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疲弊したド田舎を救うのは「熱のあるガイド」だ【業務外日誌 2019/04/27】

今日は一日、西和賀町のお隣、北上市を夏江さんにガイドしてもらっていた。夏江さんは去年、一年だけ西和賀町の地域おこし協力隊をやっていた人で北上市在住。「夏」に「江」釣子で生まれたから夏江だ。

「ニシワガーにもっと会えるようになると思って協力隊になったのに、全然会えなかったから西和賀町にもう未練はない」とは本人の弁。(ニシワガーというのは西和賀商工会が生んだご当地ヒーローである。)

昨晩、↑のようにメッセージを送ったあと、怒涛のやべーやつら紹介が始まり、ツッコミが追いつかず、俺が寝落ちしたあともやべーやつら紹介が続いていた。

今数えたら17人。北上はやべーやつらだらけだな。

今日はそのやべーやつの一部に会ってきた。その詳細はのちのち書くとして、晩飯を食って夏江さんと別れたあと、しばしタバコを吸いながら考えていた。

まず、なぜ俺が岩手の山奥のド田舎に引っ越すことになったか。

2012年に京都で小堀(森)陽平に出会って、「人口6000人の町に300人収容できる演劇専用ホールがある。面白いところだから来て」と誘われたことがそもそものきっかけだ。俺は最初、「こいつ、グイグイ来るな」と思っていた。

そして今日、夏油高原スキー場の代表取締役や、喜久盛酒造の蔵元と会って楽しくおしゃべりしてきたわけだが、俺はスキー未経験者だし、酒蔵見学だってしたことないし、スキー場や酒蔵を見ても、「ふーん」でスルーしてきた人間だ。

じゃあなんでそこに立ち寄って、楽しくおしゃべりすることができたかって、夏江さんというガイドがいたからである。

小堀(森)陽平も夏江さんも熱がある。

本人たちが心の底から面白いと思っているから熱を持って誘うし、ガイドブックに載ってるのを見て満足する以上に、こちらが何かを受け取る。

俺を人生初カヌーに誘った瀬川然も「本当にここでしか、この時期にしか見られない光景があって、それがすごいんだ」と本気で思っている。

たとえ生産者が熱を持っていても、加工や販売でその熱が失われれば意味がないし、めっちゃおもしろスポットがあったとしても、宣伝でその熱が失われれば意味がないし。

熱は温め直さない限り、時間が経てば失われるし、人手を介せば冷める。

逆に、素材がもともと持っている熱に、自分の熱を加えて、冷ますことなく伝え、人を連れてきて、連れていくガイドがいれば、ド田舎であっても、なんとかなるのではないかというのが、今日の旅の結論。

最初は拙くてもいいので、自分が心からオススメできることだけをオススメするのが、そのスタートラインだと思う。

心からはオススメできないものをオススメしている余裕は、大抵のド田舎には恐らくない。

心からオススメできるものがなければ、心からオススメできるものを作ればいい。

そういうのができるド田舎とできないド田舎で命運が別れるんだろう。

あ、カバー写真は、聖書配布協力会の看板をパロディにしたラベル試作品を掲げる、喜久盛酒造の5代目蔵元、藤村卓也氏です。

唐仁原 俊博 a.k.a. 西和賀町のやべーやつ / とうじんばら としひろ
岩手県西和賀町 地域おこし協力隊

大学生・怠惰な生活・演劇の三足のわらじで、京都大学を10年かけて中退した、元フリーランスライター。ほんとは大してやばくないけど、最長3年の任期をフル活用するためにも、やべーやつを名乗ることにした。
ほんとに大してやばくない。

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