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不登校先生(25)

早晩自分の状態が、知り合いに知られることが

頭に浮かばなかったわけではない。

学校現場というのは、いろんな他学校の情報も、

集まる所にはすぐに集まる。

だから、一番最初に連絡をもらったのが、

働いていた自治体で一番信頼がおける人だったことは安心だった。

それは以前勤めていた一番楽しかった職場の時の

同学年の先輩二人、船長と姐さんからだった。

初診の時病院に流れていた【今日もどこかで】が思い出の曲だったと

以前に紹介した一番尊敬している二人。

やる気が暴発することが、よくある僕を、

びしっと指摘してくれながらも、さらっと流してくれて。

見守り育ててもらった二人。

そんな二人それぞれからラインが入った。

「ととろん、具合はどうだ?」

「ととろんさん大丈夫ですか?」

お二人ともキャリアはベテランの歳月があり

実力と顔も広く知られているだけに

僕が休んでしまっていることも、

ひと月たたない早さで、お二人の耳にも入ったようだ。

自分の状況については、おそらく概ねご存じだろうと思い、

「すみません、ご心配おかけしてます。

 重めのうつ病の診断が下りて、今病休に入っています。

 何とか週に1度の診察には行っていますが、それ以外は家の中で

 ひきこもりのになって過ごしています。」

と、自分の状況を簡潔に、説明して送る。

二人は今働いている現場は違うので、

各々個別にお返事を送られていると思うのだが

「ちょっと外に出れるようになったら3人で飲みに行こうな。」

「外に出れるようになったら、また3人で飲みに行こうね。」

と、励まし方が同じで。

「その時は、俺と姐さんがそっちに行くから。」

「飲むときには船長と一緒にととろんさんの住んでる町にいくから」

と、重ね重ね同じで。

ありがたいなぁ。本当に、ありがたいなぁ。

二人からのメッセージは、

あの時の楽しかった職場での日々を

思い出させる。

「ありがとうございます。元気が戻ってきたら必ず。

 今すぐにはお会いできない状態で本当にすみません。」

と、返すと。

「まずは回復第一だから、ゆっくり休んでな。」

「しっかり休んで回復最優先でね。」

本当に二人にとっての僕は、心配ばかりかける弟分で、

今や不登校になった僕に、やさしく言葉をかけてくれる。

ありがたいのは人の縁。

また、あの人たちと働く事ができるように

しっかりと、自分を療養させよう。

そんな気持ちを、キュッと握りしめた。

↓次話


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