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神さまの仕業

空の上には、神さまの国がある事を知っていますか?
そしてそこには沢山の子ども達がいることを。これは、そんな子ども達のある日のお話。



「俺は昨日、すっごいものを地上で見てきたぞ!」
大威張りで話しているのは、子どもたちのリーダー格であるゴンタです。
「こーんなに大きな船が、轟音と共に炎を出して、宇宙に飛んで行ったんだ」
ゴンタが小さな身体をめいっぱい広げました。
「宇宙かぁ。僕たちも行ってみたいね」
ナターシャが遠い目をして想像します。
「よし、俺たちも船を作ろう!」
子どもたちは画用紙を広げて絵を描き始めました。


ところがしばらくして、皆は困ってしまいました。
ゴンタが見た船を絵に描いたは良いものの、それを宇宙に飛ばす方法が分かりません。
子どもたちの中で一番絵の上手いリリアンが一生懸命描いた船は、紙の上に浮かんだままです。
「そうだ、神さまに相談しよう」



話を聞いた神さまは、うんうんと頷くと、長い袖の中から取手のついた缶を1つ取り出しました。
「それではこの缶をあげましょう。これは思い描いたものを現実にできるペンキです」
ゴンタが缶の中を覗き込むと、七色にきらきらと光るサラサラした液体が入っています。
ゴンタは喜んでみんなの元へ駆けて行きました。
後ろの方で神さまの声がします。
「混ぜるな危険。気をつけて」



「みんな、魔法のペンキをもらったよ!」
ゴンタが走って皆の所に辿り着いたその時です。
ゴンタの足が、船の描かれた画用紙でつるっと滑りました。
「あっ!」
ペンキの缶は宙を舞い、七色の魔法の液体は一滴残らず地上にこぼれてしまいました。


「ごめん」
ゴンタはしょんぼりとして皆に謝りました。
「大丈夫だよ」
子どもたちは気にせずゴンタを慰めました。
ナターシャだけは、地上をずっと見つめています。
「どうしたの?」
リリアンが聞くと、ナターシャは振り返って答えました。
「これは、面白くなるかもよ」



「どうしたの?」
季節は肌寒い秋の夕暮れ。
黄金色に色づいた田んぼの中のあぜ道を、親子が2人歩いています。
しきりに自分の顔を触っている少年に、母親が聞きました。

「今、雨が降ってきた気がして」
しかし服も顔も濡れてはいませんでした。
「何だったのかな」
擦りすぎた少年の目には、七色の涙が滲んでいました。



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