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超短編小説『ナンセンス劇場』029

【ジャンヌ・ダルク】

 宇宙人の攻撃により地球連合軍は敗北寸前だった。

「我々ハ宇宙人ダ。
 地球人ヨ、無駄ナ抵抗ハ止メテ今スグ降伏セヨ」

「うるっさいわねー。
 今ドラマいいところだってゆーのに」

「ちょ、母ちゃんどこ行くんだよ」

「黙らせてくんだよ」

「黙らせるって、相手は宇宙人なんだぞ」

「宇宙人だろうがお化けだろうがドラマの邪魔をするヤツはこのあたしが黙っちゃいないよ!」

 玄関を出ていった母ちゃんが戻って来ることはなかった。
 でも俺は母ちゃんのことを誇りに思っている。
 明日、宇宙人討伐記念塔の前に母ちゃんの銅像が建てられる。


【天敵】

 百獣の王ライオンにも天敵がいた。
 それは101匹目の獣、ヒャラパンゴだ。
 体格こそライオンに劣るものの鋭い牙と爪を持ち、目から発するビームはこの世の全てを焼き尽くす。

 さらに百一獣の王ヒャラパンゴにも天敵がいた。
 102匹目の獣、ガロマギオンだ。
 その体長、推定30メートル。
 ヒャラパンゴが暴れ出した時、地中からその姿を現すという。


【曇りのち晴れ】

「お前ホント短足だよな」

「確かに短足だけど顔は・・・」

「顔もぶっさいくだよな」

「短足だし顔もブサイクだけど最終的にはやっぱりいくら金を持っているかが…」

「おまけに超貧乏。
 でも歌はうまいんだよなぁ」

「ラララララ~♪」


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