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『"葵" ヒカルが地球にいたころ……』読書感想

はじめに

皆さん、お久しぶりです。騰成(とうせい)です。
今回はX(Twitter)でフォロワーさんにオススメされて購入した『"葵" ヒカルが地球にいたころ……』の一巻目の感想を書いていこうと思います。前々から野村美月先生の名前は伺っていたのですが、なかなか読むことができず時間が経過してしまっていました。ようやく読み終えることができて、ほっとしています。今回の記事もネタバレを多少含んでいますので、お読みになる際はお気を付けください。

冒頭の感想

フォロワーさんに紹介されて、どのようなジャンルかも知らずに読み始めた今作品。いきなりヒカルという男の子の葬式シーンから始まり、とても驚きました。しかも、葬式に参列する人は女の子ばかりで男の子が一人もいなかったり、ヒカルの死を哀しむ女の子ばかりの中で一人だけ笑っている子がいたり、遺影に向かって「嘘つき!」と叫ぶ女の子がいたりと、波乱の幕開けでとても惹きこまれました。
また、ヤンキーのような見た目で友達がいない是光(これみつ)という主人公の男の子に、幽霊になったヒカルが憑りつくという流れで、びっくりの連続でした。それだけでも驚きなのに、生前にやり残したことがあるヒカルは、是光に未練を解消するための手伝いをして欲しいと頼むという展開に!
冒頭に謎をばら撒いて、読者の興味を引きつつ、急展開をどんどんぶつけてくるという手法に、とても感銘を受けました。

中盤の感想

友達がいなくて孤独な生活をしていた是光と、女の子にはモテるけれど男の友達がいなかったヒカル。一緒に過ごすうちに、二人の関係性が親しくなっていく流れが丁寧に描かれていました。
最初は、ヒカルの後悔を解消することで、四六時中幽霊であるヒカルと一緒にいなくてはいけない現状を解消したいという思いで動いていた是光が、やがて本気でヒカルの心残りを解消したいと思うようになるという心の動きが、しっかりと描かれていました。ただの『知り合い』から『親友』へ。男二人の友情が光る作品だなと思いました。

終盤の感想

多くの女性からモテてしまうヒカルは、家が決めた婚約者である葵という女の子に、自分は好かれていないと誤解されていました。ヒカルは彼女のことを本気で愛しているのに、その気持ちが伝わらない。葵の誕生日に自分の気持ちを伝えようと決めていたが、告白をする前に命を落としてしまう。是光がヒカルの想いを葵に伝えるために奔走する流れが良かったです。序盤、中盤はコミカルに感じるようなシーンが多かったですが、終盤は感動できるような展開ばかりが続いていました。

「葵はヒカルの特別だった。簡単に手を出しちゃいけない女だったんだ。葵のことを、心から大事に想っていたんだ。ヒカルの描く幸福な未来に、葵は絶対に必要な存在だった! 本当は葵と、もっともっと一緒にいたかったんだ!」

是光が、ヒカルの気持ちを代弁して伝えるシーンは、是光の真っ直ぐさと純粋な葵の涙が合わさってとても良かったです。上の引用した是光の台詞は、とても好きで気に入っています。

最後に

結局、ヒカルの葬式の際に、一人だけ笑っていた女の子の秘密は明かされませんでした。どうしてヒカルは亡くなってしまったのかも含めて、まだまだ未解決の謎が残されています。続きが気になるような作りになっていて、構成力がとても高い作品だなと思いました。私は面白く読むことができたので、まだ未読の方は読んでみてはいかがでしょうか? これで今回の記事は終了に致します。また、何か読書をした際には感想を書こうと思います。

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