見出し画像

パリコレにはファッションの魅力が詰まってる

どうも、tpです。

2/27~3/7まで、パリコレというのが開催されていました。
きっと誰もが一度は耳にしたことはあるでしょう、パリコレ。
ファッションの流行を作っていく祭典、4大コレクションの1つ。

あれです。ぱっと見で意味不明なやつです。

ルック24 Image by courtesy of Balenciaga

これは2023AW(秋冬)のバレンシアガのルック(スタイリング)の1つ。意味不明ですね。
いくつかツッコミどころはあるかもしれないけど、特に肩が盛り上がっていて不自然な感じがします。

普通に外で歩いている人たちとは違って、ショーではこういう異質な格好ばかりを見せつけられます。

僕もファッションを好きになるまでは、こういう謎のスタイリングを見て「オシャレってなんなん…?」と思ってました。

パリコレはただのブランド新作お披露目会ではない

オシャレとは?というのはまた別の記事で書くとして。

パリコレがどんなもんか、というのは以下の説明の通りです。

パリコレクションは1年に2回フランスのパリで開催されるファッションブランドの新作を発表する場である。3月と10月にパリ・プレタポルテ・コレクションが開催され、1月と7月にパリ・オートクチュール・コレクションが開催されている。これらを併せてパリコレクションと呼ばれている。

たくさんのデザイナーたちが個性的な独創性を表現した新作を発表しており、世界中のファッション関係者やライター・フォトグラファーなど、いろいろなメディアやバイヤーたち、アパレル業界に籍をおく関係者や芸能人などが招待客として開催時に会場の前列に並んで座っている。
時には200近いメゾンが参加することが、特にパリコレクションは最も規模が大きく、世界中から注目されておりその年の流行が左右されるほど人気があるコレクションである。

https://www.vogue.co.jp/tag/paris-collection
パリコレ(パリ・コレクション) / Paris collection

いややっぱり新作発表会やないか!と思った方。ちょっと待ってください。

もちろんその側面もありますが、ブランドやそのコレクションを見る人にとっては、別の大きな意味があります。

それはコレクションの発表を通じて、各ブランドが「美しさ」や「世界観」を追及する場でもある、ということです。

「オシャレ」「カッコいい」は両立できる

オシャレとカッコよさ。実は両立することが可能です。ある程度までは。

ルック1 Image by courtesy of Balenciaga

このルックを見ると、ブラックのテーラードを基本としてシルエットを崩したスタイルになっています。
テーラードや白黒の色といったドレス(スーツ)要素でカッコよさを演出。
そこから、袖を長くしたりパンツから袖が垂れ落ちる前衛的(アバンギャルド)な作りにして、常識的なテーラードスタイルを崩すことでオシャレさを醸し出しています。

このように「オシャレ」と「カッコいい」が両立しやすい代表的なスタイルと言えば、日本ではいわゆるモード系と言われるやつです。
日本人ならみんな大好きCOMME des GARCONSやYohji Yamamotoですね。

オシャレとカッコよさを実践したり説明する方法としては(僕が知っている限りでは)ファッションインフルエンサーMBさんの理論が一番優れています。
僕は一般人にファッションを広めたという意味で、とても尊敬しています。

MB理論はなぜかよく誤解や批判を受けていますが、そういう人はおそらく文章が読めない(読んでない)人です。ちゃんと読んで実践すれば、画期的で素晴らしい理論であることは間違いない。

ファッションから感じられるオシャレやカッコよさは、MBさんが教えてくれる知識によって言語化できてしまいます。
ただし、どの理論でもそうだけど、適用できる範囲があるんです。

美しさは説明できない

実際のパリコレを見てみると、MB理論では説明しきれないスタイリングが数多く出てきます。

コム デ ギャルソン、川久保玲が約2年半ぶりにパリへ。世界への嘆き悲しみに寄り添って
【2023年春夏 パリコレ速報】
https://www.vogue.co.jp/fashion/article/spring-2023-ready-to-wear-comme-des-garcons

これらの写真。「なんでこうなった…?」感がありますよね。
ドレスとカジュアルのバランスとかいう話を超えていて、なぜこういうスタイリングにしたかは、作った人以外は分かりません。

パリコレで出てくるようなブランドは、コレクションごとに独自のテーマを掲げ、世界観を作り出していきます。
そういう世界観が魅力となり、ブランドの価値を上げていく。

世界観がブランドの価値を上げていくこと、世界観を作り込むことが大事だと分かってるので、世界観に合わせてアイテムを製作しているんですね。なので普通よりも尖ったアイテム、尖ったルックが多くなります。

まあクリスチャン・ルブタンみたいに実際に尖ってるものもありますが、ここではデザイン的に尖ってることを指します。

こーれはルブタン。
ぱっと見で分かるくらい尖ってる

オシャレやカッコよさを超えた「美しさ」って、もはや言葉で説明できません。
雄大な自然を見て、その美しさを完全に言語化することってできないですよね。
前出のコムデギャルソンのルックを見ても、「オシャレ」や「カッコいい」というより「美しい」という感想になるはずです。

デザイナーが語るコレクションのテーマ・メッセージは抽象的で分かりにくいことが多いです。

冒頭でも言った通り、昔はファッションの知見が浅くて「このデザイナーは何言ってんだろう。ファッションなんて完全に自己満足の世界やん」と思ってました。

でも、今なら何となく意味が分かります。
つまり、彼らは説明できない美しさを追及しているからこそ、話すことが抽象的なんじゃないかと。

今回紹介したバレンシアガ2023AWのコレクションのデザイナー・デムナに至っては、そもそもテーマさえ言及さえしていない。
2023SSのコムデギャルソンも、「デザイナーの川久保玲からは多くの説明はなく、「今の世界への嘆き悲しみ。そしてそれに寄り添いたい気持ち」を表現したということのみが伝えられた。」とあります。

美しさを追及しているからこそ、トレンドの最先端になる

美しい服装を追及していると、自然とオシャレだったりカッコいい要素が含まれているものです。

ファッションが好きな人たちは、これらのブランドが放つ世界観を受け取って、各々が意図を解釈し、オシャレやカッコいい要素を抽出し、一般的な服装に落とし込んでいきます。
「ああ、今回は全体としてクラシックだったり力強さだったり脱コロナの雰囲気が漂ってる。みんな外に出て人と会いたがっているんだ。じゃあ、テーラードとか外に向けて開かれた開放的なデザインとかアウトドアな服装がイケてる空気感になるんじゃないか?」みたいに。

ほとんどの人はここまで言語化しないかもしれませんが、無意識にそう感じ取っています。

ブランドが発するメッセージからヒントをもらって、普通とはちょっと違った着こなしをしてみる。
そんな服装をほかの誰かが見て、「あ、自分もこういうの着てみたいな」と思って真似をする。
こうやって流行(トレンド)が作られていく。
そして、大衆にウケて大きな波となったものが、大きなトレンドになっていく。

パリコレでも100近いブランドがコレクションを発表していますが、その中でも美しさに迫っていく姿勢がトレンドの源泉となり、ファッション業界全体に大きな影響を与えているんじゃないかなと個人的には思っています。

そもそもファッションは商業とアートの融合である

これもMBさんの言葉ですが、まさにその通り。

ファッションは文化であり、日常であり、商業(ビジネス)であり、アート(芸術)でもある。
商業の側面とアートの側面を極めていくと、美しさを追求しながらもビジネスを成立させるパリコレのような場が出来上がるのは自然な流れのように思えます。

歴史には深い意味があるんですね(浅めの感想)

服や着こなしを見ていくほど、どんどんファッションが好きになって得意になれる

ここまで見てきたように、ファッションを楽しむ方法は、イケてる服を上手に着こなすだけじゃないんですね。

ブランドが発表するコレクションやルックを見て、ファッションにおける美しさに触れる。
街中の歩く人々を見て、トレンドやオシャレを感じ取る。

これができるようになると、さらにファッションが面白くなります。

そういう意味で、自分のスタイルにこだわるのは、個人的にはオススメしません。
ファッションはもっと楽しめるのに、1つに絞って視野を狭めてしまうのはもったいない。スタイルなんていくつもあっていいし、たくさんある方が絶対楽しめます。
だって、毎日何も考えずに、無難で同じような服ばっかり着るより、迷いながらあーでもないこーでもないと考えて服を着て、たまにオシャレだねと言われる方が全然嬉しいじゃないですか。

誰にでも身近なファッション。
だからこそ、ぜひ楽しんでいきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?