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【第49話】みちのくの秘境! 仏ヶ浦→大間崎

こんにちは。
7月末に有休を取得し、5日間にわたる青森ツーリングに出かけました。
1・2日目はまず津軽半島へ。悪天候のせいで撮れ高はイマイチでした。

そして迎えた3日目。
今回は連絡船で下北半島へと渡り、残り3日間はこちらの半島を巡ります。
果たして、どんな景色が待っているのでしょうか。
というより、天気は回復してくれるのでしょうか…。

▼前回のおはなし▼

さよなら津軽、よろしく下北

津軽半島から下北半島への連絡船の出航時刻は9時20分。宿は港のすぐ近くだったので余裕があった。船内の駐輪スペースにマウンテンバイクを固定してもらい、2階室のシートに腰掛けた。1時間の船旅はあっという間だ。脇野沢港へ到着し、下北半島へ足を踏み入れた。港の付近は住居が立ち並ぶ小さな町だったが、走り出すとすぐに景色は変わった。人の気配なんて全くない、山林が待っていたのだ。港から3㎞進んだところに道の駅があり、そのお向かいに小さな食事処を見つけた。焼干しの粉末を練り込んだラーメンが名物らしい。朝ラーメンというのも悪く無い。焼干し麺味噌ラーメンを注文。滋味深いスープが身体に染み渡った。この先は集落のひとつもない山岳コースだ。今日のルートはひたすら半島を北上し、最北端の大間崎を目指す。大間の町はそれなりに栄えているようで、宿泊施設も充実している。距離80㎞弱、アップは1000m超え。今日はかなりハードな1日になりそうだ。

片道料金+自転車持ち込みで、片道3000円ほど
轟音とともに着岸、重い扉が開く
脇野沢の港町。一番近い鉄道駅からも40㎞離れた僻地だ
焼干し麺味噌ラーメン800円。アイスコーヒーの無料サービスもうれしい
山帽子という飲食店。店主曰く「松山ケンイチと小雪の家族が昨日来ていた」らしい

絶景……のはずだった海峡ライン

青森を走り始めて3日目だが、今日も今日とて天気が悪い。分厚い雲に覆われた空は、全く晴れる気なんてないようだ。気分が上がらないまま、道路は山林へと進んでいった。昨日の津軽半島には及ばないものの、下北半島も霧が濃い。自分が走る道路は見えるが周りの景色は雲隠れして、この先が海なのか山なのか分からないほどだ。この道は海峡ラインとよばれ、それなりに景色の良いルートなのだそうだが、期待はできなさそうだ。容赦ない登り坂、断崖の曲がり道、見通しの良い尾根道、牛が放牧された高原……、変化に富んだ風景をカメラに収めながら黙々と進んでいく。山を登り始めて約2時間30分、35㎞ほど走ったところで「仏ヶ浦まで2㎞」の看板が見えた。この仏ヶ浦こそが下北半島屈指の絶景スポットであり、本日唯一の見どころである。

海峡ラインの風景。霧の向こうはおそらく海。もはや想像するしかない
脇野沢港を出発して下北半島で最初に見つけた哺乳類は牛だった
左に曲がると仏ヶ浦駐車場だったがエグい下り坂だったので、自転車は傍に停めて歩いて坂を下った

本日のハイライト、仏ヶ浦

仏ヶ浦は急峻な海岸に幅2㎞にわたり灰白色の巨岩が連なる景勝地。陸路からのアクセスも可能だが、観光船に乗り海上からのアプローチの方が奇岩の全貌を見られるのでオススメらしい。が、船が出るのはここからだいぶ先にある集落で、出航時間に合わせたスケジュールを組むのは難しい。ということで推奨ではない陸路を選んだ。自転車はその辺に適当に放り投げ、散策路を歩きながら仏ヶ浦へと向かうと、このルートが推奨されていない理由がよくわかった。標高差100mの急斜面に木製階段が設置されているのだが、降りるのはまだ良いが復路は同じルートを登らなくてはならない。ただえさえ峠越えでスタミナをすり減らしているのに、この階段の往復は大打撃であった。それでも仏ヶ浦へ訪れる価値は十分あった。階段のアップダウンのおかげもあり1時間ほど滞在していた。 時刻は15時を過ぎていた。そろそろ昼飯が食べたい。事前調査通り、スタートの脇ノ沢港から仏ヶ浦に至るまで、いっさいの商店はおろか住居すらなかった。さすがにお腹が空いてきた。ここからは一気に下り坂だ。標高200mから海抜0mの福浦集落までは一瞬だった。すでに15時30分だったが、幸運にも飲食店は空いていた。ここ佐井村はウニの名産地で知られる。値段もろくに見ずに迷わずウニ丼を注文した。舌の上でとろけるウニは、まさに絶品だった。しかしゆっくりもしていられない。滞在時間30分ほどでお店を後にして先を急いだ。

ちょうど船でやって来た、無数の観光客と遭遇する
徒歩と自転車で海抜0からこの標高まで登ってきた
ウニにマグロ、イカにさらにイクラまで乗せた歌舞伎丼はたったの1000円!
佐井村の人気店ぬいどう食堂

ここは、みちのくの果て大間崎

目的地の大間町までは30と数㎞。比較的距離はあるが全体の行程でいえばもう少しだ。数十mのアップからの海抜0mの集落へダウン、また数十mのアップ……これの繰り返しだった。午前のルートに比べればだいぶ優しいが、これが地味に辛かった。何度目かのアップで、峠のところに「大間町」の標識が出迎えてくれた。坂を下り市街地を抜け、一直線に岬を目指した。大間崎……。青森県最北の岬であり、いうまでもなく本州最北の地だ。ここへ来たくて長い道のりを駆けてきたようなもの。その達成感はとてつもない。空を覆っていた雲は少し薄くなり、西の方角は少し明るいように見えた。北を向けば、北海道が間近に見える。それほど果ての土地なのだ。感動を噛み締めながら、モニュメントの前で何枚も自転車を撮った。大間崎に到着したのは18時頃だったが、3つのモニュメントが建つだけのこの場所で1時間も滞在していたのだった。宿に到着したのはもう19時過ぎだった。大間崎からわずか500mほどに建つ民宿だ。大間の市街から少し離れた立地で、静かなこの場所で意識を失った様に眠りについた。

道の上にくつろぐ猿と遭遇。ここはニホンザルの生息地の北限らしい
人の気配を感じない漁港の先には登り坂が待っている
大間の町並み。提灯が飾られていたが、住人の姿は見られなかった
大間の一本釣りをモチーフのした大間崎のモニュメント。クセが強い
「御宿 かもめ」にステイ。食堂で販売しているビールが飲みたかったが中瓶しかなかったので断念…!

明日は下北半島の北東端・尻屋崎を目指そう。
この三日間はかなりハードなコースだったので、ゆったりと行きたいところだ。
あとは天気に期待して……。
つづく。


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