クリスマス・イブ。一年の中で、誰もが華やぐ日である。かく言う私も12月21日生まれであり、クリスマスケーキは同時にバースデーケーキになる。そんな楽しいひとときである。
　クリスマスイブの横浜を舞台にした新月9の「ONE DAY〜聖夜のから騒ぎ〜」は、そんなワクワクする一日に起きる物語だ。
　勝呂寺誠司（二宮和也）は、クルングル号記念公園で起きた殺人事件の容疑者にされたが、何故か記憶喪失になっていた。

　彼は組織の構成員であるらしいが、その経緯については明らかになっていない。何が彼に起きたのか？
話が進むにつれ、それが明らかになるだろう。
　立葵時生（大沢たかお）は、関内にある老舗レストラン「葵亭」のシェフ。臆病で弱気な彼は妻を亡くし、誰も愛さないと心に誓っていた。

　クリスマスディナーの準備に追われていた時生は、店の命綱であるデミグラスソースを守ってきたが、店に侵入した誠司と揉み合った際に鍋を倒し、全てをこぼしてしまう。彼はデミグラスソースなき状況で、店を守ることはできるだろうか？　それが気がかりではある。
　そして、ラストは地元テレビ局「横浜テレビ」の報道キャスター、倉内桔梗（中谷美紀）。理想の報道を追い求め、自ら企画した「日曜NEWS11」を5年間も務めてきたジャーナリストだ。

　しかし、銀行から出向してきた新社長によって番組が打ち切られるという危機に直面してしまう。それでも報道にこだわる桔梗は、大学時代の同級生である誠司が容疑者となった事件を追うこととなる。
　一見すると、それぞれが異なるが、やがて物語が一つにつながっていく。その鍵を握るのが佐藤浩市扮する白髪の謎の男、真礼である。その水先案内人である真礼がどう導くのか？　楽しみではある。