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記憶のカケラ

突然思い立ったので、追記型コンテンツをやってみようとおもいます。
『記憶のカケラ』ということで、ただ単に過去のエピソードをほぼ日(ほぼ毎日)で載っけていきます。短いです。過去から今まで入りまじります。
とりあえず8月やってみよう。誰も買ってくれなくてもやってみる。なぜならわたしが思い出してみたいから。
※日にちはNY時間です。

目/次

※8/31が最終回です
8/31「Iの鼻からは鼻毛が出ている」
8/30「ミニトマトのふた葉」
8/29「ダブルブッキングへの怒り」
8/28「子どもは試練が好き?」
8/27「爆チュー問題の恐怖」
8/26「Tさんとの交換日記より」
8/25「三か月の定期買いました」
8/24「ベギラゴンからのベホマズン」
8/23「社長とAさんとわたし」
8/22「幼い頃の忘れられない夢」
8/21「歯ぎしりと毛玉」
8/20「ねむいときにふさわしい」
8/19「大人サンタクロースの贈り物」
8/18「体育祭、ひどいやつ」
8/17「ぼちぼちってなんだ」
8/16「プロポーズへの反応」
8/15「自転車にまつわるエトセトラ」
8/14「子どものお仕事」
8/13「新婦父挨拶で物語るを知る」
8/12「Yくんの悩み事」
8/11「電車にて、ある親子の会話」
8/10「森川君2号の悲劇」
8/9「非通知電話と友だち」
8/8「Aさんと夢のはなし」
8/7「じいちゃんの指」

最新の1コだけ、どなたでも読めます。ではでは、どうぞ。

8/31 25コめ「Iの鼻からは鼻毛が出ている」

小学校5年ぐらいの話。
クラスにIという男子がいたのだが、嫌味っぽく鼻で笑うのがクセで、「バカじゃねーの?」とすぐ上から見てくるやつだった。
Fと「本当あいつむかつくわー!」と文句を言ってる時に「でもさ、Iっていつも鼻毛出てるよね」と突然Fが言い出した。わたしは気づいているのは自分だけだと思っていたので、それが共有できて嬉しくおもった。
そして、ある日、何が起こったんだか肝心の部分は忘れてしまったのだが、Iに怒り心頭したわたしたちは、何かにこのむしゃくしゃをぶちまけたくなった。そこでなぜか、教室の後ろに置いてある「落とし物箱」が目に入った。箱の中に持ち主不明の鉛筆やら消しゴムやらが入っているやつだ。
わたしたちはその落とし物箱の横側に、気づかれぬようにとても小さく薄く鉛筆で『Iの鼻からは鼻毛が出ている』と書いた。王様の耳はロバの耳気分で。それ以降そのことは完全に頭から消し去られていた。
そんなある日。クラスの男子がその文字を発見してしまった。そして、そのことを笑いながらIに伝えた。Iは顔どころか耳まで真っ赤にして「誰だよ!ぜってーぶっ殺す!!!!」と怒り狂い、クラスの一人ひとりに「お前か?」「お前か?」と聞きまわり始めた。
怒りにたぎった目でひとりひとりの心を読むように、まっすぐ見る。
心臓が早鐘のように打ち始めた。まずい、殺される。Fをちらりと見ると、Fも、やばい、という顔をしてこちらを見る。
あの目で見られたら、絶対ばれる。どうしたら、どうすれば!
何も思い浮かばないまま、順番が回ってきた。殺される。
Iの目がわたしを覗きこむ。「お前か?」
「…いや、やってないよ」わたしは戸惑いを浮かべた表情で口にした。
Iはあっさり「そうか」と言って、次に行った。Fも「やってないってば」と言った。
結局真相は闇に葬りさられた。(わたしたちの手によって)
本人に知られ、悪いことをしてしまったという思いもあった。だが何よりも、あの、あっさりと、するりと、嘘(しかも演技付)が出てきてしまった感覚が忘れられない。自分こわい。

★★だいたい1か月お付き合い頂きありがとうございました!★★
8/31を迎えたので、とりあえずこれを最終回にしたいと思います。(もう日本では9/1ですが)
いい話っぽくないのにしようと思ったら、後味最悪わたし最低な話を選んでしまったかもしれません…本気で…。嫌いにならないでいてもらえたら嬉しく思います。
購入いただいた方も、たまに覗いていただいた方も、コメントくれた方も、スキくれた方も、ふーんと思いつつ見てくれた方も、ありがとうございました。継続が苦手な私がここまで続けられたのは、見てくれる方がいたからなので感謝感謝です。ではでは、また別コンテンツで!<雪町子>

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