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ツチヤタカユキまとめ/ありがとう、愛してる

映画「笑いのカイブツ」が2024年1月5日、無事に公開された。何度も言うが、私は制作発表から本当に待ち望んでいた。
そこで、色々と話したい話題が私の中で膨張したので今回はそれで進める。


役者

初めに、前回の記事で触れられなかった芸人について私の所見を述べる。
デジタル大喜利MC役「木村祐一」…言わずと知れたマルチタレント、大喜利界の強者でもある。
デジタル大喜利MC役「藤井隆」…こちらも言わずと知れたマルチタレント、ドラマ『だが、情熱はある』でキーパーソンを演じたのもあり嬉しさが高まった。
ヨーグルト配達の先輩役(市川)、ホストクラブ客役(ワダちゃん)「女と男」…中堅漫才師、市川は最近は低調気味なのが心配。
劇場支配人・岡部役「ザ・プラン9お〜い!久馬」…所属グループは知る人ぞ知るコント集団、彼自身はリーダーで脚本家。
構成作家見習い・長友役「たくろう赤木裕」…所属コンビは実力派若手漫才師、彼自身は若き大喜利界の強者。
ホストクラブ店長役「ギャロップ毛利大亮」…所属コンビはTHE SECOND2023王者、彼自身はクラブDJでもあり全国区に名が知られてようやくイタいキャラが浸透してきた。
劇場スタッフ役「アルミカン赤阪侑子」…所属コンビは実力派若手漫才師、彼女自身はフィジークに精も出している。
ホストクラブ客役「ハイツ友の会西野」…所属コンビはTHE W2023ファイナリスト、彼女自身は会社員でもある兼業芸人。
バーの客役「シャンプーハットてつじ」…所属コンビは関西では知らない人がいないであろう大御所漫才師、彼自身はつけ麺屋「宮田麺児」も経営している起業家。
他にも様々な芸人が出演していたが、私が存じ上げない方々だった故割愛する。

そして、演者ではないが
ベーコンズの漫才指導担当「令和ロマン」…M-1グランプリ2023王者
この映画の先行上映会が開催されたのは大阪では2023年11月28日、まだ準決勝開催前(この年は同年12月7日)であり、私はハラハラしていた。エンドロールで初見だったあの時、運命があるんだと目を皿にしていた。そして、ファイナリストに選出されて数日後の12月12日に東京での先行上映会が開催、更に12月24日で彼らはチャンピオンに輝いた。年は明けて、2024年1月5日本公開に繋がった。

このように、色んな芸人たちも映画に出演していた。ちなみに、令和ロマン髙比良くるま氏が2024年1月30日に開催された映画公開記念トークショーで「ブラゴーリがオーディションに落ちた」と触れていたので、オーディションでの人選だったらしい。

発端

以前の記事にも、私がツチヤタカユキにのめり込んだ経緯を述べていたが今回改めて洗いざらい書く。あの頃は2015年の終わりが近付いていた、お笑い界は今よりも冷えきっていたがM-1グランプリが復活するという希望が目覚めていた。そうして、その年の暮れに起きた悲劇が彼を思い出してしまった。悲劇の当事者も家庭に恵まれず誰も止められなくなりあの世界に入る前に報われぬ道に逸れて、一度は偉大なる栄誉を手に入れたとしても決してそれが全てを癒す訳でも無かった事実に私はショックを目の当たりにしていた。
ツチヤもそうなってほしくないと思った私は衝動的に彼を追い掛けていた。しかし、当時はWebでのやり方に上手く着いていけず、無料公開されたりオフラインで展開されたりしたものしか金銭的余裕を見せられなかった。それでも、ファンレターは何度も出したし、誕生日プレゼントやバレンタインチョコも送った事もある、やり方が分かればオンライン決済もこなせる様になった。だが、それは結局自己満足に過ぎないと映画公開直前に気付かされた。『キネマ旬報NEXT Vol.54』に掲載されたインタビュー記事に高校卒業後に母親からの言葉で抑えられていたと書かれてあった。本当にファンやオタクは自分勝手な生き物、それが愛おしいんでしょうが。

当時

吉本時代

実際、ツチヤタカユキが吉本の大阪若手芸人専門劇場で構成作家見習いになっていたのは何時だったのかを紹介する。
この話は『笑いのカイブツ』ではなく『オカンといっしょ』に強く触れていた。それは2010年、まだ現在の「よしもと漫才劇場」でもなければその前の「5upよしもと」でもなく、「baseよしもと」時代。大阪なんばにある1999年から2010年まで常設であった若手芸人専門劇場で、その名の通り地下に建設されていた。現在その地には、NMB48の劇場が建てられている。
baseよしもとはまだ若手芸人のアイドル人気が強かった。設立して数年後には「WEST SIDE」と言うアイドルグループもいた程だ。その後、5upよしもとでもその雰囲気を醸し出していたが、よしもと漫才劇場になってからその空気感が薄くなったような気がする。
2010年頃の人気芸人は「ジャルジャル」、「モンスターエンジン」、「天竺鼠」などの異端児コント師や「ウーマンラッシュアワー」や「スマイル」、「span!」のようなアイドル系漫才師がメインだった。今や全国区の王道漫コン師「かまいたち」も当時所属していたが彼らの背中を見ていた。2024年現在前者と後者は人気が逆転しており、テレビ業界に馴染むと言う意味を深く分からされた。
そんな彼らとツチヤが触れ合う機会について書かれていない、劇場内で芸人には出会っているが残念ながら誰なのかは不透明。知らない方がいいかもと私は考えるようにしている。

ANN時代

次に、『オードリーのオールナイトニッポン』の放送作家時代についても触れる。
この時は2012年から2013年とお笑い界が冬の時代に突入していた、その頃はM-1グランプリが休止してTHE MANZAIが開催されていた頃という厳しさが吹き溢れていた。
そんな中、ツチヤタカユキは運命的な邂逅で上京、しかし人間関係やPCに不慣れなど周囲に着いていけず断念してしまう。その頃のツチヤを若林正恭は著書『完全版社会人大学人見知り学部卒業見込み』にも触れており、ツチヤが怯えている野生動物のように見えていた。そして、彼が夢を閉ざそうとした時に自分が力不足だったと後悔していた。

映画ではどちらも実際の時代よりも数年後に後ろ倒しされている、まあ「baseよしもと」が再現できないのが一番の難点だったであろう。

偏見

原作でも、映画でも、ツチヤタカユキについて言われている話題がある。「ASD」、ここでは「自閉症スペクトラム障害」の略だ。
私も実はそれに近い状態なので、こうして話題に上がるのが凄く煩わしい。キャラクターのみならず、著名人が告白していないならその事項に当てはまると思い込んでレッテル貼りするのが鬱陶しい。『笑いのカイブツ』作中でピンクにツチヤが精神的な病かもしれないと推測したが、それを嫌がっていた。それは『オカンといっしょ』にて自分の祖母が精神病院に入れられたのが非常に辛い思い出だったからかもしれない。
こうして触れるなら、「愛着障害」とか「アダルトチルドレン」とかについても理解してほしい。この話題は別記事にも書き起こす。

後、ツチヤタカユキは『前夜』で酒や女に入り浸った生活を送っていたので童貞性を求めるんじゃない。「人間の業」を無視して人間を語るな、私も彼氏に身体から愛されて愛しているんだ。だから、ツチヤは落語にハマって生業にしている。それこそが優しい世界だろう、ファンシーだけが優しい世界ではない。

万一

個人的にツチヤタカユキが触れ合ってほしかった芸人が私の中に何組もいる。先程、述べた「令和ロマン」のみならず映画に関わった「ランジャタイ」だ。

まずは「令和ロマン」、彼らは慶應義塾大学内のお笑いサークル出身であるため、ツチヤタカユキとは反発する存在だ。特に、髙比良くるまは天からお笑い界を変えたいように見えて、地から自分のお笑いを証明したいツチヤとは真逆の存在かもしれない。しかし、2人とも幼少期が荒れていたという共通項がある。だが、髙比良は『OWARAI AND READ 005』にて両親が離婚して母親に引き取られて再婚して母親側の祖母に反発していたなど語っており、現在も母子家庭で母親側の祖母に賛同していたツチヤと反りが合わない面もある。そして、髙比良は自分のコンプレックスに向き合っているのが一番の差だろう。
しかしながら、こんな事があった。2023年12月12日に開催された先行上映会の舞台挨拶でツチヤが今年の漢字として「塩」を掲げた。俳優の広末涼子の不倫相手である料理人の鳥羽周作がプロデュースしたレストラン「sio」が由来で、今年はこの出来事しか覚えていないと仰っていたが会場は引いていた。一方、令和ロマンは髙比良が相方松井ケムリと鳥羽氏が似ている事から前述のスキャンダル発覚前から弄っている。
でも、どちらも極端な人間なんだ、そんな髙比良はトークライブでもツチヤを所望していた。けれども、髙比良の熱意を松井は受け止めているのを忘れないでほしい。松井は朗らかさが売りで、仏のように思える。

「ランジャタイ」は伊藤幸司が映画版パンフレットにエッセイを執筆していたが、彼もかつて馴れ合いを拒絶していた。東京NSC12期生(2006年度入学生)として入学したがこの当時はかなり尖っており、入学早々面白い奴を探して同期生に声を駆け回って、ある時和気藹々としている状況に「仲良しクラブじゃねぇんだぞ!」と癇癪を起こしてその後反省のために清掃させられていたが覆られず退学させられていた。この時、現在の相方である国崎和也だけは自主退学して彼に着いて行った。それから、時間は掛かったが人気者になり今日に至る。
そんなツチヤと同じ匂いをしていた彼はエッセイでも会いたいと叫んでいた。けれども、伊藤には国崎がいる、その差は大きい。そして、彼はネタ制作担当ではない。国崎はハチャメチャな芸風を貫いているが、底知れぬ可愛げで中和されている。
そんな伊藤氏のために伝わるかどうか分からないが書かなくてはならない話を次の章に書く。

最後に、ここで述べた彼らは1人ではなくて2人、この差は思ったよりも大きく感じる。前にも言ったが、横に誰かいるのは本当に安らぎを得られるのだ。それに、次の章にも関係しているが殆どは同世代と競い合っていた事実も差として挙げられる。ツチヤは「ケータイ大喜利」でも、作家時代でも同世代にはあまり触れていないと見受けられた。それは寂しい話だ。
と終わらせたかったが、ピン芸人はどうなんだと感じた。例えば「ZAZY」はコンビの結成と解散を繰り返す上に同期などから性格が悪いと評される。しかしながら、彼も「お見送り芸人しんいち」とユニットを結成して雰囲気はまろやかになったと思えた。

道程

最後にツチヤタカユキは何故お笑いの世界を目指したのか、そして現在どうしているかも語りたい。
ツチヤタカユキのお笑いの原風景は「千原ジュニア」、と言ってもかつて「ジャックナイフ」と呼ばれていた時代の話だ。こちらは『Quick Japan Vol.148』に触れていた。けれども、大病や交通事故に遭って現在の彼にはその面影が感じられない。何よりも、彼が芸人になる切っ掛けに実兄「千原せいじ」の存在が大きく、かつての引きこもり生活を終えたのも彼のフォローがあったからだ。誰かに支えられて世界観を広げられる。だが、それだけしか触れられておらず、『ツチヤタカユキ baseshop』にはそれ以前はゲームや漫画に入り浸っていた事しか明かされていない。画力がない故に断念した世界ではあったが。

そして、NSCに入学したくて中卒で済ませたかったが母親に止められて高校を卒業している。その間に自分よりも年上が大半の大阪NSC27期生(2004年度入学生)を間近で見届けていたと『前夜』に書かれていた。著名芸人は「トット」、「Dr.ハインリッヒ」、「GAG」、「タナからイケダ」などいるが「ミルクボーイ」や「ガクテンソク」はオーディション組で入学していない。M-1グランプリ2019チャンピオン「ミルクボーイ」は当時大阪芸術大学に入学して落語研究会に所属したばかりの年、実力派中堅漫才師「ガクテンソク」は2人とも芸人にはなっていない。しかし、前者は同世代で競い合っていたが後者その経験も無く研究に研究を重ねて実力を発揮した。彼らと触れ合う機会があればよかったと私は妄想している。
そして、そんな上の世代を見届けたツチヤは悲しい芸人の世界を見てしまい表舞台で活躍するのを諦めてしまう。
余談だが、もしもツチヤタカユキが高校卒業してそのままNSCに通うとしたら大阪NSC29期生あるいは前述の東京NSC12期生になるだろう。だが、この当時入学した者たちは高校卒業してすぐ入学しているのが少なくなっており、「吉田たち」や「ジェラードン」ぐらいしか浮かばない。

また、『笑いのカイブツ』執筆後に『オカンといっしょ』の執筆した後は海外で浮浪していた。その後、自費出版で小説や詩集を出したり、現代詩を投稿したり、新作落語の台本を書いてそれが評価されたり、『前夜』も執筆したり、吉本新喜劇の作家になったりしたが過去形になっている。海外浮浪と落語台本は継続しているであろうが、客観的に見れば華々しいとは言い難い。本人は未だに長生きできないと考えており、いつ亡くなってもおかしくない生き方をしている。それでも、彼は今日も生きている。
『笑いのカイブツ』では「きっと何者にもなれない」ツチヤタカユキだったが、今では様々な事を経験して「きっと何者にもなれる」ツチヤタカユキだ。彼を追い掛けるのはここまでにしよう、どこかの機会で巡り会えたら挨拶だけはしよう。
「ありがとう、愛してる」

終幕

ここまで、述べたのはツチヤタカユキへのファンレターの一面もある。彼はもうSNSなんてやっていない、精神衛生的にしない方がいいかもしれないが。
私はツチヤタカユキに憧れていた、けれどもなれなかった。そして、憧れない方がいいかもしれないと世間が手招いている。でも、彼を否定した世界に迎合する自分になってしまえば、命を落としたのと変わりはないだろう。
ここまでツチヤタカユキについて書かれた資料を家の中から探し出して纏めるのは、大変苦労した。うろ覚えの情報で書こうとしてもそれは許されないであろう、資料を読むだけで一日が終わる時もあった。

最後に、ここで何を書いているんだろうと思われますが、ツチヤタカユキについて追いかけるのは一旦ここで終わらせていただきます。そして、ある巨匠が天に召されました。ツチヤさんもいつかは塵になりますが、人生は誰にだってコントロールされるものではあってほしくないと願っています。

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