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江角悠子さん「好きなことをすることは自分を認めてあげること」/好きなことを仕事にする人へのインタビュー

さまざまなウェブメディアを執筆し、複数のライター講座を開講している、ライター・エッセイストの江角悠子さん。日々配信されるメルマガや開講している講座からは「好きだった”書くこと”で幸せになっている」という気持ちが伝わってきます。

そんな江角さんに、好きなことを仕事にするまでに不安やつまづくことはなかったのか、好きなことを仕事にした今「好きなこと」をどう思っているのか伺ってみました。


~プロフィール~
江角 悠子(えずみ ゆうこ)
京都在住 エッセイスト・ライター/ときどき大学講師
1976年10月30日 生まれ。妙心寺派仁照寺の長女として誕生。2児の母。
2006年からフリーライターとして活動をスタート。
さまざまなウェブメディアや『anan』『婦人画報』などの人気雑誌で執筆。また、同志社女子大学で非常勤講師として編集技術を教える他、ライター同士が繋がるオンラインサロンの運営や「京都ライター塾」などのライター講座を開講。

江角さんのInstagram・Blogより要約


「やっぱり文章を書きたい」

2020年から平日は毎日配信されてるというメルマガ。「書いて幸せになる」をゴールに掲げるライター塾など、書くことを軸に、「書くことは生活を豊かにする」を大切にしていることが伝わってくる江角さんの活動。

書くことが本当に好きで、ずっとライターひと筋で来た人なのだろうという印象がありましたが、実はここにたどり着くまでに紆余曲折の経歴がありました。

「大学卒業後は一般企業に就職しました。当時は就職超氷河期時代で、マスコミ関係は大人気で激戦する業界です。自分には才能はないし、書く力もないし、絶対無理だと思ったので、最初から挑戦すらしませんでした」

現在、ライター・講師として活躍する江角さんから「才能も書く力もない」とは信じられない言葉です。

しかし、最初の就職で事務職が自分には合わないことを感じて2年半後、出版社に転職をします。
この転職の時には、自信はあったのでしょうか。

「大学の社会人講座を受講していましたが、実力をつけるものではありませんでした。なので、自信がないのは変わらずでしたが、『やりたい』という気持ちだけで飛び込んでみたんです」

「書く世界」へ背中を押してくれたのは「自信」よりも、幼少期から本が好きだという「好きな気持ち」

転職先でインタビュー原稿とコラムを書いていた江角さんですが、「書くこと」以外に楽しいと感じることがあったそう。

「コラムは自分の好きなテーマで書かせてもらい、レイアウトも自分でしていました。その作業をするうち、デザインが楽しいと思い、次は広告代理店にデザイナーとして転職しました。書くことから一旦離れたんです」

「楽しい」「やってみたい」の気持ちを大事にしてきた江角さん。コピーライター兼デザイナーを2年半経験するなかで「文章を書く」ことへの想いが再び湧いてきます。

「コラムほどのボリュームはないものの、キャッチコピーなど、短い文章を考えることがありました。書くこととデザインをすること、その両方をやってみて『やっぱり私は文章を書きたい』と思ったんです」

改めて「文章を書く仕事」をするにあたり、文章を書ける会社に転職するか、フリーランスになるかを考えた江角さん。転職することを選びますが、労働環境が合わず、入社から4日で退職します。

ありたい私/ライターになってから

”ライターのお悩み相談室” これが今の”ライター塾”になる。

再度転職活動とフリーランス活動を同時平行していましたが、フリーランス一本で進む決意を固めます。

働き方も収入も、大きく変わり「無理かもしれない……」と思うことはあっても、「大好きな京都に住み続けたい」「書きたい」という思いから、死に物狂いで仕事をしていきます。

しかし、結婚・出産を経験したことで自分の限界を知り、働き方を見直すことになったそう。

「そもそも、書く仕事は自分が出来る最大限のことをやっても、原稿料だけだと月30万円が限界だと思ったことがありました。加えて、もし自分が病気になったりして書けなくなったら収入は途絶えます。

子どもが生まれると、自分の時間が減って、同じようなやり方ではどうしても回らなくなりました。いよいよ違う働き方を考え始めた時、稼ぐ額が同じなら、原稿料だけでなくてもパートや会社員でもいいじゃないかと気づきました。選択肢が増え、気が楽になりました」

他の仕事も始めてしまうと「書くこと」の時間がさらにとれなくなりそうです。が、江角さんは、やりたいことも、守りたいものも、そのときできる最善の方法を考え、すべて選び取っていきます。

「週3日、会社員に戻った時がありましたが、書く時間が無くて大変でした。なので、カフェのバイトに変更し『シフトは週1回しか入れません』と言って書く時間を確保してました」

このカフェで働いたことで、江角さんの「書く仕事」が一変します。

「カフェで”ライターのお悩み相談室”を開くことになりました。今開講している”ライター塾”に繋がる教室です。書く仕事の報酬を”原稿料”だけではなく、”教えること”でも得られることを知るきっかけになりました」

フリーランスには、リスクは付きものです。江角さんは「フリーランスになったのは、若さからの勢い」と言いつつも、続けている理由は「初めて仕事が楽しいと思うようになったから」と話します。

「会社員の時、月曜日が来るのがいつも憂鬱だったんです。でもフリーランスとして仕事を始めてからは、月曜日が待ち遠しくなるほど楽しくなりました。やったことが全て自分に跳ね返ってくるので、良くも悪くもやりがいがあることを体験しました」

「良くも悪くもやりがいがある」は、先を考えすぎて、動きにくくなってしまうような気もします。ですが、江角さんにとっては「何度でも挑戦出来ることが魅力」だそう。

「うまくいったら全部収入に反映されて、ダメだったら返ってこない。だから失敗した次はこうしようと考える。それがある種、ゲームを攻略していく感覚があって楽しいんです」

プライベートではBTSにハマったことから、ダンス教室に通い始めた江角さん。お仕事の面で新しく挑戦したいことはあるのでしょうか。

「エッセイストの仕事を増やしたいと思っているので、商業ライターの仕事を減らして、エッセイを書く時間を増やすなどして、軸を移せるように挑戦しています。

仕事をはじめた時は自分の想いを乗せる原稿を書けませんでしたが、今は、もうちょっと自分の色を出した文書を書きたいと思うようになってきました。」


メッセージ

今でこそ働き方は多様な世の中になってきましたが、「好きだけでは食べていけない」という周囲からの言葉、あるいは自分自身から出る不安によって、新しいことへの挑戦は躊躇いがちです。

「ありたい私」を見続け、それに応えるように、自分がやりたいことを選択してきた江角さんは「好きの気持ち」について、こう話します。

「好きの気持ちを大事にして、行動することは自分を認めてあげてることに繋がって、自分をもっと好きになれると感じています。

『私にはまだ技術がない、下手だから、自信がないから』と躊躇する人は多いと思うんですけど、そうであったとしても、好きとか嫌いとかは誰にも何も文句を言わせたくないなぁと思っています。好きだからやるでいいと思います。やってみてダメなら諦めたらいいんですけど、やる前に諦めるのはもったいない。

そして、好きなことで収入を得ることは悪いことではありません。楽しく、かつ満足できる金額の収入を得る方法もあるということは伝えていきたいです」

インタビュー中、現在執筆してるお仕事について、江角さんが「クライアントさんから『江角さんが感じたことを江角さんの言葉で紹介してください』と言ってくださるお仕事があるんです」と話していました。

私が「いいですね。そういうふうに書いていきたいです」と、こぼすと、江角さんから「それを選んだらいいと思います」と言われました。

常に自身の心を見つめ、選びたいほうを選び取って、今がある。そんな江角さんが発する言葉だから説得力があり、納得できる言葉だと感じました。同時に、私のやりたいことを許可されたようにも受け取れ、それまで私の中にあった不安を一気に搔き消してくれました。

周囲と自分のしがらみを解き、自分の中にある勝手な思い込みもぬぐい去って、どこに進んでもいいんだよと、そっと背中を押してもらったような、歩きたいほうへと進む勇気をもらいきました。

関連情報

・発刊中のZINE:「わたしは、まじめちゃん」「文章を書いて、生きていきたい」https://writerezumi.stores.jp/items/6549b543674682002ae969e1

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