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民泊を理解するため、旅館や不動産賃貸との違いを書き出してみた②

民泊について続きの記事です。1回目はこちら。

前回は、監督官庁、オーナーの物件保有、宿泊日数について、旅館業、住宅賃貸業、民泊の3つの違いについて記しました。今回もその続きを書きながら、民泊の特徴について理解をしていければと思います。

なお、私、民泊や旅館業については今のところ未経験です。未経験者が新しいトウシのトビラを開ける勉強の過程として、読んでいただければと思います。

その④  集客の違いについて

民泊を利用する潜在顧客は、米国のAirbnb社を通じて宿泊予約をすることが一般的です。Airbnbの他にも、オンライン旅行会社であるBooking.comや楽天トラベルなどがありますが、Airbnbのプラットフォームは世界中で圧倒的な立場を確立しています(いくつか統計も探してみましたが、まともなシェア比較がないぐらい圧倒的と言って良いと思います)。

旅館業の場合は、旅館・ホテルへの直接予約、オンライン・オフラインの旅行代理店を通じて予約となります。

不動産賃貸業の場合は、顧客はSuumoやHome'sなどのサイトを参考にして物件を探す、もしくは町の不動産屋の張り紙で物件を探します。そして宅建免許を持っている不動産賃貸業者さんを通じて契約をすることになります。

民泊を運営をするためには、とにかくAirbnbの仕組みと、物件が顧客にどのように映るのかを知り尽くすこと、が極めて大事になりますね。サイトにどのような写真やメッセージを掲載しておくべきなのか、どうやったら高い点数を得られるのか、ホスト側のAirbnb手数料3%〜15%をどう設定するのか(ホスト側の手数料を下げると、ゲスト側が部屋代とは別に手数料を徴収されます)、部屋単価をどう見せるのか、何泊からOKにするのか、季節によって値段をどう変えるのか、クリーニング代をどう見せるのか、などなど。

どんなビジネスでも営業が肝になるわけですが、それは旅館業であろうと、不動産賃貸業であると、民泊であろうと同じということです。

なお、日本の民泊においてAirbnbの2018年6月のエアビーショックは非常に大きな事件でした。かつて民泊・旅館業の許可書をとっていない物件もAirbnbに掲載が可能であったのですが、このタイミングで、許可証がある物件以外は全て掲載から落とされてしまいました。なんと、75%の物件が掲載から消えたのです。闇民泊時代と言われるグレーな時代は終わりを告げ、ホワイトな民泊新法時代へ入っていきました。

出所:https://1manken.hatenablog.com/entry/Airbnb-delete-listingより


その⑤ 収益構造の違いについて

(この項目は、不動産賃貸業を除いて、旅館業と民泊を比べます)

旅館業と民泊では、固定費である人件費と、変動費であるクリーニング費用が大きな違いであり、この違いを意識すると個人が取り組みやすい民泊経営の基本的な戦略が浮かび上がってきます。

旅館業では人が常駐している「有人」の形態が基本であるのに対し、民泊は「無人」で運営されるのが基本で、旅館業の方が費用がかさみます(地域によっては民泊でも有人がMUSTの場所もありますが、基本的には無人)。

一方で、クリーニング費用はこの逆になります。大規模なホテルでは生産性を上げて一室1000円以下で清掃をすることが可能ですが、民泊の清掃の場合は小さい部屋でも3000円以上はかかってくる、民泊の方が費用がかさみます。

一般に旅館業の場合は、固定費である人件費を回収するため、それなりの規模の部屋数で運営することが合理的となります。部屋数が増えると清掃を効率的に行えるため、変動費の単価が下がっていくのでこれも理にかないます。ビジネスホテルなどでは何百室の物件はザラになりますが、それは「規模の経済」を働かせる(客室当たりの人件費や清掃費を小さくする)のが理にかなっているからとなるでしょう。

このような大規模な投資をするのは一個人ではなかなか難しくなりますね。反対に、無人で運営ができる民泊については、一室から経営をスタートできる、資本力のない個人がビジネス参入できる可能性が出てくるのです。ただし、重たいクリーニング代をなんとか対処しなければです。

少し文章の構成が揺れていますが、このような基本的な収益構造の違いを背景に、個人が民泊を事業とするための基本的な物件戦略は以下となってきます。

・大規模でコスト優位であるホテル・旅館とは違った土俵で戦える物件であること(例えば、5人以上泊まれる大きめな物件はホテルではスイートルームなどに限定されます。外国人は旅館は体験としては喜びますが、毎日のように長期間布団に寝るのは好みません)

・民泊にとって重たいクリーニング費用を抑えるため、一回当たりの宿泊日数を長くとれる部件であること(最低3泊以上などで借り手がつくこと)

この基本的な戦略は、地域や時期、時代によって変わるとは思いますが、民泊経営をする上で必ず頭にいれておくべきでしょう。

第3回に続く

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