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NaCl 塩の産業的役割

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産業的役割の塩

日本は世界でも有数の工業力をもっており、600万トンもの塩はソーダ工業用として利用されています。

基礎原料として(Naが主役のソーダ工業)

塩は、さまざまな産業の基礎原料として役立っています。輸入された塩の多くは、ソーダ工業の分野で使用されており、輸入された天日塩がほとんどです。

ソーダ工業には、
苛性ソーダ(水酸化ナトリウム:NaOH)
ソーダ灰(炭酸ナトリウム:Na2CO3)
の2種類があります。
苛性(かせい)ソーダは、
一般的には工業用の塩水を電気分解する「電解ソーダ法」にてつくられますが、ほかにも炭酸ガスを反応させてつくる「アンモニア・ソーダ法」があります。
化学的処理の基礎的素材として使われ、合成洗剤や石けん、パルプの溶解や漂白など、幅広い生活用品が苛性ソーダからつくられています。単体の苛性ソーダは強アルカリ性で劇物なので、取り扱いについては十分に注意しなければなりません。

ソーダ灰とは、塩をもとにつくられる炭酸ナトリウムのことです。炭酸ソーダとも呼ばれます。苛性ソーダよりも比較的アルカリ度や反応性がゆるやかであり、使い分けされています。
ソーダ灰は半分以上が板ガラスや窓、鏡、眼鏡など、ガラスの製造原料として使用されケイ砂や石灰石と同様にガラスの主原料となっています。
ソーダ灰からは中間製品も含め、皮革、顔料、めっき、液晶表示版、光学レンズ、ガラス食器などにも使われるため、様々な産業活動と幅広く結びついているといえます。

一般工業用として(Clが主役の塩)

一般工業用としても塩は使われています。
塩に含まれる塩素(Cl)から塩化亜鉛(ZnCl2)をつくり、めっきや乾電池をつくったり、塩化メチル(CH3Cl)からシリコーンをつくり出して電気機器などをつくったりします。
合成塩化ゴムからは自動車部品や防音材、インキをつくることができます。トルエンの塩化物からは石鹸洗剤、農薬品、塗料・香料などを、次亜塩素酸ソーダからは石鹸や洗剤をつくることができます。


用途別でみる塩

家畜の飼料など

人だけではなく、動物も塩を欲しがります。
哺乳類は血液や細胞の中に多くの塩を蓄えて生きています。
例えば、牧場にいる牛は牧草を主に食べます。牧草にはカリウム(K)が多く含まれていて、体内のナトリウム(Na)を排出しやすい体質をしています。さらに乳牛は、牛乳の中に多くのナトリウムを排出するため、体の中の塩がどんどん外へ出てしまいます。
塩が欠乏すると、塩分をとろうとして石やほかの牛の汗を舐め、やがて餌を食べなくなってしまいます。こうした塩欠乏を防ぐために、牧場の片隅には「圧縮成形した塩の塊」が置かれています。
馬や羊、ヤギ、豚、鶏などの家畜も同様に、適度な塩を与えることで、生産性を維持できます。

道路の凍結防止

寒い地域では、日中に雪が解け夜に再び気温が下がることで、道路が凍結することがあります。車がスリップしないよう凍結防止剤がまかれることがありますが、その正体は実は塩です。(塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが代表的なものとされる)
通常、水は0℃で凍ります。しかし、水に塩を混ぜると水が凍る温度(氷点、凝固点)が低くなります。=氷点降下
塩水の濃度が高くなればなるほど氷点が低くなっていきます。限界量の塩を溶かしきった水の場合は、マイナス21.3℃まで凍りません。(NaClの場合)
塩を散布することで、夜に気温が下がっても、道が凍りにくくなるのです。ちなみにこの氷点降下、CaCl2はマイナス20℃近くMgCl2はマイナス50℃近くになるそうです。
また、このような融雪剤は、水に溶けるときの発熱によって雪を溶かしています。=溶解熱
塩化カルシウムは急速な発熱効果がありますが、持続力は塩化マグネシウムや塩化ナトリウムが高かったりと、それぞれの特徴を生かして使用されています。

他にもいろいろ

塩は奥深いですね。
次回は、「学校でふれる塩」あたりを説明していければと思います。
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