広い空の端っこに独りぼっちの鯨が住んでいました。今日も大きなからだで、寂しい空を泳いでいます。 その夜、人の声が空に届きました。繊細でひどく美しい、でもどこか悲…
花
2024年1月14日 23:15
広い空の端っこに独りぼっちの鯨が住んでいました。今日も大きなからだで、寂しい空を泳いでいます。その夜、人の声が空に届きました。繊細でひどく美しい、でもどこか悲しげな人の声が聴こえました。彼は歌いました。”遠いどこかに行ってしまいたい”彼は哀願しました。”心なんて掻き出してしまいたい”彼は呟きました。”誰か僕の歌を聴いておくれよ、寂しいよ”彼は嗚咽にさえなりきれない声を喉の