ヒグチトウカ

自称・シャーロキアン。ホームズ関連の団体には未所属。原作のお気に入りは「恐怖の谷」「犯…

ヒグチトウカ

自称・シャーロキアン。ホームズ関連の団体には未所属。原作のお気に入りは「恐怖の谷」「犯人は二人」。映像はやはりグラナダが至高だと思っているけど、ちょっとだけBBCに浮気した。

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    「憂国のモリアーティ」の各話ごとに、原作「シャーロック・ホームズシリーズ」の元ネタを考察した記事をまとめました

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はじめに

シャーロック・ホームズを愛読書にしてから20年。 ホームズの宿敵・モリアーティ教授を主人公に据えた漫画「憂国のモリアーティ」の連載が始まった頃からずっと原作の元ネタについて言及したいと思ってきました。 物語が一つの山場を越えたタイミングで元ネタを考察する記事を作成するために、このアカウントを立ち上げました。 「シャーロック・ホームズシリーズ」「憂国のモリアーティ」のファンに楽しんでもらえる記事にできるよう頑張ります。 どちらもネタばらしをしても決して魅力が半減しない素

    • 憂国考察記事#24 The Adventure of Four Servants

      【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『ボヘミアの醜聞』(A Scandal in Bohemia) 「憂国のモリアーティ」7巻:#24 The Adventure of Four Servants 「憂国のモリアーティ」7巻は切り裂きジャック編。原作と物語で重なっている部分やパロディは今のところ見つからないので、題名の元ネタや登場人物に絞って考察したい。(素直に感想を書くという選択肢は今のところないものとする) 第24話の日本語タイトルは『モリアーティ家

      • 憂国考察記事#17-23 A Scandal In British Empire(2)

        【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『ボヘミアの醜聞』(A Scandal in Bohemia) 「憂国のモリアーティ」5ー6巻:#17-23 A Scandal In British Empire 「憂国のモリアーティ」第17-23話で、シャーロックやマイクロフトたちの部分は#17-23 (1)で触れた。いよいよThe womanについて考察したい。 「シャーロック・ホームズシリーズ」でThe womanといえば、アイリーン・アドラー。ホームズにとっ

        • 憂国考察記事#17-23 A Scandal in British Empire (1)

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『ボヘミアの醜聞』(A Scandal in Bohemia)、『ギリシャ語通訳』(The Greek Interpreter)、『ブルースパーティントン設計書』(The Adventure of the Bruce-Partington Plans) 「憂国のモリアーティ」5ー6巻:#17-23 A Scandal in British Empire 「憂国のモリアーティ」の第17~23話は考察したい内容が多すぎるので

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          12本

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          憂国考察記事#15-16 The Two Detectives

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『3人の学生』(The Adventure of the Three Students)、『マスグレーヴ家の儀式』(The Musgrave Ritual) 「憂国のモリアーティ」4ー5巻:The Two Detectives 「憂国のモリアーティ」の第15ー16話は元ネタがあまりよく分かっていないため、この考察記事は未完成なまま公開し、判明した点があれば随時更新することを先に申し添えておきたい。 まず明らかに原作を意

          憂国考察記事#15-16 The Two Detectives

          憂国考察記事#12-14 The Man with the Golden Army

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『空き家の冒険』(The Adventure of the Empty House) 「憂国のモリアーティ」4巻:#12-14 The Man with the Golden Army 「007シリーズ」:『黄金の銃を持つ男』(The Man with the Golden Gun) 「憂国のモリアーティ」の第12~14話はモランをメインに据えた物語だが、タイトルや登場人物は007シリーズを彷彿とさせるものばかり。世界

          憂国考察記事#12-14 The Man with the Golden Army

          横道2:レストレードとグレッグソン

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『緋色の研究』(A Study in Scarlet) 「憂国のモリアーティ」2ー3巻 G・レストレードとトバイアス・グレッグソンは「シャーロック・ホームズシリーズ」の中でも有名な警部の2人。1作目の『緋色の研究』から登場し、互いに手柄を競い合うライバル関係にあった。全シリーズの中で、登場回数はレストレードのほうが多い。2人とも捜査ではホームズの後塵を拝し、もったいぶったホームズの言動にイライラを募らせる場面もある。

          横道2:レストレードとグレッグソン

          憂国考察記事#10-11 The Hunting of the Baskervilles

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『バスカヴィル家の犬』(The hound of the Baskervilles) 「憂国のモリアーティ」3巻:#10-11 The Hunting of the Baskervilles 「憂国のモリアーティ」では、しばしば原作の被害者が悪人として描かれている。『バスカヴィル家の狩り』に登場するチャールズ・バスカヴィルは貧しい子どもたちを追い立て、狩りを楽しむ極悪人だ。一方、原作の『バスカヴィル家の犬』に登場するサー

          憂国考察記事#10-11 The Hunting of the Baskervilles

          憂国考察記事#7-9 A Study in "S"

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『緋色の研究』(A Study in Scarlet) 「憂国のモリアーティ」2ー3巻:#7-9 A Study in "S" 「憂国のモリアーティ」の第7話のタイトルを見たときに、ここで『緋色の研究』のタイトルをもじるのかと感嘆した覚えがある。“S”は原作ではScarletだが、本作品ではSherlock HolmesのSだろうことは明白だ。『緋色の研究』の物語を下地にしながらも、ウィリアムらモリアーティ一味がシャーロ

          憂国考察記事#7-9 A Study in "S"

          プロフィール

          基本情報名前:ヒグチトウカ 職業:会社員 出身地:愛知県 趣味:漫画、映画、読書、デジタル絵描き 特技:なんちゃって精神分析 好きなお酒:ラム 好きな芸能人:戸田恵梨香さんと町田啓太さん 自称・シャーロキアンシャーロック・ホームズシリーズにはまったのは小学生のとき。近所の図書館で借りた児童書を読んで、すっかり虜になりました。初めて読んだのは「まだらの紐」。ほかの作品も読んでみたいと思い、貸し出しされているものをどんどん読み進めました。当時は、一度に借りられる本は

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          憂国考察記事#5-6 The "Noahtic"

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『グロリア・スコット号事件』(The Gloria Scott)、『緋色の研究』(A Study in Scarlet) 「憂国のモリアーティ」2巻:#5-6 The "Noahtic" 「憂国のモリアーティ」の第5話では、本作のもう一人の主人公とも言うべきシャーロック・ホームズが初めて登場する。シャーロックはウィリアムを観察して職業を「数学者」と言い当てる。この観察力の高さは原作でもたびたびワトソンが紹介してくれている

          憂国考察記事#5-6 The "Noahtic"

          憂国考察記事#4 The Case of the Noble Kidnapping

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『花婿失踪事件』(A Case Of Identity)、『ギリシャ語通訳』(The Greek Interpreter)、『最後の事件』(The Final Problem)、『ブルース・パーティントン設計書』(The Adventure of the Bruce-Partington Plans) 「憂国のモリアーティ」2巻:#4 The Case of the Noble Kidnapping 「憂国のモリアーティ

          憂国考察記事#4 The Case of the Noble Kidnapping

          横道1:モリアーティ3兄弟

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『最後の事件』(The Final Problem)、『恐怖の谷』(The Valley of Fear) 「憂国のモリアーティ」 「憂国のモリアーティ」の主人公・ウィリアムには兄弟がいる。アルバートとルイスだ。 原作ではホームズやワトソンがモリアーティ教授の兄弟について言及する場面がある。 “最近になって、ジェームズ・モリアーティ大佐による、兄(or弟)の過去を弁護する複数の投書によって、…” “彼の弟は、イギリ

          横道1:モリアーティ3兄弟

          憂国考察記事#3 The Dancers on the Bridge

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『緋色の研究』(A Study in Scarlet)、『唇のねじれた男』(The Man with the Twisted Lip)、『空き家の冒険』(The Adventure of the Empty House)、『ソア橋』(The Problem of Thor Bridge)、『恐怖の谷』(The Valley of Fear) 「憂国のモリアーティ」1巻:#3 The Dancers on the Bridg

          憂国考察記事#3 The Dancers on the Bridge

          憂国考察記事#2 The One Grapefruit Pie

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『オレンジの種5つ』(The Five Orange Pips)、『最後の事件』(The Final Problem) 「憂国のモリアーティ」1巻:#2 The One Grapefruit Pie 「憂国のモリアーティ」の第2話のタイトルはとても秀逸。話の中身や、舞台、被害者の名前は異なるものの、タイトルの英訳を原作のThe Five Orange Pipsに似せて、わざわざ付けているなとはっきりと感じさせた作品だった

          憂国考察記事#2 The One Grapefruit Pie

          憂国考察記事#1 The Scarlet Eyes

          【関連作品】 「シャーロック・ホームズシリーズ」:『緋色の研究』(A Study in Scarlet)、『赤毛組合』(The Red-Headed League) 「憂国のモリアーティ」1巻:#1 The Scarlet Eyes 「憂国のモリアーティ」が最初のタイトルに使ったThe Scarlet Eyesは直訳すると、緋色の瞳。本作の主人公であるウィリアム・モリアーティの瞳の色を指していると推察される。 他方、シャーロック・ホームズファンにとって、緋色(Scar

          憂国考察記事#1 The Scarlet Eyes