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都内大学院のしゅーしかていの学生。国文学研究室のかたすみにいます。 明治時代の小説を…

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都内大学院のしゅーしかていの学生。国文学研究室のかたすみにいます。 明治時代の小説を研究していますが、現代のドラマ・漫画・小説もだいすきです。感想を書き散らします。 (新しくつくりかえました!)

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  • 【オリジナル現代語訳】『虫めづる姫君』

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院生生活を無駄にするな。

今年の4月からの修士課程1年生としての生活も、セメスターで見れば4分の1が過ぎた。 わたしは学部と大学院で別の学校に進学しているので、気持ちは大学1年生である。新しい授業、新しい先生、新しい先輩・同期…。 それらに慣れるのに苦戦しながらも、ずっと憧れていた”大学院”での生活ををかみしめていた。 これが日本最高学府か。 これが大学院というものか…! 日々の全てが新しく、刺激的であった。 そんなわたしの大学院ライフを、阻むやつがいた。 ”””就活”””というビッグイベント

    • 相手のなかに”自分”を残したい、という生存欲求ー『うみべの女の子』観賞記録

      セックスはつねづね自己本位な行為だな、とうんざりすることがある。 100%相手のため、とにかく献身的な行為なんてものは、存在しないと思う。 行為に及ぶ前も、最中も、とにかく自分の汚い欲望を、相手にさらけださなければならない。自分の快のために、相手をコントロールすることさえあるかもしれない。 浅野いにおの漫画が原作の『うみべの女の子』は、中学生の男女が性交渉に及ぶ場面が何度も登場するけれど、彼らの行為はまさに、自己中な欲望のぶつかり合いだった。 簡単なあらすじ この映画

      • 虫めづる姫君(5)

         虫めづる姫君のいつもとは違う一面に、思わず見入ってしまう女房たち。あの奇妙な虫めづる姫君が、まるで美しく可憐な蝶めづる姫君のようにふるまうのですから、女房たちは、おかしくて仕方ありませんでした。  ついにはこらえきれなくなって、虫めづる姫君のいる部屋を飛び出し、姫君のいないところで、みんなで笑い転げました。  「ねえ、何あの様子!全く別人になったかと思ったわ」  「びっくりした!あんなに驚いてしまって、うちの虫めづる姫君も、あんなに女らしい一面があるなんて!」  のちに、

        • 虫めづる姫君(4)

          (三)  奇妙な趣味を持つ虫めづる姫君のうわさは、だんだんと世の中に広まって行きました。噂する人のほとんどは、姫君のことを悪く言う人ばかりでした。  しかしそんな中に、ある高貴な御曹司で、虫めづる姫君を怖がらない者がいました。 「まったく、おもしろい女性がいるものだ」といって、 彼が身に着けているすばらしい帯の端っこを、たいへん上手に蛇の形に似せて、蛇の体のように動く仕掛けをし、うろこ模様の紙袋の中へ入れました。姫君宛てのお手紙も、一緒に結びつけています。 はふはふも君が

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        院生生活を無駄にするな。

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        • 【オリジナル現代語訳】『虫めづる姫君』
          5本

        記事

          虫めづる姫君(3)

          二の巻 (二)  この親子の会話を、こっそり聞いていた人物がいました。  虫めづる姫君にお仕えしている、若い女房たちです。 「たいそうかしこそうなことをおっしゃっているようですが、 毛虫を見せつけられるわたしたちは、頭がおかしくなりそうだわ!」 「まったく、蝶めづる姫君にお仕えする女房は、どんなに幸せなのかしら…羨ましい」 「そういえば、虫めづる姫君の眉毛って、毛虫にそっくりね!」 「あなたたち、何を言っているのですか!!!」  若い女房が楽しげに話しているところに、突

          虫めづる姫君(3)

          「虫めづる姫君」(2)

           虫めづる姫君の不思議なところは、それだけではありませんでした。 「人というものは、何かを取りつくろってはいけません。 何も手入れせず、自然に任せるのがいちばんすばらしいのです」 そう言って、姫君はありとあらゆるお化粧をしませんでした。 眉毛のお手入れはせず、ぼーぼーのまま。 また、当時のおひめさまは、歯を真っ黒に塗る風習があったのですが、 「あんなものみっともないし、汚いわ」 そういって、まっ白な歯を見せて微笑みながら、一日じゅう、おぞましい虫たちを可愛がっているのでし

          「虫めづる姫君」(2)

          あたしたちが無敵だった時代ー映画「わたしたちのハアハア」感想

          ここじゃないどこかに行きたい。 つまらない学校も、生活も、つまらないわたし自身さえも変えちゃいたい。 Amazonの映画概要 福岡県北九州市に住むチエ(真山朔)たち女子高生4人組はクリープハイプの大ファン。地元ライブの出待ちで「東京のライブにもぜひ来てください」と言われ、東京行きを決意した4人は、高校最後の夏休みに1000キロも離れた東京を目指す。 クリープハイプのライブに行くため、彼女たちはまずは自転車で(!)東京へ向かう。 次第に、東京に自転車で向かうのは無理があ

          あたしたちが無敵だった時代ー映画「わたしたちのハアハア」感想

          「虫めづる姫君」(1)

          このお話は、1000年ほど前に書かれた「虫めづる姫君」という日本古典文学作品を、KOJINオリジナルで「抄訳」したものです。 当時のおひめさまは、桜や蝶を愛することが、美しい女性としての「マナー」とされていました。 けれど、そんな考え方に正面からNOを突き付けた、少し変わり者のおひめさまがいたのでしたーー。 むかしむかし、美しい姫君がおりました。 その美しい姫ぎみは、蝶をたいへん愛していたので、「蝶めづる姫君」と呼ばれていました。その美しい見た目と、かわいらしい趣味から、た

          「虫めづる姫君」(1)

          ボロクソ言われてる「竜そば」だけど、そんなに駄作ですか?ー「竜とそばかすの姫」擁護派の感想

          結局、自分を縛っているのって、 過去の出来事とかではなくて”自分自身”だよねめっちゃアドラー心理学みたいな小見出しを付けてしまいましたが、 以下は「竜そば」(※竜とそばかすの姫)の要約です。 主人公である、ふつうの女子高生「鈴」は、小さい頃から母と一緒に楽しんでいた”歌”が大好き。 けれど、事故で母親を失ってしまい、その傷から歌えなくなってしまう。 「どうせわたしなんか…」と内向的で、「キラキラ系」になってしまった幼なじみとは、上手く話せない。 けれど、「U」というバーチ

          ボロクソ言われてる「竜そば」だけど、そんなに駄作ですか?ー「竜とそばかすの姫」擁護派の感想