つかったんだろうか? )

『〇〇署の××ですが。』
警女様のお声。

『あー、はいはい。』

『本日届け出のあった車のことで。
実はあのドライプレコーダー2日分しかデータがなかったんです。』
うわっ。短か!

交通事故専門職員にも相談したんですけど、
疑いは非常に濃厚なのですが
証拠不十分でこれ以上は追及できないので、
今回の届け出は特定不可処理させていただくことになるのですが。』

力不足ですみません・・・
という最後の言葉に警女の無念がうかがえる。

所轄での
山さん、やはりあの男怪しいです。重要参考人としてひっぱりましよう。
2、3日締めあげればゲロしますよ。』
『肝心のドラレコの画像がないんじゃ、ひっぱれねぇだろうが!』
『車についた赤い塗料を分析すれば
あの車から剥がれたものと特定できます。』
『ばかやろう、お前ら駆け出しの警女はすぐこれだ!
人身事故じゃあるまいし、そんな手間掛けられるか!』
などという、警女交通事故専門の山さんとの会話が
あったかどうかは知りませんが(多分なかった
十分やっていただいた”という気持ちはあったので、
努めて残念そうな声色
「それじゃあ仕方ないですねぇ」と答える。

この期に及んで、またものわかりの良すぎる回答をして、
実は被害者が犯入だったという説もありますよ!
などと疑われても仕方ない。

今回は警女様の職務に燃える正義感と鋭い観察眼
目の当たりにいたしました。
警女のいる限り日本の警察はまだまだ大丈夫!

でも警女の彼氏はいかなるウソ隠し事もできないんだろうな。
とちょっと気の毒に思う。

エピローグ

よくよく見るとこのバンパーについた疵、結構深そうです。

コンパウンドで磨いて目立たなくなるだろうか?
やつばり犯入見つかってほしかったな。
と落ち込んでいても仕方ないので週明け会社に行って、
せめてこの冒険譚を語ろう。

『おじさんが警女をじっと見ていてね。』
  『あ、もう怪しいですね。』

『それはちがうでーって言いながら戻ってきたんです』
  『もうその人、犯人に間違いありませんよ。』

『それで、どんどん警女に追い詰められてね。』
  『それで、どうなったんですか?』

『結局ドライプレコーダー2日分しかなくてダメだった。』
  『2日間て短すぎません!?』

 『でもそんな話聞いたことがありませんよ。超レアケースですね。』
評判は上々。もとは取ったな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?