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平和 /第16話

目を覚ますと、そこには崩れ落ちた研究所があった。

「皆は…?」
菜々子は辺りを見回すが、煙で周りがよく見えない。
「俊!」
思い切り叫んでみるが、返事はない。
菜々子は胸がざわついた。


「まったく、これだから菜々子は」
突如声がして、振り返るとピヨと零だった。
「こういう時は、アンドロイドが人間を助けないと。一体何年アンドロイドやってるの?」
ピヨが笑って言う。
「ピヨ!零!」
零も「ほんとだよ」と言いながら背中に乗せた俊を、とん、と地面に降ろした。
「…お父さんは…?」
菜々子が聞くと、やがて煙が晴れてきた。
そこにはウーちゃんと箸本の姿があった。
「ウーちゃん!お父さん!」
菜々子はほっと胸を撫で下ろす。

箸本は、崩れ落ちた研究所をぼんやりとみつめていた。
菜々子も零も同じ方向を見た。
白い煙が、研究所から上がっている。
菜々子は目を閉じた。


「ここで残念なお知らせがあります」
唐突にピヨが言い、菜々子は何事かと振り返る。

「運んでわかったのですが、なんとこの中で一番重かったのは菜々子でした」
ピヨはにやにやと菜々子を指さす。
「嘘!」
菜々子が言うと、ピヨは肩をぶつけながら零に囁いた。
「ほんとだよ。ね?零」
「あぁ、菜々ちゃんが一番重かった」
菜々子はこぶしを振り上げて、零を思い切り叩こうとする。
零は「わ!」と言って逃げ出した。菜々子は夢中で追いかける。
零は逃げながら、楽しそうに声をあげて笑った。



俊はごろんと寝そべると天を見上げる。

「平和だなぁ」

どこまでも広がった空。
そこに、二筋の白い雲が通って行った。





サイバー・C・プロジェクト Fin.




Special Thanks:

日本菜箸協会様
ぐっさん様
うさ様
キュリ様
サメブロス様

&みーこ様


#小説
#中編小説
#サイバーCプロジェクト

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