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美味しんぼ的価値観を、いい意味でぶっ壊してくれた名作です

7月8日の記念日【菌労感謝の日】
イブニングに連載されていたマンガ「もやしもん」の実写ドラマ化を記念して、ドラマ「もやしもん」製作委員会さんによって制定された記念日。由来は、アニメ「もやしもん」の第1回が放送された2010年7月8日からきているとのことです。

「もやしもん」は既に完結していますが、大好きな作品の一つです。もやしやの跡取りである主人公が、実は菌たちが「視える」能力を持っていて、視える菌たちとコミュニケーションを取りながらも、大学生活を楽しんでいくというそんなお話です。いわゆる発酵物の食品を中心に、話は盛り上がっていきますが、それに加えて個性豊かな(豊かすぎる?)主人公の入学した大学生活のお話がうまく関わっていき、面白おかしく思い出に残りそうなキャンパスライフの日常が進んでいくというものです。

では、今日のタイトルはどういう意味かというと、自分が小学生の頃からの愛読書だった「美味しんぼ」。熱心に読んでいたせいで、頭にこびりついた「美味しんぼ的食感覚」というような価値観が、このもやしもんによって、ぶっ壊されたという意味合いになります。

具体的には、美味しんぼでは食材は無添加で天然のものを丁寧な仕事で加工したり調理したりすることによって究極のメニューや至高のメニューを作ります。そういったこだわりの強さは、時に、添加物批判、食材の良し悪しに対する厳しい批評、そういったものがよく出てくるわけです。そんな中で、例えば連載中に新しく発見された酵母菌による「ドライビール」に対して、これは偽物のビールであると言わんばかりの批判をしたり、味の素を代表とする「化学調味料(現在はうま味調味料と言われます)」が、料理の持つ本来のうまみを完全になくしてしまうと批判をしたり。そしてそういったものを使って作られた食品は体にとっても有害で、味も落ちるものである、という考え方です。

たしかにこの思想は、真実の一つではありますが、この思想に立っているために、観ることのできないし真実も沢山あったという事を、もやしもんは気づかせてくれました。

先ほどのドライビールをはじめとする新しい酒に対する取り組みを、もやしもんでは開発者の日々の努力のたまものであると好評価してますし、そもそも論として発酵食品に関してはそのほとんどは人間の手によって完成されたものではなく、菌たちによる「醸し」のおかげ様なんだという考え方を伝えてくれます。

であれば、今現在まっとうな食品づくりに挑んでいるすべての生産者さんには、頭が下がる思いです。

あれがうまいこれがまずいと分けるのではなく、どの食品にもあまねく感謝の気持ちをもって向き合う。そういった思いを湧き起こさせてくれるように感じます。ぜひまだ出会っていない方は、読んで頂けたら嬉しいです。

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