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「住宅ローンで不動産投資」の顛末

長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を投資用マンションの購入で利用した投資家に、融資金額の全額一括返済を要求

一昨年、住宅ローンを使った不動産投資が問題となりましたが、「不動産投資に住宅ローンは使ってはいけないの?」と驚いた人もいたのではないでしょうか。
問題になった通り、住宅ローンを使って不動産投資をすることはNGであり、問題となった事案は「悪用」の事実が判明したから、全額返還を求めた、ということでした。
つまり最も問題視されたのが、「自分で住みます!」といって融資を受けたこと。金融機関を騙してお金を借りたことが、一番悪かったわけです。「不動産投資をします」といえば、金融機関は「この商品は不動産投資は対象ではなく、あちらの商品が対象となります」といえたわけですから。
このように金融機関から融資を受けるときには「資金使途」を必ず尋ねられ、それをもとに審査が行われますから、絶対に偽ってはいけないわけです。
会社員の副業としても注目されている不動産投資ですが、その際に利用するのは住宅ローンではなく不動産投資ローン。一般的に住宅ローンよりも高い金利が適用されています。
また住宅ローン同様に、大きく2種類。金利が変動する「変動金利」と金利が変わらない「固定金利」があります。さらに変動金利には、情勢によって金利が変わる「金利変動型」と、一定期間で見直しが入り、次の見直しまでその金利が適用となる「固定金利期間選択型」の2種類があります。
不動産投資ローンの金利は金融機関のタイプでも大きく異なります。
都市銀行の金利は最も安く魅力的ですが、審査は厳しく、最低投資額も高く、不動産投資初心者にとってはかなりハードルが高いといえます。
地方銀行は、大手銀行ほどでないにしろ、金利が安い傾向にあり、融資も付きやすいところも多いようです。
そして、預金取扱金融機関ではない金融会社である、いわゆるノンバンクや信託銀行は、金利は高い傾向にありますが、その分、融資は付きやすく、なかにはフルローンを組めるところもあります。

不動産投資ローン…過去10年の金利推移をみていくと

具体的に金利等についてみていきましょう。
都市銀行の場合、10年固定金利は3%前半。変動金利は1~2%前半。借入期間は木造であれば22年、RCなら35年というのが相場です。融資限度額は物件の担保評価次第ですが、物件価格の5~6割程度の金融資産を持っていることが条件とされるなど、審査基準は「とても厳しい」といえます。
地方銀行の場合、10年固定金利は2~3%前半。変動金利は2~4%程度。固定金利の取扱いのない銀行も多くあります。借入期間は最長35年、融資限度額は1億~5億、なかには上限なしというところも。支店のないエリアに住んでいる人は融資が受けられない、という場合もあります。
信託銀行の場合、10年固定のないところが多く、変動金利は3~5%程度。融資期間は最長35年程度で、融資限度額は1~5億というところが多いようです。
それぞれの金融機関のサイト上でも情報が見当たらないことが多いので、詳しくはそれぞれ問い合わせる必要があります。
住宅金融支援機構の賃貸住宅融資(省エネ賃貸住宅建設融資・サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資・まちづくり融資)の10年間の金利推移をみていくと、2016年のマイナス金利政策によって、ローン金利は低水準で推移しています。一方で、最近は若干、上昇基調にあるといわれ、今後、さらなる引き上げがあるかもしれません。


【不動産投資ローンの金利推移】

2013年2月/2.68%(3.69%)/1.67%(2.68%)
2014年 2月/2.28%(3.29%)/1.28%(2.29%)
2015年 2月/1.54%(2.25%)/0.90%(1.61%)
2016年 2月/1.64%(2.05%)/0.96%(1.37%)
2017年 2月/1.48%(1.85%)/0.86%(1.23%)
2018年 2月/1.47%(1.81%)/0.89%(1.23%)
2019年 2月/1.50%(1.79%)/0.89%(1.18%)
2020年 2月/1.52%(1.81%)/0.97%(1.26%)
2021年2月/1.61%(2.15%)/1.00%(1.61%)
2022年 2月/1.57%(2.31%)/1.07%(1.81%)
出所:住宅金融支援機構、賃貸住宅融資金利『参考金利の推移表』より
※数値左:繰上返済制限制度有35年固定、数値右:繰上返済制限制度無35年固定の金利
※(かっこ)内サービス付き高齢者向け賃貸住宅融資(施設共用型)の金利
変動金利を選択している場合、今後、金利が上昇することを見据えてシミュレーションをしておいたほうがいいかもしれません。金利動向によっては、ローンの借り換えもひとつの手です。

出典:サラリーマン大家「住宅ローンで不動産投資」の厳し過ぎる顛末

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写真:寒ーい朝

自分が住むことを前提に住宅ローンを借りて実際に住んでいなければ返済を求められても仕方がありませんね。寒ーいお話でした。

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