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外国籍の新入社員にiDeCoを勧めるべきか?

4月、新しいスタートの季節です!!今年も私が所属するWealthParkには新入社員が4名入ってきてくれました。2名が日本国籍、2名が外国籍。会社全体160名の半分が外国籍の人材なので良いミックスだと思います。

もう一人の同時入社の方と合わせて5名に向けて、私からも3時間超の新人研修をしました。話した内容は「投資という活動の社会における大切さ」、「投資を人生に実装する大切さ」、「投資の歴史」などです。オリジナルのボードゲームをやってもらったり、ディスカッションをしたりと、積極的に参加してくれました。

彼らにはこれから色々と学んでもらいたいと思いますが、「投資は単なる金儲けの手段ではないこと」「投資には正解はないこと」がまず伝えたことです。このブログでも紹介しているパッションアセットにも興味をもってくれて、「アートの投資とワインの投資はどう違うのですか?」などの質問もしてくれました。いやー、パッションアセットはなかなか話す機会がないので、この手の質問は嬉しいですね。

さて、本題のiDeCoに。私が社会人になったのが2001年、その10月から企業型の確定拠出年金(DC)がスタートして、私も当時は数千人の数少ない対象者となりました。右も左も分かりませんでしたが、先輩から「世界株式をコツコツ投資をしなさい」とアドバイスを受け23年が経ちました。私は日本人で1番長くDCやiDeCoでの投資を続けてきた一人であるはずです🤗

その頃は、投資商品のメニューにオルカンはなかったですし、パッシブファンドもありませんでした。iDeCoという名前も無かったですし、長期・分散・積立という資産運用のコンセンサスも無かった。そう思うと今から20年後の資産運用の世界では、今は当たり前と言われていることが全て入れ替わっていてもおかしくないな、と思います。常識なんて時代と共に変わるのです。

途中に転職をしてフルインベストメントで無くなった時期、資産を(愚かにも)売買をしたこともありましたが、振り返ると平均して月3万円ぐらいを「世界株式にコツコツ投資」を20年超続けていて、運用残高は積立額の倍以になっています。継続は力ですが、アドバイスをくれた先輩ありがとう。。。

さて、そんなこともあって若手新入社員にも新NISAやiDeCoにつても話しました。日本人の新入社員であれば、迷いなく「勉強にもなるし両方ともやりましょう」と伝えます。NISAは月々100円から、iDeCoは月々5000円から可能です(iDeCoの5000円は新入社員には少し負担かもしれませんが)。これで5年なり10年なりの資産運用経験を積んだ状態で30歳を迎えるのと、その経験なく30歳を迎えるのでは、その後の生涯財産所得に莫大な差が出ると思うからです。

今回、考えさせられたのは外国籍の新入社員の新NISAやiDeCoへの取り組み方です。僕も人生で5回ぐらい生活国が変わっていますが、「いずれ本国に帰国する」可能性がある彼らからすると、この制度への見方は日本で一生を過ごすことを前提とした日本人とは異なります。これは将来的に海外移住をしたいと思っている日本人にとっても同じと言えますね。

まず新NISA。これは、しばらく日本にいるのならば国籍に関係なくやるべき、と思います。日本を出国する際に日本の証券口座は解約が前提となりますので、その時点で換金して持ち帰ればよいからです。税制優遇の点でも、経験という点でも、やった方がいいと思います!!

一方のiDeCo。こちらは60歳以上にならないと引き出せないので、より考える必要があるでしょう。外国籍の新入社員からすると40年後なりのタイミングで日本に住んでいるか否かなんて、さっぱり分からないはずです。

国外に出た時のiDeCoの取り扱いについてネットで調べたり、私の運営管理機関であるJIS&Tに電話をして確認しましたが、外国籍の人へのポイントは以下のようにまとめられます。

・60歳以下の場合でも、25万円以下の残高であり、所定の要件を満たせば返金を受けることが可能(ただ、これに該当する人は少ないと思います)
・日本から離れた時点で加入者から運用指図者となり、過去の積立への運用を続けることが可能
・60歳以降の時点で日本に住所がなかったとしても、外国にある口座などに残高を送金をすることが可能。本人確認やその外国の口座が受け取り可能か否かは、都度の判断となる(普通の銀行口座なら大丈夫そうでした)。
・制度を預かっている国民基金連合会が上記ルールを定めているが、運用管理機関毎に取り扱いは異なるので個人で確認をする必要がある。

とのことです。厚生労働省のHPを見ると、現在223社の運用管理機関があります。基本的に、外国籍の人が損をするようなことは無さそうだなと思いましたが、この制度を信じて利用した人の財産権をしっかり守るべく、これからも適切な運用が必要だと切に思いました。

母国語でない国にいると税金や社会保障制度の理解はハードルが高いため、「将来的に海外に帰った場合」などの事象についての説明が外国籍の人にきちんと届くようにすることも大事だと思いました。

ちなみに本人が死んだ場合でも日本国籍の場合と同じように、

・相続人が相続財産として受け取ることができる

とされています。ただ、本国にいる家族などの相続人がその資産の存在に気づくのか、そして手続きができるのか、という点は実務的にハードルが高いと思いました。請求がなされなければ、このお金は法務局に行きます。

親族などに日本にiDeCoなる口座があり、ここにお金が溜まっていることを伝えておかないとなりませんね。これは、過去に米国で働いて401kなどにお金を積み立てていた日本人の親族なども全く同じなので注意です。つまり、資産を棚卸した財産ノートや、終活ノートがないと、特に国外の資産は漏れてしまうリスクが大きい訳です。

今の時代、ビジネスや人の活動が国境を超えることは当たり前です。僕らの周りは外国製品が溢れているし、海外の人は日本製品を買っています。普通の日本人が留学をしたり、外国で働いたり、外資系企業で働いたりしますし、その逆も当たり前です。日本人が海外の株式や国債を買うのも当たり前、そして外国から日本にも旅行なり投資なりを沢山してもらっています。

そしていつの時代も、最も重要なのが「人」という資産です。日本で働く外国籍向けの基本的な資産運用制度をきちんと整えて、世界からヒト・モノ・カネが集まってくる土台がある社会か否かは、日本社会の豊かさを決するでしょう。

正直、iDeCoなどの老後の年金という仕組みが、人が自由に行き交うグローバル社会に対応するにはまだハードルがありそうです。残された相続人が他国の資産を気付くのか、言葉の壁を乗り超えて実際の手続きができるのか、という点まで踏まえると、海外に口座や実物資産を持つというのも未だハードルと言えます。

結論、iDeCoは外国籍の人には、日本人と同じようには勧められないとなります。

反対に、枠がかなり大きくなった新NISAは、外国籍の新入社員にも積極的に使ってもらえればなと思いました。

いずれにしても、若いうちに資産運用を経験してもらいたというのが僕の願いです

今日は以上です。これからも、皆さんのトウシのトビラを少しづつ開いけるよう、記事を書いていきます!

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