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芸風

面食った。
格好が良すぎて平衡感覚を失うほどに。

今の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな

どこかの街で
また出逢えたら
僕の名前を
覚えていますか?
その頃にはきっと
春風が吹くだろう

イヤホンから耳に届く衝撃。
KingGnuだ。

井口さんの高音は素晴らしい。サビは圧巻だ。
が、僕は常田さんのBメロが好きだ。
珠玉な漫才と構造が似ている。
加速するんだ。
アクセルを思いっきり踏み付けて、
一気に客ごと飛び立たたせるあの感覚。
他がサビに使う真意をBメロにする。

そして凄まじき自問自答。
「お前、本当にこれでいいと思ってんの?」
と自分に意を唱え続ける。心酔した。

探している。他人が求める僕を。

「ベクトルを合わせる」と表現する他人がいる。
天才の合わせ方だ。
出川さんは出川さんであることで、
出川さんになれている。
他人のイメージ通りの自分を表現できる。
天才だ。僕にはできない。

僕が見つけたのは、自分の原液だった。
発表作よりも作者はもっと濃い。
だから強烈な作品を描ける方はパンクだ。

この原液を少しずつ薄めていく。
まだしょっぱいかもしれないけど、
おいしいと言ってくれたらやっぱり嬉しい。
KingGnuにもそれを感じた。

が、僕はこんなに格好良く描けない。
生まれ持った気質だろう。
僕には他人を突き放すまでのカリスマ性はない。

僕にあるのはなんだろう。
ちょっぴり切なかったり、
ちょっぴりほんわかしたり、
ちょっぴり自分の周りを考えさせたり、
革新的なことは言えないけど、核心的事を言ったり、
こっちから観るのも綺麗だよ?とスネの古傷を眺めるような湿った気質なのかな。と解釈するようになった。

だから「白日」というタイトルは鮮烈だった。
僕は大概、長文を夜書く。
闇夜に言葉を遠くに放り投げる。
当たる心配がないから。

こんな真っ黒な歌詞なのに。
書いた常田さんはMVで真っ黒な服を着てるのに。
タイトルは真っ白だった。

逃げてない。こっちがうんざりするよ。

緻密で繊細なのにパンチあるなんて嫉妬する。
そして、僕はまた夜な夜な書くんだ。
うんざりする。と。

いつか芸風になるように、
今日思いっきり遠くに投げてみよう。
当たっちゃったらごめんなさい。

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