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このカメラを使わないと死ねないと思った.PENTAX K-1レビュー

 これまでメイン機として頑張ってくれたNikon D600を親友に売ってしまいました.本当にいいカメラだったのですが,ニコンの色はどこか写実的で,好みとは違っていたんですよね.あとからRAW現像すれば好きな色に近づけることもできるのですが,それでもベースにニコンの色は残ってしまいます.
 新メイン機の候補は様々ありました.これからの事を考えるとミラーレスが安牌ですよね.新しいZシリーズは今までのニコンより素直な描写らしい,Z5,Z6なら手が届くなあだとか.いやいやソニーはどうだ.いまならα7Riiが10万ちょい.α7Riiiでもちょっと頑張ったらどうにかなりそうだとか.キヤノンの色は嫌いではありませんから,RPにするという手もありましたね.
 しかしながら,私は違う判断をしました.安牌なんて取らなくていいじゃない.さあ,PENTAX K-1のレビューです.すべてK-1+smc FA 43mm F1.9での写真です.

背振
九州大学伊都キャンパスセンターゾーン

 私のフォトグラフィーはPENTAXのK10Dという老兵から始まりましたから,実は生粋のペンタキシアンなんです.しかしながら,D600を導入してからは,随分PENTAXからは離れてしまっていました.去年の春に買ったK-5と旧友のDA35limitedは手元に残っていたのですが,フルサイズの描写に慣れてしまうとどうもAPS-Cの一眼レフを使う気にはなれず.だってdp1QuattroとX100はコンパクトデジカメなのにAPS-Cセンサー搭載ですからね.一眼レフを持ち出すならフルサイズのD600を,APS-CでいいシチュエーションならX100やdp1を,というふうに棲み分けをしてしまって,K-5の出る幕がなくなってしまいました.

情報の森
九州大学伊都キャンパス理系図書館

 まともな神経をした2022年の人間であれば,そこそこの予算を持って”なにか新しいカメラを導入しよう”と意気込んだら,きっとEOS RPやα7Rii,Z5の中古を買ってくることでしょう.多分標準単焦点レンズをつけても15万で収まるはずです.誰がビリッケツメーカーの一眼レフ機なんて現代で買いますか?本当にペンタキシアンってとんだひねくれ者ですよね.

スプレー
九州大学伊都キャンパス南ゲート

 でも,幼少期に一緒にいてくれたペンタックスが好きなんです.たとえAFが遅くても,フルサイズミラーレスを一向に作らないような頑固なメーカーであっても,ペンタックスの色を見ると許せてしまいます.それほど私にとっては特別な存在なんです.記録をすべて思い出にするような濃い色合いはどこか懐かしさを感じました.
 伊都キャンパスには入り口が4つあるのですが,これは私の所属する農学部の近くである南ゲートです.伊都は広すぎて門らしい門がないんですよね…まるで駐車場の入り口のような雰囲気のゲートです.日本の昔からある大学らしくなく,少しさみしい.大学というのはある程度閉鎖されいたほうが,その枠内では俗世を離れて好きなことをやっていいということがわかりやすくていいと思うのですが.旧箱崎キャンパスや京大の吉田はそういう雰囲気がありますよね.東北大青葉山キャンパスや名大,阪大は開かれたイメージを受けました.主観ですがね.

日の丸
佐賀県唐津市 見帰りの滝

 今回はFA43mm F1.9 Limitedを使うことにしましたが,候補にはFA50mm F1.4,FA35mm F2,Sigma 50mm F1.4 EXがありました.FA50mmはめちゃくちゃ設計古いんですよね.SMC TAKUMARから基本的な設計は変わっていないんでしょう?もはや古典ですよ.FA35mmはそれに比べれば新しいレンズですが,それでもフィルム用の設計です.ただ,隠れスターレンズとして呼び声高いレンズ.こちらも使ってみたい.Sigma 50mm F1.4 EXは,シグマがあのArtレンズをまだこの世に出していなかった時期のフラッグシップレンズです.Artまでとは言いませんが,とっても写りはいいそうですね.

ツユ
九大伊都キャンパス

 しかし,選んだレンズはsmc FA43mm Limitedです.折角ペンタックスの本体を使うんですから,レンズもペンタックスの名玉をチョイスしました.FALimited3姉妹のなかでももっともお求めやすくかわいいやつですが,この小さな体からは想像できないような写りをします.D600につけていたTamron SP 45mm F1.8のような暴力的なシャープネスはありませんが,シュールなほどの立体感が得られます.これがLimitedの味というやつなのでしょうか.でもdp1QuattroとD600+Tamron SP45mmf1.8と比べてしまうと甘いかなあ.シャッキリ感ではなく,豊かなボケ味と立体感を楽しみながら写真を撮らなければなりません.
 やはりニコンのそれとは違う,瑞々しい色表現がペンタックスにはあると感じています.なんだろう,写実的な色を提供してくれるのはニコンの方です.ただ,心で記憶されている色を表現するとなると,ペンタックスが最適であろうと思うんです.きっと人間は自身の過去を美化する癖があるんです.美化された思い出の風景に近いのはペンタックスの絵のほうじゃないかなあ.  

分光
九州大学ウエスト5号館

 CCD機であるK10Dで育った身からすると,”ペンタックスは高感度に強い”と言われてもあまりピンと来ません.高感度に強くなったのってK-5からですからね.最近の話です.ただ,少なくともK-1は”高感度に強い”ですね.カラーノイズが驚くほどに少ない.ISO6400までなら常用できるかな.
 九大伊都キャンパスは美しい建造物が並ぶいいところですが,歴史が無いので時々さみしくなります.先人たちが残した学びの跡や遺物がほぼありませんからね.まるで研究施設です.東大の学生運動の跡や箱崎の歴史的建造物を見ると,少しだけジェラシーを抱きます.学生生活は快適なのですがね.

あかり
天神

 街には屋台が戻ってきていて,食事を楽しみながら道端で談笑する人々を見ることができます.私はまだ未成年なので行ったことないのですがね…一度は飛び込んでみたい.バイト終わりに屋台でご飯を食べて,電車で帰ってみたいです.
 ペンタックス独自のCTEというホワイトバランスを使用すると,色を”バランスの悪い方向に”補正することが出来ます.例えば黄色によっているこの屋台のショットを例にするなら,AWBモードならこの写真よりも青く写すはずです.しかしながら,CTEでは色の偏りを強調しますから,こんなに黄色く写っています.CTEはなかなか使いこなしが難しい機能ですね.まだイマイチ使いこなせていません.

ブラック研究室??
九州大学伊都キャンパスウエスト4号館

 一眼レフってのはいいですよね.ミラーとペンタプリズムによって反射された近傍の光を受け止めて,シャッターを切る.それだけで最高です.ミラーレスを使っている方の中にはファインダーで見た絵と実際に記録される絵が違うということに違和感を持つ人がいらっしゃるようですが,むしろそうだから一眼レフは面白いのだと感じています.想像通りの絵だけが得られるカメラよりも,びっくり箱みたいに,時々全く予想しなかった写真が得られるもののほうが私は飽きずに使うことができます.私はプロではなく趣味で写真をやっているのですから,それでいいんです.


警固神社

 JPEG撮って出しです.ボケ味が美しいね.
 K-1のAF性能は良いとは言えませんよね.ソニーのミラーレスユーザーが使ったら発狂しそう.正直D600に負けてます.明るい場所でのAF-Sであればニコンと大差ありませんが,暗所での安定性はD600が数段上です.動体への追尾でも完全に負けちゃってます.もしかしたらK-1 IIでは改善されているのかもしれませんが.
  D600って2012年発売のフルサイズ入門機なのに結構やるんですよね.同時期に発表されたEOS 6Dとは比べものにならんくらいAF性能高いし.ファインダーきれいやし.ダスト問題も膿を出し切ったところでしたから,できればのこしておきたかった…

連続
警固神社

 撮って出しです.うーん,この濃い色だけでペンタックスを使う意味があるな.私が撮って出しで満足できるのは富士とペンタックスだけですね.シグマのJPEGは使えたもんじゃありませんが,Foveonは編集が面白いから許せます.ソニーとニコンは今のところ撮って出しの絵が愛せません…もしかしたら最近の写りはいいのかもしれないけど,少なくともRX1とD600のJPEGは生理的に無理でした.ミノルタの色は好きなのになあ.α900とか使おうかな.

うまく撮れてる?
九州大学伊都キャンパスイーストゾーン

 写真部の活動のときに撮った写真.最近いろんなサークルが忙しくなってきて,やっと大学生らしくなってきたしています.楽しい!
 写真部のサイトの方にも私の写真が採用されているので,ぜひチェックしてください.https://qupc.jp

孤独
警固公園

 メイン機がK-1とdp1 Quattroで,サブがX100とEOS M3という布陣になりました.みんないい子ですよ,それぞれ個性があって,変えの効かない存在です.K-1には単焦点レンズ+一眼レフという私の考える写真の本流を楽しませてくれるカメラにしたいですし,dp1はFoveonという唯一無二のセンサーを持つ癖のある子です.X100はどんな風景も楽しそうに見せるカメラ.EOS M3は望遠用です.これからシステムを拡張するならEF-MマウントをRFマウントに変えるくらいでしょうか.ペンタックスのズームレンズはあまりそそりませんし,ミラーレスも試してみたいですよね.ペンタックスのレンズを作ってくれなくなったシグマやタムロンも
そろそろRFマウントに参入するころでしょう? でも,確かソニーのEマウントには,AFもAEも使えるKマウントのアダプターがあるんだよな.ありゃすごい.やっぱりソニーを使わないとカメラ放浪記は終われないのか.あっ,フルサイズFoveonがでたらLマウントになるかも.

ちょっと怖い
ベスト電器福岡本店

 福岡は博多と天神という2つの都心があるのですが,博多にはヨドバシカメラが,天神にはビックカメラがあります.その影に隠れているのが,天神
の東にあるベスト電器です.明らかにビックカメラやヨドバシカメラに比べると活気がない.売り場は大きいんですがね.でもベスト電器の上層階にはメロンブックスやらしんばんがあるし,最近はツクモも出来ましたから.また行ってみないと.
 こういう室内で気になるのはシャッター音ですが,ニコンのカメラに比べると小さいかな.噂によると森の中で使っても動物に逃げられないようにするためだとか.それでいうと電子シャッターのZ9が最強なのですがね.でも,やっぱりシャッター音はしっかり鳴らないとダメですよ.撮ってる感じがしない.バイクのマフラーを変えるのって,出力をあげるためというより,音を楽しむためなんですよ.あのスピードと共に唸る排気音を楽しむわけです.シャッター音はあれに似ています.よく考えたら実用上は全く必要ないんだけど,ただ気分が上がるから必要.

パウダーブルー
福岡天神

  シグマのカメラのカラーモードに”パウダーブルー”というものがあって,すごいいいんです.でも私のメイン機であるdp1Quattroには搭載されていない… しかたないので,”嘘パウダーブルー”というプリセットをLightroomに作って,一人楽しんでいます.シグマのレンズは寒色に寄った写りになるから,パウダーブルーはピッタリですよね.でも,ペンタックスの色を出すにはペンタックスのレンズしか無いと思ってしまうのがペンタキシアンの性ですね.


佐賀県唐津市 見帰りの滝

 滝を撮りにいったのに三脚を忘れてしまって,スローシャッターなのにも関わらず手持ちで撮影しました.手ブレ補正の効きは相当よくて,1/8くらいのシャッタースピードなら,気合を入れれば止まりますね.1/4になると相当頑張れば止まるかな…といった感じ.すごい.K10Dから相当進化しています.

紫は一番位の高い色
佐賀県唐津市 見帰りの滝

 この写真を見たときにめちゃくちゃ興奮しました.そうそう,こういう写真を撮りたかったのよ.濃い色,浮かび上がってくるようなボケ味.ニコンでは得られなかったドキドキを久しぶりに味わいました.こいつは手放せないな.好きです
 


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