見出し画像

『中小企業が「海外で製品を売りたい」と思ったら最初に読む本』代理店選びが成功のカギ

ユニークな製品を作っている中小企業にとって、海外は魅力的なマーケットだろう。国内では競争相手の多い製品も海外ではもっと評価されるかもしれない。また、人口が減少している日本でのみ展開することへの危機感から海外進出を目指したい企業もあるだろう。

しかし、海外にコネもなく、資金も十分でない中小企業が海外に進出するためにはどうすればよいのだろうか。そのヒントとなる本を見つけたので紹介する。

『中小企業が「海外で製品を売りたい」と思ったら最初に読む本』
大澤裕 著 ダイヤモンド社

著者の大澤裕は株式会社ピンポイントマーケティングの代表取締役。同社は中小企業メーカーの海外販路開拓を支援している。

著者によると、中小企業の最大の障害は「恐怖心」だという。なるほど、納得である。貿易実務の教科書には市場調査の方法や取引相手の選定方法が書かれてはいるが、おそらく大半の企業がその前の段階で躓いてしまうのだろう。

また、「英語ができる人材を育ててから海外展開しよう!」というのも良くないという。海外進出に必ずしも流暢な英語を話せる人間は必要ない。また英語人材育成には時間がかかり、好機を逃してしまう可能性も。

ではリスクを最小に中小企業が海外進出するためのベストな方法は何か?著者によるとそれが自社製品にあった販売代理店を見つけることだという。

販売代理店を見つけよう!

本書では一貫して海外の販売代理店との付き合い方が説明されている。

そもそも販売代理店とはどのような組織か
販売代理店探しにはどのような方法があるか
良好な関係を築くためには何が必要か

貿易についての書籍はあるものの、販売代理店とのやりとりについて詳細に書かれている書籍は貴重。ありがたい。

なお、著者はYoutubeでも講義動画を配信してくれている。無料で勉強できる資料を提供いただいて感謝です。

やってはいけないこと

一方で、海外進出を目指す中小企業が避けたほうが良いことも説明されている。

①いきなり現地に工場や支部をつくる
初期コストが高すぎてリスクが大きい。

②エンドユーザーに直接アプローチする
警戒されることが多い。日本でさえ飛び込み営業の成功率は低い。

また、著者は先にリンクを張った動画(一つ目の対談の動画)にて、ネット通販を利用した方法についても言及している。スーパーマーケットで買えるような消費財はネット販売にも活路があるが、産業材では難しいという。より技術的な説明も必要になってくるだろうし、ニーズも限られるからだ。

結果として専門的な知識を持った海外販売代理店を見つけるのがベストということになるのだろう。

感想:多様性と効率

貿易の大きな障壁になるのは言語の違いもあるが、それよりも商習慣の違い法の違いによるところが大きいだろう。そして、全く慣れない地域で顧客を開拓するのは至難の技。海外企業とのやりとりに精通した代理店に頼るというのは妥当な考え方だろう。

これは以前読んだ、Erin Meyer著『The Culture Map』の内容と共通するところがあると思った。

多様性チームをマネジメントするためには、異なる文化圏から国際感覚に優れた代表者を立てること。そして、代表者たちに自身の文化圏メンバーを説得してもらうようにすること。そうすることで、文化の違いによるマネジメント負荷を軽減できる。

各国や各地域の代表として代理店を使うことによって、地域内の市場への進出が容易になるということだろう。

参考文献
『The Culture Map』Erin Meyer

次の記事


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?