しょうたま

エンタメ(主にマジックやゲーム)の「おもしろい」の構造を研究するためのnote。修士(…

しょうたま

エンタメ(主にマジックやゲーム)の「おもしろい」の構造を研究するためのnote。修士(英語学)。野良言語学(選択体系機能言語学、Impoliteness)。Insight Out。

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音楽素人が一日一曲の鑑賞を1000日続けてみて思った12のこと―音楽鑑賞のススメ。

1. はじめに音楽とは、毎日同じ教室にいるのに顔を合わせていないような気がしていた。 毎日YouTubeのミックスリストや自動再生で音楽を流したり、Spotifyで音楽を聞きながら駅を歩いたりしているのに、改めて考えてみると音楽を味わうための時間は意外とない。それに気が付いたのが、2019年のゴールデンウィークでした。 映画館で映画を観る時は、映画だけに集中する。 家でゲームをするときは、コントローラーを握らないといけないしゲーム以外のことはなかなかできない。 でも、音楽

    • 【歌詞考察】メロンソーダ/aiko, Radio Darling—繰り返す日々の先に見える桜の美しさ

      1. はじめにこの記事は軽い気持ちで「メロンソーダとサッポロビールを飲みながらハンバーガー食べて歌詞について考えてみるか」と思ったら底の深い沼に入り込んでぶっ通しで4時間以上考えても分からず、結局1ヵ月くらい考えぬいた成果物です。 まずは(アフィリエイトとか全く入らないので安心して)とにかくこのめちゃくちゃいい曲を聴いて!!! 2. 解釈・考察歌詞解釈の前提 ■物語として読む 『メロンソーダ』は歌い手が「物語」を語る形式の歌詞になっています。 そのため歌詞解釈の手順とし

      • 【舞台感想】僕らに魔法は必要だろうか—演劇×手品の難しさ【マジック感想】

        はじめに『僕らに魔法は必要だろうか』という演劇×手品をコンセプトに掲げる舞台を鑑賞してきました。 https://twitter.com/bokumahoproject/status/1645054234210209793 私の大まかな感想としては、 手品を演劇に取り込もうとした意欲作として観て良かった。 物語の内容自体は(私の理解できた中では)特段優れているというものではない。 物語を舞台上の表現だけで伝え切ることはできていなかった印象。 やはり手品を演劇に組み

        • おじいちゃんおばあちゃん向け Nintendo Switchの使い方

          この記事では、Nintendo Switch(通常モデル、有機ELモデル)で電源を入れて、テレビや手元でゲームをして、電源を切るまでの流れを説明をします。 コントローラーのボタンがいっぱいあってどうしていいか分からない、電源ボタンがどこにあるか分からないなど、初歩的なところをひとつずつ確認してみましょう。 Switchは持ってるけど、使い方が覚えられなかったおじいちゃんおばあちゃんに届くといいなぁ。これが簡単なSwitchの説明書になればもっとうれしい。 (注記) ※N

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          【マジケ2022春】マジックの本を書いてたら情報理論の沼にはまって、YouTuberとネタ被りして震えながら書き上げた話【雑記】

          先行研究の沼に沈んだら、窒息寸前になって銀の斧を拾った。 この約3ヶ月間の執筆期間を表すとまさにこんな感じ。 今回の新作のタイトルは、『考察ノート 観客の期待はどのようにマジックの驚きに影響するのか―情報理論からの眺め―』。長いタイトルのおかげで、内容を要約する必要もない。おかげで、マジックマーケットの商品紹介の文字数制限に引っかかって、タイトルをどう縮めようか30分かかった。 今回は宣伝と告知をかねてこの本ができるまでの小話と、本の紹介をします。 (本の紹介だけ読みたい

          【マジケ2022春】マジックの本を書いてたら情報理論の沼にはまって、YouTuberとネタ被りして震えながら書き上げた話【雑記】

          【商品紹介】マジックマーケット2021春に出店します!【Insight Out】

          今年もマジックマーケット用にコアでディープな商品を準備しました! 私は、黒川智紀と「Insight Out」というサークル名で出店しております。 今回の記事はInsight Outで出品する商品3点のご紹介となります。 マジックマーケットとは?マジックマーケットは、言うなればマジック版のコミケ。 マジックの道具、トリック、マジック関連の小物や、マジックをより楽しむための情報など、毎年様々な出展者がおもしろいものを販売しています。 今年は5月1日(土)~5月3日(月)にオン

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          楽曲感想『ポップミュージック』Juice=Juice—じきに忘れるよでもいつかまた会いたいね―

          1. はじめに今回の記事は、「なぜこの楽曲が素晴らしいと感じられるのか」という 趣旨ではなく、純粋に楽曲をどう解釈して楽しむことができるかを 書き綴ったものです。 解釈を試みるのは、Juice=Juice『ポップミュージック』です。 とにかく不思議で、底抜けに明るくて、楽しくて、でも妙に懐かしくて、 詩としても楽曲としてもパフォーマンスとしても非常に味わい深い一曲。 まずは、是非とも聴いて頂きたい…。 心が向けば、是非是非二度、三度と…。 私は、この『ポップミュージック

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          言語学フェス2021―マジックのセリフと選択体系機能言語学について発表しました!

          今回、「言語学フェス2021」というオンラインの言語学交流会に参加させて頂きました。 私は博士前期課程でアカデミアを離れ、民間企業に勤めながら趣味でゆるーく言語学を続けているだけの人間です。 そのためアカデミアの最先端の先生方や学生さんたちがいらっしゃる場に参加させて頂くのは非常に恐れ多いと思っていたのですが、結果として今回研究発表という形で参加させてもらってよかった、楽しかった!と思える貴重な時間を過ごすことができました。 ポスター発表を聴いて頂いた方々、運営の先生方

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          【ゲーム感想】『スヌーピーコンサート』―ゲームとして触れるPEANUTS世界への愛—

          はじめにスーパーファミコン用ソフト『スヌーピーコンサート』というゲームをご存じでしょうか。 パブリッシャーが三井不動産㈱と電通㈱という当時としても異色の体制だったにも関わらず、名作との呼び声が高く興味を惹かれたので、年始の時間を利用してプレイしてみました。プレイ時間は約5~6時間程度。 私は谷川俊太郎さん訳の日英対訳つき『A peanuts book featuring Snoopy』を1巻を読んだのみという、スヌーピー初心者も同然という状態でのプレイだったのですが、グラ

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          マジック感想 「第17回 Untitled Concert 一筋の虹」—学生マジックから考える魔法の制限―

          はじめに数年ぶりにアンタイを見に行くことができたので、感想を残しておきます。 まずはこのコロナ禍の中、生でマジックを観る機会を作り、守り通して頂いた運営の方々、ゲスト含む演者のみなさんには感謝、感謝という気持ちです。ありがとうございました。 感想は、個々の演者についてというよりは、久しぶりに学生マジックや世界で活躍されているゲストの方々の演技を拝見して、マジック自体について思ったこと少しを書こうと思います。 エンタメとしての学生マジック数年前までいわゆる学生マジックに触

          マジック感想 「第17回 Untitled Concert 一筋の虹」—学生マジックから考える魔法の制限―

          このnoteについて―「おもしろい」ってどういうこと?

          はじめに映画や舞台をみて、友だちはすごく感動しているのに、 自分にはあまり響かなかったこと、ありませんか…? このnoteでは、さまざまなエンタメについて作品を紹介するとともに、 なぜこの作品は「おもしろい」のか?について考えたいと思います。 映画や、音楽や、舞台、ゲームやマジックなど、エンタメって、好みは人それぞれだからと片付けるのは簡単だと思います。 でも、なぜおもしろいと感じたのかそれをじっくり考えてみることで、作品を深く味わう楽しみとともに、新しいおもしろさを創

          このnoteについて―「おもしろい」ってどういうこと?

          映画感想『魔女見習いを探して』—魔法がないと知った大人たちがもう一度出会う魔法—

          はじめに映画『魔女見習いをさがして』についてネタバレを含む感想記事です。 今二十代の、リアタイでおジャ魔女どれみシリーズを少しでもみていた、「今はもう魔法なんかない」と分かってしまった大人たちに、ぜひ見てほしいと思えるような素晴らしい映画でした。 私は当時、妹との会話にすら出さないくらいひっそりと、断片的にしかどれみちゃんたちに触れていなかったのですが、開始からどれみちゃんたちの声や演出に畳みかけられ、何気ないカットに心を動かされました。 原作シリーズは網羅できていないの

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