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ショートショート

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2018年11月の記事一覧

透明な子ども

少女は生まれつき透明であった。 取り上げた産婆は驚いて、思わず赤子より大声をあげたそうだ…

泥棒さんを追いかけて

奴は何処にでもやってくる。 土を掘り掘り、足をバタバタさせて、公園にも家の中にも店の中に…

茶室にて

「あらあら。それでこんな辺鄙な所までいらしてくれたの」 女将はそう言って、山葵色の着物の…

僕と双眼鏡

「何見てるの?」 突然視界に姉の顔が迫ってきて、僕は、わっと身体を仰け反った。 「ヤモリを…

探し物

荒れ果てたこの土地で、男は今日もせっせと土を掘っている。 「きっと、きっとあるはずだ」 掘…

その瞳に映るもの

「来週の同窓会、どうすんの?」 久しぶりの同郷からの友人の電話。 同窓会なんて、正直面倒く…

本の虫

本が好きだ。 それはもう、きっと私の運命だ。 私は本の中で産まれ、本に囲まれて育った、 本の虫。 本の何が好きって、匂いが好き。 すこしすすけた、古い紙の匂い。 窓から差し込む、薄暗い太陽の光を浴び続けた、少し日焼けしたような匂い。 この図書館にある本は、 もう全て読み終わっている。 小説も、教科書も、図鑑も、辞書までも。 本を読むのは楽しい。 そこには新しい世界が広がっている。 そうして本を読むと、私自身の世界も広がっていくのを感じるのだ。 「君は貪欲だねぇ」 親友

雨の中で彼女が待ってる

今日は雨。 窓の外はザーザーと音を立てて、辺りはじっとりと薄暗い。 僕はアパートの窓際に肘…

先生の特別

「春はあけぼの。ようよう白くなりゆく…」 空に薄白い雲がゆったりと流れ、物静かな教室に先…

ポコタンの初恋

たぬきのポコタンは一世一代の恋をしていた。 相手は山の麓の中学校に通う、人間の女の子。 さ…

声のゆくさき

「海坊主って会ったことある?」 突然恋人に聞かれ、私は驚く。 「どうして?」 「いや、今読…

シンデレラ・ハロウィン

今日はハロウィン。 街は仮装パーティーをする人々で浮かれている。 いつもだったら、そんな…