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亡霊を追ってしまう飲食店経営者

日々、飲食店を経営していくにあたって、毎日のように考えることは、お客様にどう喜んでいただくか、どうやってお客様に来ていただくかといった、お客様へのアプローチとその反応のことばかりだと思います。
これを考えていく上で、この「お客様」とは誰を指すものなのでしょうか?

  • 経営者自身が考える、もっとも来ていただきたいお客様なのか?

  • それとも今お店に一番来ている客層の顧客なのか?

  • はたまた大切な常連さんなのか?

ここが明確にならずブレたまま、この「お客様」という対象を設定してしまうと、何を追いまわしているのかわからなくなってしまい、いつまでたっても売上増大という結果に結びつきません。今回の記事は、追っていくべきお客様(売上)をしっかり捉えることができるようにするために、参考にしていただければと思います。

近年、流行りの「ペルソナ」とは?

お店の典型的なターゲットとなる顧客像のことです。ペルソナで定められる顧客像には、氏名や年齢、居住地、職業、年齢、価値観やライフスタイル、身体的特徴までのかなり細かい情報が盛り込まれます。

そして、店舗経営の施策を決定する際に、ペルソナは興味を持ってくれるか、喜んでくれるかと確認していくことになります。つまり、飲食店がペルソナを作成する目的は、顧客をより深く理解し、それに基づいた効果的なマーケティング戦略を立てることになり、顧客のニーズや好み、行動パターンなどを明確にし、それに合わせたサービスやプロモーションを展開することが可能となります。

ペルソナを作成する際には、以下のような情報や要素を考慮することが一般的になっています。

・デモグラフィック情報:
 年齢、性別、所得、居住地など、顧客の基本的な属性情報です。

・行動パターン:
 飲食の頻度、好む時間帯や場所、注文傾向など、顧客の行動に関する情報です。

・好みやニーズ:
 好む料理や飲み物の種類、特定の食事制限や好みの味、提供される体験やサービスの要素など、顧客の好みやニーズに関する情報です。

・ライフスタイルや関心事:
 趣味、興味関心、ライフスタイルの特徴など、顧客のライフスタイルや関心事に関する情報です。

・目標や価値観:
 飲食における目標や価値観、顧客が求める体験や価値に関する情報です。

これらの情報をもとに作成されたペルソナは、具体的な顧客像をイメージ化し、飲食店のマーケティング活動や広告、メニュー開発、店内デザイン、顧客対応などに活用されます。ペルソナを通じて、よりターゲットに合わせたマーケティング戦略を展開し、顧客の満足度や忠誠度を高めることが期待されます。

ペルソナの実例

【イタリアワインとドルチェの専門店が設定したペルソナ】

ペルソナ名: 田中太郎
年齢: 35歳、独身、同棲中
性別: 男性
仕事: プログラミングスクール講師
趣味: 旅行、食べ歩き、ワインに関する知識の深めること
来店する時間帯: 夜から深夜にかけて
好きな料理: イタリアン、特にシチリア料理やトスカーナ料理が好き
ワインの好み: 豊かな果実味が感じられる赤ワインを好む。
        また、白ワインでもフルーティーで爽やかなものを選ぶ。
特に注目しているワインの産地: ピエモンテ、トスカーナ、シチリア

特徴
田中太郎さんはワインと食べ物に対して深い関心を持ち、旅行や食べ歩きを通じて味の多様性を楽しむ人です。彼は基本的に夜から深夜にかけて来店する傾向があり、週末は朝方まで滞在することもあります。渡航経験もあり、イタリアン料理が好きで特にシチリア料理やトスカーナ料理に興味を持っています。ワインの好みは、フルーティーで豊かな果実味を感じられる赤ワインや爽やかな白ワインを選ぶ傾向があります。また、ピエモンテ、トスカーナ、シチリアのワインの産地に特に注目しています。彼は自然派や無農薬といったワードにも反応します。

このような具体的なペルソナを考えることで、イタリアワインとドルチェの専門店では、田中太郎さんのニーズに合ったワインやドルチェを揃え、角度の違った提供方法などを考えることができます。彼の好みや関心に合わせたメニュー開発やワインのセレクション、さらには店内の雰囲気やサービスも考慮することで、彼の満足度を高めることができ、それが顧客の増大につながっていくというのが筋書きです。

しかし、そもそもこんなペルソナのような人物は一人もいなかったというパターンは少なくありません。

亡霊となったペルソナ

飲食店でペルソナを設定する際に非常に重要なのは、しっかりとしたヒアリングや調査を行った上で裏付けを持ってペルソナを設定することです。調査が不十分、もしくはヒアリングがされていない状態でペルソナを設定すると、存在しない人物像をペルソナにまつりあげることになります。そして、その実在しない人物に対してお店全体で徹底的にアプローチするということになり、来客数はおろか売り上げも増えることはありません。

そこで調査やヒアリングは、どのように行っていくべきでしょうか? 
これは原始的は昔からの方法が一番適していて、一人ひとりのお客様と向き合い、しっかりと話を聞くことに限ります。
既にお店を経営されているのであれば、お客様がふとつぶやいた一言や、会話の中での料理の感想やお店の印象など、細かく掘り下げていくことが重要です。特に、なぜこのお店に来てくれたのか、それに対するお客様の回答には必要な情報がたくさん含まれています。これらをできるだけ多く聞き取り、細かく話を聞いてみることが重要です。

しかし、他人やお客様に対して話を詳しく聞くヒアリングは、非常に労力を必要とします。さらに、ヒアリングしたことに対して本音で答えてもらっているかどうかという疑念も残ります。

お客さんの建前とポーズに

ラーメン屋がアンケートを取り、ヘルシーなサイドメニューがあったらいいなという意見が圧倒的に多かったのでそれを尊重して、新メニューのサラダを出したが誰も頼まないというパターンは本当によくあることです。

ラーメン屋でサラダを食べて少しでも健康にと本音で思う人は存在せず、ある程度の覚悟思ってラーメン屋に来たんだから、サラダなんて家で食べるよというのが本音です。

やはり本音に行き着くのはなかなか難しく、なぜこの店に来てくれたのか、どこが気に入ってくれたのか、何に興味を持ってくれているのか、というヒアリングは一人の信頼関係のあるお客様の深層心理を徹底的に洗い出していくことの方が非常に有効だと考えられます。常連さんとゆったりと時間を取り、いろんな話をしてみることは非常に重要な作業になるでしょう。

自分の思考プロセスを掘り下げる

そして、特にこれから飲食店を新規開業しようと考えている方は、自分自身の深層心理を徹底的に掘り下げていくことが、もっともリアルなペルソナを作り上げることになると思います。能力に個人差はあると思いますが、お客さんからのヒアリングの場合、本音で答えてくれているかという疑念が残るという点は、自分自身だと皆無になるはずです。自身がお店を開業する前には、必ず一度は徹底的に、なぜこのお店を自分はやりたいのか、なぜこの料理を出したいのかを解析してみることが大切だと思います。

僕がメキシコ料理屋を開業した時の思考プロセス
海外で食べるメキシコ料理うまいな。
日本のメキシコ料理屋、美味しいお店がないな。
調べたら冷凍食品か缶詰ばっかりなんだな。
なんでどの店もテキーラショットを勧めるんだよ。
ゆっくり食事したいのにうるさいメキシコ料理ばっかりだな。
少人数で食事するのが好きだな。
騒がしいの嫌いだな。
知らない人に酒を奢るの意味わからん。
多少寒くても暑くてもテラスが好きだな。
ちゃんと手作りのタコスが食べたいな。

こんな感じでお店のブランディングも固まり、売却後もまだ存続し、20年以上営業しています。

ポイントとしては、このように自分の好みを細かく上げていくと、より具体的なお店の方向性が出てくることと、人数の大小はさておき、必ずこの好みに激しく同意してくれる人がいます。この共感してくれる顧客が、あなたのお店のターゲットとなりペルソナにもなります。彼らはあなたの理念や料理に共感し、リピーターとなってくれることでしょう。そのためには、自分自身の思考プロセスを掘り下げ、深層心理を把握し、それに基づいた具体的なペルソナを作り上げることが重要です。

例えば、メキシコ料理店を開業する場合、あなたの思考プロセスに基づいたペルソナを作成し、そのニーズに合わせたメニューや雰囲気、サービスを提供することで、共感を得ることができます。具体的な好みやこだわりを持った顧客は、あなたのお店を選ぶ理由となり、お店の成功につながるでしょう。

ただし、ペルソナを作り上げる際には、客観的なデータやヒアリングも重要です。個人の好みや思考だけでなく、市場の需要やトレンドを踏まえ、幅広い視点で考えることも必要です。さらに、ペルソナは一つではなく、複数のターゲット層を考慮することも重要です。それぞれのペルソナに合わせた戦略を展開し、多様な顧客のニーズに応えることが成功への道です。

以上のように、自分自身の思考プロセスを掘り下げ、自分自身が代表となるような実在するペルソナを掲げることで、飲食店の成功につながるマーケティング戦略を展開することができます。

まとめ

ペルソナという言葉を最近耳にするようになり、 とても真新しく新しい手法のように聞こえるかもしれません。 しかし飲食店の集客の基本としてのお客様の反応を一つずつ確認し、自分のお店の戦略を再検討し策を講じて、また実行してみる。
この一連の流れは何も変わっていません。

今一度ペルソナの本質を改めて考え、ご自身のお店を検証し無駄な施策や見当違いな対策をしていないか確認してみるべきでしょう。

お店のコンセプトやペルソナの設定など見直す機会が訪れたときに客観的な意見はとても大事になってきます。しかし、従業員は本音を言えず、家族は主観が多く入り客観性という点では期待できないケースがほとんどです。
そんな時はぜひ一度ご相談ください。
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飲食業は最高に幸せなしごと。