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精神保健福祉士レポート

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ひきこもりの心理と心理支援

私は臨床心理士としてひきこもりのご家族の支援をしています。 「ひきこもり支援は社会福祉士、ソーシャルワーカーさんの範疇ではないんだろうか?」と感じたのが1年半前。 今は違います。 ひきこもり支援こそ、『こころ』を整える心理士と『環境』を整えるソーシャルワーカーは車の両輪。 どちらも揃うことで、車は前へと進んでいく。そう感じています。 はじめてひきこもりのご家族に出会ったのは、今からもう15年近く前。 当時、市役所の「こども・家庭」を担う部署で相談員をしていた私。 窓口に現

生活支援システムのこと。

精神に障害のある方が、地域で満足した生活ができるにはどんな援助の仕組みがあれば良いのかから考えてみる。 こう言って考えると、マイノリティとしての障害ある人とマジョリティであるそれ以外の人、支援者とクライエントなどなど、無意識にカテゴライズしていることが良く分かる。そんなことを少し頭の片隅に入れながら考えていきたいと思う。 地域で暮らすために必要なこととしては 精神障害者が地域で豊かに暮らすための支援システムは、障害の有無にかかわらず、地域生活を送る上で必要な衣食住が重要と

「生活のしづらさ」と「ごくあたりまえの生活」

考えていることの「言語化」備忘録です。 (1)「生活のしづらさ」とは 「生活のしづらさ」は、谷中輝雄(やどかりの里)での実践から精神障害に対して用いた用語である。  精神障害を説明する際には、病気の症状や障害による能力の問題ではなく、社会との接点において生じる困難に着目し、障害のある人たちの立場に立って表した。  弱点をもちつつも、破綻をきたさないで済むような支援を検討し、生活の主体者として本人が決定を下せるように配慮することなどが述べられている。  調理や買い物など衣