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戦略についての基本的な話ーご質問から[20240416]


前回、ビジネスアーキテクトのスキル・ランクを説明するために「ビジネス戦略策定・実践」について話した。

すると、意外に戦略とは何かに食いついて来られる方が少なく無かった。

「戦略は必要なのですか?」
「戦略のそもそもの意味とは何ですか?」

基本の中の基本的なご質問をいただいたので、ここでご回答をすることにした。

まず「戦略は必要なのですか?」について。

一般的には必要である。

戦略が存在しなければならない理由は、少ない資源で効率的に戦っていく為に「しないこととすることを決め(選択)」することに資源を「集中」させる、いわゆる選択と集中が必要なのである。

戦争の話で言えば、最先端装備の兵力が相手国よりも圧倒的に大量に存在し、かつ兵站も十分な場合は「戦略は不要」だ。

圧倒的に有利だからでだろ?と言うだろうか。

その通りなのだが、その通りでは無い。

全方位に兵力を分散させても問題無いから「考える必要がない」イコール「戦略不要」と言うことだ。

そう、あなたが所属する企業が、有り余るリソース(資源)を保有しているのならばマーケットで戦うのに策略は不要だ。

全方位で全力にリソースを投入すれば良いのだ。

あらたに発生する事案に対しても「有り余るリソース」で対応可能だ。

しかし、私の知る限りこんなに恵まれた企業は世界中の何処を探しても見つからない。

とすれば、選択と集中が必要だ。

つまり戦略が必要だと言うことだ。

「以前、小西さんは、戦略とは日本企業で『中期経営計画』と呼ばれる」と言いましたよね」
「当社の中計は、選択と集中なんてしていません。ましてや、経営企画担当部署からは経費削減とか売上貢献とかの話しかされません」

そう、そういう実態も良く存じ上げている。

そのことについては、近々話をしたい。

今日はもういただいたご質問の「戦略のそもそもの意味とは何ですか?」について話をしたい。

「As Is」があって「To Be」に向かう際に、「何処に行くのか?」「どうやって行くのか」を決めることである。

選択と集中をするというのは、このことを指している。

売上を上げたら良いのだろう、営業サイドの人はそう言うかも知れない。

いやいや、そんな簡単な話ではない。

誰に何を販売して売上を上げるつもりなのか?
販売してきたものは生産可能なのか?
アフターサービス可能なのか?
中期的に経営体が伸ばしていきたいと考える領域で売上を上げているのか?

これらに答えを突き合わせると、選択と集中が自ずと出来る。

概ねダメなのは、売上高という結果が出てきたとき「それを望んでいなかった」と経営者が勇気を持って言えるかどうかだ。

これが言えないと数字さえ作れば良い風土・文化が出来上がってしまう。

実際に私は外部コンサルタントとして、そういう企業を見てきた。

その企業では、数字至上主義の文化・風土を10年経った今でも突き崩せないでいる。

経営体としての覚悟も必要なのだが、それをサポートする経営企画とか経営戦略の部門でもこれらを放置してはならないのだ。

基礎の基礎…とは、この程度のことがわかってスキルレベル「c」なのだろうか。

合同会社タッチコア 小西一有

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