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天使の梯子に導かれて

過ぎ去っていく台風の影響で、いつもより涼しく感じられた月曜の夜。

僕は地元を一人散歩していた。

なんて一文とタイトルを見ると少しだけ風情を感じた方もいるかもしれないが、実際は親に家の二重ロックをかけられて、シンプルに家に帰れなくなっていた。

(夜ご飯を食べてそのまま今日は帰ってこないと思っていたらしい)

そこでどうしようもなく散歩をしていた。

ちょうどその日の夕方、滋賀に住む親友から帰省したから近々会おうという連絡を受けていたため彼の家へ向かったのだが、大爆睡していたようで電話をしても出なかった。

(後日聞くと、次の日が朝から大事なようだったらしい。電話してごめん、、、)

僕はこの後、少し悩んだあげく、小中高、そして塾のアルバイトも同じだった友人に連絡をした。

今日はそこでなぜ少し悩んだか、そんな話をする。

心境

親友が大爆睡をしていて電話に出なかったとき、はてどうしようかと思った。

というのも以前の記事(リンク)でも触れたように、中高と自分を受け入れられずあまり人と仲良くなれなかったため、こんな時にふらっと声をかけられる人が地元にいない。

だからこの時も、「あ、俺ってずっと地元に住んでるのに友達いないな」と実感して、少しだけ寂しい気持ちになった。

いつもなら適当に気持ちを切り替えるのだが、現実を受け止めるということを最近の課題としていることもあり、『今こうなっているんだな』と現状を俯瞰するようにしてそんな自分を受け入れてあげた。

その上で、もう一人の友人に声をかけることにしたのだが、この時も少しだけ不安だった。

というのも、もう最後にあってから1年以上は経っていたし、近々会おうと言っておきながらずっと日程調整を先延ばしにしていた自分がいたからだ。

なのに急に連絡して散歩しようなんて言うのはあまりにも自分勝手だと思った。

でもまたこれを先送りにすると、なんだがいよいよ会う機会を失ってしまいそうな気がして、勇気を振り絞って連絡した。

安心

数分後彼から返信があった。

僕の状況を笑い飛ばしてくれて、数分後には家から出てきてくれた。

少し筋肉質になっていたけど、優しい雰囲気は何一つ変わっていなかった。

ちょうどもう一人小中高が同じ友人も他県から帰省していたため、3人で散歩することになった。

彼と会うのは高校3年生ぶりだった。

23時から27時までの間、僕らは公園で今それぞれが何をしているのか、どんなことを考えているのか、そして中高こんなことがあったよね、と思い出話に花を咲かせた。

僕は様々な会話をする中で、学生時代彼らのことを羨ましく思っていたことを思い出していた。

比較

最初に連絡した友人は、中学時代サッカー部の主将を務め、クラスでも代議員として皆を引っ張っていく闘将のような存在だった。高校では少しだけいじられキャラのようになっていたけど、同じく代議員として皆に愛され引っ張っていく男だった。

中学時代同じように代議員を務めていた僕にとって、皆に愛され誰とでも楽しそうに会話をしている彼は憧れの存在だった。

もう一人の友人は、THEおもしろキャラのような存在で、自分の身体的特徴を笑いに昇華させることで皆から好かれていた。また勉強に関しては受験期もほとんどしていなかったが、常に好成績を残すポテンシャルの高い男だった。

自分自身の性格や特徴を受け入れがたかった僕にとって、彼の立ち振る舞いにはいつも驚かされた。勉強に関しても本当に最後の最後まで勝てなくて、本人には言わなかったけど、ずっとライバルだと思っていた。

素直で人から愛される二人がいつも羨ましかったのに、僕は決して素直になれず、あたかも俺もできるけどね、というようなスタンスでいた。

今だからこそこんな風に文章にしたり本当の気持ちを受け止められるが、当時の僕には本当にこれができていなかった。なんなら今もまだできていないところだらけだ。

そんな中でも未だに”あずーま”と呼んでくれて、相変わらず真面目な僕に、心を開いて会話してくれること、そして次の日朝から予定があるにも関わらず時間を割いてくれた彼らには本当に感謝しかない。

変化

今までは彼らの存在が眩しくて、自分に引け目を感じていたけど、少しずつ自分には自分なりのものがあると理解できるようになってきた。

そして大学1,2年生の頃、ギャンブルや煙草にはまった彼らのことを馬鹿にしてしまっていた気持ちもすっかりなくなった。

むしろそこから見えてくる世界や、彼らの強みが沢山見えてきて、自分と比較をせずにいいなと思えるようになった。

終いには、

「大学生活の間に一度はパチンコに行ってみようかな」

と言った僕に

「あずーまは、はまりそうだから絶対やめろ!!!」

「あ、でもちゃんと設定とか分かるやつといくならいいかもね」

「今あの台があついよ・・・・・」

と、止めてくれているような勧められているような感じがまた二人らしくてなんだか嬉しかった。








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