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遊佐未森6thアルバム『momoism』全曲クロスレビュー(各曲レビュー1)

 前回はなんとイントロダクションのみに費やしてしまったこのシリーズですが、本編はこれからです。遊佐未森の6thアルバム『momoism』について各曲についてレビューしていくという企画ですので、前置きは長くなりましたがそちらに移っていきたいと思います。それでは前回の続きをどうぞお楽しみください。

1.「オルガン」 曲・編:遊佐未森
2.「ロンド」 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
3.「森とさかな」 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
4.「ハープ」 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
5.「桃」 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
6.「土の話」 詞・曲:外間隆史 編:野見祐二
7.「虫の話」 詞:遊佐未森・外間隆史 曲:外間隆史 編:野見祐二
8.「一粒の予感」 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
9.「水辺にて」 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
10.「エピローグ」 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
11.「月夜の散歩」 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
12.「ブルッキーのひつじ」 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二

produced by 福岡知彦・遊佐未森
sound produced by 野見祐二
mixing engineered by Nigel Walker
recording engineered by 河合十里

1.「オルガン」

 曲・編:遊佐未森
 遊佐未森:organ

@junnovi:
古びれたペダルのギシギシいう音がして、オルガンが鳴り出す。
何だか嘗てのメールヒェンなソラミミ楽団の世界と変わらない気がしたけど、なぜか悪い気はしなかった。導入であって本編じゃないという感じがしたし、導入としての役割を果たしたら曲が終わるしね。
展開部のBメロに少し分かりやすい憂いを帯びるあたりで、「あれ?今までと少し違うかな?」と思った。導入部のAメロだけだと、今までと同じ印象を抱いていたと思う。

この曲は11曲目「月夜の散歩」12曲「ブルッキーのひつじ」の3曲は、アルバム『momoism』の中核をなす曲群をサンドイッチのパンのように前後に挟んでいる“緩衝材”のような役割を果たしているように思う。つまり『momoism』の本編は2曲目「ロンド」から10曲目「エピローグ」までであるというものです。

前庭みたいな感じ。
前庭と後庭みたいな感じ。

そして本編は2〜5曲目までが1つ目のまとまり、6・7曲目が2つ目のまとまり、そして8〜10曲目が3つ目のまとまり。という三部構成というイメージです。

@tpopsreryo:
この曲はイントロダクション。物語の始まりの地。ログイン前の現実世界という感じかな。
おっしゃる通りログインして、「ロンド」でファンタジックワールドが始まるわけですね。「月夜の散歩」は現実に舞い戻ったエンディングで、「ブルッキーのひつじ」はボーナストラックですね。3部構成という見方には疑問もあって、「ロンド」から「桃」までで1部、「土の話」と「虫の話」は外間ワールドなので2部、「一粒の予感」はシングルカットされてるし独立と考えているのでこれだけで3部、「水辺にて」と「エピローグ」で4部の起承転結構成だと思いますね。

足踏みオルガンの「踏む音」にはこだわりを感じましたね。おかげさまでこの曲には放課後感を感じます。田舎の放課後の教室。誰もいない教室から異世界に飛ばされるのです。

@junnovi:
シングル曲のみを単独の段と見る見方やね。「水辺にて」と「エピローグ」はとても近しいけど、「一粒の予感」それらとはまた違うものやもんね。

この曲が学校の風景を想起させるのは私も同じで、当時、小学校にも中学校にも足踏みオルガンがあって、クラスメイトが休み時間や放課後によく弾いてた。
だから異世界に飛ぶというのも共感するし、自分自身が音を出し曲を弾いてた思い出があるから当時の記憶が呼び起こされる感じもある。

ただ、前奏部分の左手の分散和音は、小中学生がバイエルなどで習うものとは違い、ちょっと背伸びをしたコード思うので、かつての実体験を想起するというより、大人になった今の立ち位置から、昔の風景に思いを馳せながら、これからの音世界に入り込む感じが近い気がする。

@tpopsreryo:
あのオルガンには実は人間味は感じていなくてね、個人的には勝手に自動演奏と思ってるのね。人間が弾いていない。たまたま教室に入ったらオルガンだけが動いている。教室に入った時点で既に物語は始まっている。現実世界なんだけど、異世界に足を突っ込んでいるんです。

@junnovi:
自動演奏までは考えたことなかったけど、このプレリュードになる曲は必要だったろうね。「ロンド」を1番目に持ってくるのは、正直想像しにくいもん。

@tpopsreryo:
実は地続きだったという捉え方もあるよね。「ロンド」の長いイントロという。それでもしっくり来ると思う。しかしこれがスタートに来ることで、作品に物語性が増すと思うのです。ある種コンセプトアルバムと思っているので、こういう導入の仕方は不可欠なんですよね。

@junnovi:
確かに。いきなり「ハープ」とか「虫の話」とかから始められたら、「えっとぉ〜」ってちょっと戸惑うもんね。


2.「ロンド」

 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
 野見祐二:computer & synthesizer programming
 MECKEN:bass
 梯郁夫:percussion
 遊佐未森:vox・background vocals

@junnovi:
いよいよ本丸の曲が始まる。
イントロから驚いたよ、音がものすごい勢いで広がってくんだもん!しかもいろんなものが自由に参入して来て、どんどん膨張していく。ここで「コレは何!?」って目が覚める感じがしたよ。

そして遊佐未森の歌が始まる。まるで前奏が有って無いような始まり方。歌にとてもフォーカス当てた音像。ストリングスの音とハープの音とが実に多彩なフレーズを奏でてて、次から次へと何かが生まれてくるような印象を抱いたよ。

@tpopsreryo:
さあ異世界の旅の始まりだってことで、音像がガラリと変わります。まず一聴して違いがわかるのが、低音の滲むようなシンセです。シンセの音づくりは非常に繊細で、特にアタックが緩い音を作るのにはセンスが不可欠です。この滲む音を聴いて「この作品は間違いない」と確信させられるのです。

また多彩なフレーズが湧き水の如く生まれては入れ替わる独特のパート構成は野見祐二の十八番ですね。分散和音を重ね合わせながらストリングスや木管、ピチカートのフレーズが登場人物の紹介のように現れてくる。このダイジェスト感はアニメのオープニングのようです。

@junnovi:
アタックが緩い音ってむずかしいの?

@tpopsreryo:
難しいというよりセンスが出るというか…アタックの緩さというよりそういうタイプの音色にセンスが出るということです。

@junnovi:
ビシバシ!よりもンワ〜の方が問われるってことね。

@tpopsreryo:
ンワ〜というかここではジュワ〜やねw

@junnovi:
そっか!あと別作品やけど、ビチャ〜っていうものあったねw
野見祐二じゃなくて、何か、いじけたような、キチャナイ音w
笑えるw

@tpopsreryo:
「か」のつく方ですかね?w(注:某角松)
「Step into the Light」やねw

@junnovi:
オゲレツやわ〜w
あと、本田恭之とかもやってなかったっけ?

@tpopsreryo:
「Dance in the Heaven」のソロあたりはビチャーとしてたかなw

@junnovi:
あ、ホンマや。でも何故かこっちはオゲレツって思わないw

@tpopsreryo:
本田もどちらかというと野見みたいに音色のセンスが優れているからね。ただ音色が美しいだけでなく、自身のアレンジに対する最適解の音色を持ってくるという意味です。

@junnovi:
この曲の、滲むようにブーンっていう低音が、ハープやストリングスみたいに綺麗に囀る様な音とは一見馴染まない気がするのに、そこに敢えて持ってきて独特な安定と広がりを出しているという感じやね?

@tpopsreryo:
そのとおり。おしゃれテレビの頃から、彼はアルペジオを効果的に使うプログラマーなんだけど、当時からオーケストレーションのシミュレートにこだわっていたのよね。シンセを使ったオーケストレーションというと、上野耕路を思い起こすんだけど、彼は生のオーケストラの譜面をシンセに置き換えるタイプなのに対して、野見はシンセやコンピュータプログラミングでオーケストレーションを構築するタイプなのでアプローチが全く異なる。「ロンド」はそんな彼のアレンジャーとしての特性が良く出ているね。

ストリングスも生をシミュレートせずにいかにもシンセで作った音というのが何とも言えないオーガニックさを醸し出している。あとこの曲はMECKENのベースが重要で、ちょっとPercy Jonesっぽいプレイも弾いていてなかなかテクニカル。
アルバム全体としては導入というか肩慣らしなポジションなんだけど、遊佐作曲をよくもまああそこまで複雑多彩なフレーズをぶち込んだもんだよ…と笑っちゃうくらいの楽しい名曲です。

@junnovi:
滲む様な低音、MECKENの存在感のあるベース、それらがドラムレスであっても物足りなさを感じさせない秘訣になってるのかな?
あと曲構成の話をしたいのだけど、「♪流れ星ひとつ〜」をA、「♪夜が明けて草がのびた」をB、「♪あなたの目のなかに」をC、「♪空の星をあつめて」をDとしたら、この曲は、A B C A B' B C Dという構成になる。

<イントロ>(0:00~0:14)
A 流れ星ひとつ(0:15~0:45)
<小間奏>(0:45~0:51)
B 夜が明けて草がのびた(0:51~1:05)
C あなたの目のなかに(1:06~1:13)
<間奏1>(1:14~1:26)
A 悲しい気持ちも(1:27~1:41)
B’ だからいつもからだじゅうに(1:41~1:54)
B まわる、はねる、おどる笑う(1:55~2:08)
C 素直な言葉だけ(2:09~2:16)
<間奏2>(2:17~2:30)
D 空の星をあつめて~(2:30~2:51)
<アウトロ>(2:52~END)

1番のA-Bの繋ぎ部分にある、小間奏ともいうべき、架け橋の華やかでチャーミングなフレーズが見事で曲を一気に盛り上げてるね。そして2番のA-Bではその華やかでチャーミングな架け橋は登場しなくて直接接続。曲の最後に出てくるDの何か気体に昇華する様な豊かな広がり。これら全て一回限り。安易な繰り返しを避け、惜しみなく楽想を投入する姿勢に、制作者の誠意を感じるねん。

@tpopsreryo:
複雑かつ多彩なパートでリズムを作り出しているので、ドラムレスということを余り感じさせないですよね。
構成部分としてはDが秀逸。この部分のタメが効いています。最後にはあのA-Bの繋ぎ目のチャーミングな木管フレーズが再び登場して収束していく。収束といえばCやDの最後のシンセで作ったブラス音色が素晴らしくて、マウスピースを吹くときのアタック音の後にすぐに減衰(ディケイ)して、延びるサスティン音に切り替わりゆったりとリリースしていく、エンベロープ(いわゆるADSR)の妙が凝縮した音色だと思います。

@junnovi:
あ!確かにDのあとにA-Bの架け橋がもう一回ある!いやぁ、聴き逃してた。ようできてるなぁ。

Bもだけど、更にDの所で顕著なコーラスワークが、西洋の竪琴の音やキラキラした音と溶け込むように馴染んでいるようすがとても美しい。
嘗てだと、お得意のコーラスを展開してだろうけど、全体の響きを大切にしているのが強く伝わってくる。シンセの音と溶け合って、その一体感がこの上なくヘブンリー。
溶け合ってても渾然一体とかじゃなくてちゃんとそれぞれの音には輪郭があるのが秀逸だなぁと思うのです。

@tpopsreryo:
音色でいえばポンポンといったピチカートのクッキリとした輪郭が良いし、Dに入るあたりのシャラーンっていう音(梯郁夫のパーカッション)も効果的。しかしやはりCの後の寄せては返すようなミニマルフレーズに位相をいじったようなモジュレーションサウンドの奥行きが素晴らしいね。MECKENのプワプワしたプレイも含めてさまざまな音色とフレーズが交差する芸術的な楽曲だと思う。導入としては完璧ですね。

@junnovi:
この圧倒的な音世界で、今までの作品と一線を画していることが分かるね。「ああ、これが野見祐二の仕事なんだ!」って思った。スゴイ衝撃と感動。この感動があって『momoism』一作だけでいいからクロスレビューをセンセとしたいと思ったんよ。

あともう1つ。これは批判になるんだけれど、Cのところの歌の音程がすごく不安定なこと。これで合ってるのかな?危なっかしい音程。そしてそこに私が苦手な、声を裏返す技との掛け合わせまでやってる。
確かに下降するスケールの繰り返しだから、ピアノ練習曲みたいな難しさがあるのだろうけど、それにしてもヘロヘロやんw

@tpopsreryo:
Cの部分難しいと思うけど言うほどヘロヘロかなあ?余り違和感なく聴いてました。まあ作曲が本人なので自業自得なんですが、本人がそう歌ってるのだからそれが正解なのでは?w
ワタシは"そういうフレーズ"と解釈していましたw

@junnovi:
自分でも歌えんような歌作ったらアカンの。でも作った本人が歌ってるんやから、あれで正解なんやね。そうか!w

@tpopsreryo:
ああいうふうに歌うのがあの曲にとっては正解なんでしょうw
本人の曲なんだから外野は口を挟めないですw

@junnovi:
あのヒラヒラ、ヘロヘロが良いと思う時もあるし。と文句言いながら、気に入って聴くんだけどねw

世代ではないんだけど、ばんばひろふみの「SACHIKO」って曲のサビの部分の「♪思いどぉりにぃ~」の音程がひどく上下するときの不安定さと似てる気がした。

@tpopsreryo:
笠浩二の「♪胸が、胸が、苦しくなる〜」もそうやねw

高見沢俊彦の「恋人達のペイヴメント」もそういうの宝庫やねw

@junnovi:
「Romantic・・」は「♪く~るしくなるぅ~」と笠が歌って、合いの手コーラスが入ったあとに、手数の多いフィルインが出て来るけど、そこが何度聴いても気持ち良くて好き。笠のドラム、結構好きやなぁ。やっぱりほしいなCCBの音源。
「恋人達のペイヴメント」はね、アルフィーのバラードの頂点やねんw「Musician」「Since1982」「Time and Tide」と「恋人達のペイヴメント」は、私の中で四天王やねんw。
で、高見沢はこの曲歌いたいやろし、坂崎や桜井も「もうさ、これはさ、オマエ(=高見沢)が歌う曲だよ」って譲ったのかもって、知りもしないのに勝手に想像する私。
最初の「♪あぁあ~」から不安定やもんねぇ。あ、あとここ「♪あぁあ~、マッチの火が~」って聞こえてまうねん。そしてその後もずっと、高見沢の歌は不安定。サビの「♪せぇ~かい~じゅうにぃ~」で不安定の頂点を迎えるねん。
こないしてけなしてるけど、大好きやねんこの曲。私の生涯のバラード10曲選べって言われたら(「生涯のバラード」って何?w)、間違いなく入るねん。ひとりカラオケで喜んで絶唱するねんw 知ってると思うけど!w 聞いたことあると思うけど!w

@tpopsreryo:
CCBの功績はシモンズに黄色があったんだ…ということを確認させてくれたことですw
高見沢は最初の出だしで失敗して最後まで挽回できないパターンねw
逆に言えばスタートをつかめれば上手くいくタイプとも言える。
そして途中で音程が迷子になるのが安田成美や中山忍。伝説を作るタイプw

@junnovi:
高見沢は「ラブレター」って、アルフィー再出発の最初のシングル曲があるんだけど、そこから不安定だから、上手くいくことを期待したらアカンのやろねw

「Time and Tide」とか「Since 1982」とか井上鑑の力を借りて、規模の大きな曲を歌うんやけど、高見沢の歌の不安定さは青春の脆さや儚さとかに通じるから、あれはあれで表現としては良くて、名曲で好きやねん。メリーアンでディスタンスなマサルもある意味不安定やから、案外、「シンデレラ(は眠れない)」で19な幸之助がフツーに一番安定してるのかも。
アカン、アルフィーの話は、これでは全然足らん~。ファンじゃない筈やのに・・・w
成美と忍!この子らは、たまに聞こえてきたら「アレ?オレ具合が悪いんか?」って勘違いしてまうねん。危険やw

@tpopsreryo:
アルフィーは立派なファンでしょw
安田成美は有名過ぎてあれも個性の1つになってる。ナウシカとかもうあの歌でないと満足できないしw

中山忍は河田純子と田山真美子と楽天使という期間限定ユニットで「天使のシンフォニー」という曲を歌ってたんだけど、河田以外の2人が不安定なので惨憺たる出来でした。でも鷺巣ソングなので結構好きw

もう中山忍ひどすぎるw
せっかくブラスがうるさい鷺巣サウンドなのに、忍は美穂の妹というだけでセンターw

@junnovi:
センセは基本的に鷺巣詩郎、大好きやんねw 派手で激しいしw

こ、コレは…。
決めんとアカンところやのに、忍は最初から完全に外してるよね!w
忍のところだけ急性の聴覚異常起こしたみたいな感じw
純粋に本人の歌唱力の問題やのに、その揺るぎない外れっぷりに、聞いてるこっちの具合が悪くなったんかと錯覚するわ!w
「忍ちゃん、もっかいやってみようか!」と言ってもまた同じことをやってしまうんやろなぁ…。

@tpopsreryo:
自分でもアカンと思っとるんやろなあ。顔に出てるもん。自信のなさがw
また河田純子がめちゃくちゃキレイに「あぁ〜♪」って歌えてるだけに余計際立つねんw

@junnovi:
ここまでくると晒し者みたいで、チョットかわいそうにもなるね。
でもやっぱり笑ってしまうのですw ゴメンね、忍。

@tpopsreryo:
彼女はアレでいいんです。ワタシ彼女のベスト持ってますもんw

@junnovi:
浅田美代子から始まって、新田恵利とか、色々今までにもいたけど、あれで良いんやんね。そう思うわw

って、「ロンド」とは全然違うの話になってしまった!w
私のばんばひろふみの「SACHIKO」から脱線したんやったね!アルフィーとかw
何か、アルフィーのこともっと書きたいwww

@tpopsreryo:
まとめる時もう省くかこのくだりw

@junnovi:
要るよ!w

@tpopsreryo:
ワハハw


3.「森とさかな」

 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
 野見祐二:computer & synthesizer programming
 今堀恒雄:electric guitar・acoustic guitar
 梅崎俊春:synthesizer programming
 遊佐未森:vox・background vocals・keyboard・shaker

@junnovi:
この曲も「ロンド」に続いて極めて重要な曲という位置づけです。

けれども「ロンド」と違って、分散和音よりも合奏の妙がこの曲の鍵で、Tuttiをテーマにした感じ。Tuttiによってリズムを形成し、それが曲に推進力を生み出している。アルバム『momoism』はもちろん始まっているし、「ロンド」という傑作が前あるけど、この曲で一気にスピードを上げて本編の大きなうねりを作り出しているように思えて。そして曲の随所に散りばめられた、ますます磨きのかかった遊佐未森のコーラスの美しさを堪能できるのもこの曲の魅力やね。

@tpopsreryo:
「オルガン」が現実世界で、「ロンド」が異世界への着地点だとすると、いよいよ冒険の始まりといった印象。ここまで来てようやく理解していただけると思いますが、『momoism』はRPGゲームですw
いよいよ歩き出すということで他の楽曲と比べても「一粒の予感」と並んで躍動感溢れるサウンドメイクに仕上がっています。イントロのオルガンはまさにtuttiなんですが、これは遊佐音楽の手ぐせのようなもので、これは野見アレンジというよりは原曲の味が残された部分でしょう。むしろBメロの変拍子マリンバのあたりは野見テイストと言えるかもしれません。

そこから中盤のCメロに移るわけですが、そこに至るまでのブリッジ、コーラスとシンセのミックスによる場面転換が絶妙。そしてCメロが始まるとともに挿入されるリコーダーっぽい音は生演奏ではなくシンセの手弾きで、これは遊佐本人のプレイですね。少し音が浮いているので。
しかし本番はここから入ってくるギターソロの味わい深さがポイントです。本作の最重要人物の1人である今堀恒雄。ティポグラフィカ等のインプロヴィゼーション系バンドのリーダーでもある彼のプレイは出過ぎず目立たず、しかし安定感が備わっていることに加えてフレーズに説得力がある見事なバランス感覚です。ラストに再度ソロが披露されますが幻想的な音色も曲想にマッチしており、楽曲そのものを豊かにしているのです。

なお、野見はなぜ今堀を起用したのかというと、恐らく野見は窪田晴男を呼びたかったのだと思います。オネアミスの翼で共演してるので。しかし窪田は当時有近真澄のプロデュース等で忙しく、そのトラで今堀を紹介されたと推測しています。窪田は自身が多忙の際には天才ギタリストと称して今堀を紹介していましたから。S-KEN & ホットボンボンズもそうでしたからね。

@junnovi:
RPGなんや~。そんな風に考えたことなかった。Tuttiは遊佐未森の手癖と言われたらそうやね。
BメロとかCメロというのが出て来たから、この曲も分解しましょう。

<イントロ>
A もし君が~(0:30)
B 何故こんなに離れて~(0:50)
A 今君は~(1:00)
B´ 何故こんなに知らなくて~(1:20)
<コーラスの霧>(1:30)
<Cへの架橋>(1:40)
C さかな達は虹のうろこ~(1:50)
<ギターソロ1>(2:10)
<イントロ再来1>(2:29)
A´ もし君が~(2:45) 
B´ 何故こんなに会えなくて~(3:05)
<シンセ>(3:15)
C 青い空に~(3:26)
<ギターソロ2>(3:49)
<イントロ再来2>(4:06~END)

こんな感じかな。かなり細かくした。

この曲で特に重要視するのは、<コーラスの霧>、<ギターソロ1>、<ギターソロ2>。
<コーラスの霧>では、白いレースがあたり一面に広がり、空からの光の境界がなくなって霧がかったように。ヴェールに包まれて、不思議な気分になる。声質の人間味が一層希薄になって、ワタシ好みに。楠瀬誠志郎に近い感じ。アンドロイドコーラスが大好きなんです。

ところでアンドロイドコーラスの対極に位置するのが、アルフィーw(また登場!)THE ALFEEやで。「ザ」ちゃうで「ジ」やねんw
3人の声のぶつかり合い。あれはあれでちゃんと丁寧に聴くのです、何度も。アルバム『TIME AND TIDE』から『AGES』までは。好きな曲、いい曲沢山あるのです。冬でも「Sunset Summer」歌うんです。バイク乗らなくても「悲しき墓標」「暁のパラダイスロード」もゴキゲンに歌うんですw
センセと出会って以降は、ジ・アルフィーの新作をパタッと聴かなくなってしまいました。そして今や、聴かなくなってしまった時間の方が圧倒的に長くなりました。

アンドロイドコーラスと言えば、私の中では楠瀬誠志郎であり西司なんだけど(あとは安部恭弘とか村田和人とか。)、世間一般的には山下達郎の『On the Street Corner1、2』なんでしょうね。

@tpopsreryo:
詳細な楽曲構成の説明ありがとうございます。
この曲が面白いのはA,B,Cとパートがあるんだけど、サビらしいものがないのよね。そこはポップスとしては斬新といえば斬新。
これは恐らく遊佐が作った各パートを野見が再構築して1つの楽曲に作り上げているのではないかと推測しています。アレンジャーの腕の見せ所なのではないかと。

アンドロイドコーラスというネーミングは言い得て妙なのですが、これも多重に録音した遊佐の声をDAWでハードディスクレコーディングで切り取るか、サンプラーに取り込むかして、1つの音源としてプログラミングしているようにも聴こえるのよね。単に多重録音で重ねるだけではないと思う。でないとあんなリリースが途切れて次の声が出てこないし。

ワタシにとってのアンドロイドコーラスは、吉田美奈子ですねw

@junnovi:
「STARBOW」?w

@tpopsreryo:
コーラスの霧ではなく巨大な壁ですけどw
妖しい声で、「ア“〜〜〜っ」ていうw

@junnovi:
確かに壁w そそり立ってる!
呪詛で塗り固められた重層コーラスの壁w
「ア“~~~」ってw 宇宙空間に巨大な空母が現れる、そんなイメージw
怖いわっ!
美奈子って何であんなに怖いんやろw

@tpopsreryo:
顔も怖いし、目つきと図体とあのソバージュと口紅が怖いんだと思うw

@junnovi:
要は首から上の要素すべてやんか!w

@tpopsreryo:
あの容姿であの声だから怖いって。そりゃ飯島真理もオシッコチビるってw

@junnovi:
押し寄せる圧力がスゴイ。声質ですごんでるよね。実際に目の当りにしたら、震え上がるやろなぁ。ドス利いてるもん。声が座ってるもんw(声って座るの?w)
てかセンセは山下達郎の多重録音はアンドロイドっぽくは思わないんや。

@tpopsreryo:
だって飯島真理なんてデビューアルバムは坂本龍一に蝶よ花よとおだてられてたのに、2枚目でいきなり大奥から現れたルックスも声も強烈なオバさんが現れてスパルタボイストレーニングに作った曲にダメ出し連発というイジメを受けて全くいい思い出なかったらしいからw
で、マクロスで清水信之にプロデューサーが代わって心底喜んだらしいw

まあ美奈子と共同作業できるのって山下達郎、福岡ユタカ、清水靖晃くらいだからなあw
美奈子のアンドロイドコーラスはまあ達郎の影響やろうけどね。

@junnovi:
美奈子と渡り合える3者がみんなツワモノばかりw
飯島真理って中々他では経験できない濃密な日々を送ったんやねw
ある意味羨ましいw 渦中では何度もノイローゼとか胃潰瘍になりそうやけど!w

そして山下達郎に繋がるんやね。。。

@tpopsreryo:
そう、あれだけクセのある連中じゃないとねw

@junnovi:
そうや!山下達郎の音楽って、クセが強いんやわ!

話は元に戻すけど、確かにセンセの指摘どおり、この<コーラスの霧>の声には、どこか自然な発声にはない人造的なニュアンスがありますね。あと、フレーズ自体についていえば、霧の中の雫を表しているかのようなシンセの音と、溶け合うように共鳴しながら、ほぼ不協和音なのも魅力。不協和音の連続やのに、それが調和しててすごい。
あと不協和音と言えば、ギターソロ1・2はともに和音ではないけど、フレーズとしては明らかに不協和と言える。

@tpopsreryo:
今堀恒雄は前衛ジャズや即興プログレ畑でもあるので、フレージングはフリーダムな方だと思うけど、そんなに曲想を乱すわけでもなく、音色も含めてテクニカルな部分を感じさせるのよね。あえていうなら平沢進もああいうフレーズを弾くタイプではあるよね。

@junnovi:
楽器演奏としてはセンセの説明のとおり。
それにしても、この異質なものの登場は一体何を表現しているのかとずっと考えてて「これは川底のさかなの動きなのでは?」と想像しててん。魚影。
Tuttiもアンドロイドコーラスも、森や風や空といった地上の世界を描写していて、ギターがさかなの動きや水中の世界を現わしていると。ふたつの世界に生きるそれぞれの生命は、相手の世界では息をすることすらできないほど違い過ぎるところと重なるなぁって。Tuttiで秩序を、アンドロイドコーラスで境い目のの融解を、ギターソロで水中のさかなを、それぞれ1つの曲の中でまとめてみたのかもと想像しました。
水の循環で、川、海、空、雨、森、土といったように、やがて戻ってくる円環構造を、森とさかなで譬えているんじゃないかなぁと。
不協和音のアンドロイドコーラスの向こうに、水中の世界のCへの誘導があり、そしてギターの不協和なフレーズではあるんだけど、自由さもある。それがまさに魚の動きのようで。どこか生き物の呼吸や動きに合わせたような気がして。何しかとても素晴らしいギターソロ。

@tpopsreryo:
ギターソロを魚の動きに例える表現は良いね!
確かに魚の不規則なようで規則的な動きがフレーズで想像できる。
tuttiで歩みを進め、コーラスの展開部分で川に飛び込んで、Cで水中探索の様を映し出して、ギターソロで魚達が泳ぎ回る…か。
計算され尽くした、それでいて映像の浮かぶ立体的なサウンド構築は、さらに野見祐二の底知れないセンスを際立たせていると思うね。いろいろ合点がいきました。

@junnovi:
「ロンド」でも「森とさかな」でも歌詞との関連が強いのではないかと思ってて、それは「桃」をアルバムのコンセプトにしていることとも繋がってる話なんだろうなと。その構造はこの2曲に限らず他の曲でも同じことが言えるとは思うんだけどね。

@tpopsreryo:
「桃」のコンセプトについてはタイトルチューンでまた語りましょう。

4.「ハープ」

 詞:工藤順子 曲:遊佐未森 編:野見祐二
 野見祐二:computer & synthesizer programming
 斉藤葉:harp
 守安功:alto recorder・tenor recorder
 沖山優司:bass
 梯郁夫:percussion
 梅崎俊春:synthesizer programming
 遊佐未森:vox・background vocals・keyboard

@junnovi:
これはまた星の屑が空から降ってきたような、繊細で美しい分散和音の導入がまずあって、次いでリコーダーの合奏による牧歌的なフレーズが始まるね。私の大好きな3拍子。歌い出しがとても自然で、干し菓子が口の中で溶けていく感じをいつも思います。
でもこの曲は夜の曲じゃないね。昼間の曲。なので星の屑とか星の雫じゃなくて、初雪とかかな。それとも北海道で雪の降る前に見られる雪虫、しろばんばとかいう感じなんやろか。ああ井上靖。ああ『しろばんば』、名著!

@tpopsreryo:
この導入部分の星が舞い落ちる部分は梯郁夫の生演奏ですね。恐らくソプラノウインドチャイム。キモはその後に入ってくるファンファンした掴みどころのないシンセとジワ〜っとくる滲み系のシンセの導入。電子音でしか出せない微妙な電磁的音響が堪能できます。素朴なリコーダーを軸にして基本ワルツで進んでいきますが、ピチカートとマリンバのフレーズでリズムをとっているのよね。梯の鈴も聴こえます。ちなみにピチカートは打ち込み、マリンバは遊佐の演奏。
Cメロ「このごろ一度も歌わない」の後にくる分散和音は野見の十八番であり独壇場ですが、あれは生演奏ではなくシンセとコンピューターによるプログラミングでやるからこそ、非現実感が出るから良いのです。
本作ではこの非現実感というのもポイント。なにせ異世界RPGなのでw

@junnovi:
ファンファン、そう!このファンファンが意外と長くて「いつまで?どこまで降りてくるんや?」って思ってしまう。そろりとそれまでとはテンポの違うリコーダーのアンサンブルが始まって「ああ、足元に降り積もるところまでなんや」とあとから納得する感じ。描写が上手で誉め言葉しか思いつかない。

@tpopsreryo:
あのファンファンという音、昔JUNO-106ていうシンセを持ってた頃に作った音色に似てるので、思い入れがありますねw
この曲に限らず本作では使用されているシンセ音色は尖った刺激的なものは使わず、柔らかく包み込むようなものがほとんど。輪郭が丸いというか…耳に優しいのです。
このファンファンにジュワーっとしたイントロは確かにゆっくり舞い落ちて土に染み込む、そんな感じもしますね。個人的には妖精が舞い降りる様かな。徹底的に異世界RPG…w

@junnovi:
音へのすごく深い分析!いつも以上に分析の深さを感じるんやけど、やはりそれは野見祐二の創る音に対して、相当注意深く聞いてるってこと?

@tpopsreryo:
普段はどうしてもリズム隊に耳がいくタイプで、そこにシンセやシーケンス、ギターや歌がどう絡むかを楽しんでいるんだけど、リズム隊がほぼない、しかもギターやピアノの弾き語りでもない、今回のような作品ではシンセサイザーの音色に耳が集中してしまうのかもしれないねw

@junnovi:
ほー。たしかにポップスなら普通にあるリズム隊の音がこのアルバムではほぼないし、クラシック曲に近い器楽構成だから、音色に意識が集中すると。
では、この曲も例に倣って、全体の構成を見ると、次のようになる。

<イントロ>(0:00~0:43)
A 星屑の広場に~(0:43~0:59)
B そっと磨いて~(0:59~1:10)
<間奏1>(1:10~1:29)
A 賑やかな音楽~(1:29~1:45)
B 月を見上げて~(1:45~1:56)
<間奏2>(1:56~2:07)
C このごろ一度も~(2:07~2:28)
<間奏3>(2:28~2:48)
A 空っぽの心に~(2:48~3:03) 
B 奏でてくれる~(3:03~3:15)
<間奏4>(3:15~3:26)
C 毎日幾度も~(3:26~3:46)
C このごろ一度も~(3:46~4:06)
<アウトロ>(4:06~END)

@tpopsreryo:
間奏部分でいうと1と3とアウトロが同じなんだけど、2はエンディングでもう1度登場する。最も好きなのは4で、ここだけリコーダーを使用せず、控えめなシンセとキラキラウインドチャイムでフックを入れての3度目のCっていう構成が良いんですよね。

@junnovi:
今回もかなり細かく分解したよ。
AとBは一緒にしても良いしかも知れない。って考えると、二部構成になる。
なんにせよ、この曲も「ロンド」と同じように印象的な分散和音で作られていて、「森とさかな」の合奏やTuttiを間に挟んだような感じ。

あとこれは次の「桃」で触れるべきなのかもしれないけど、アルバムの曲が進むにつれて、テンポがますます緩くなっていくね。そうやってアルバムの奥の間に益々住んでいくような構図になってる気がする。

肝心のこの曲についてだけど、本当に丁寧な曲作りをしていて、「ロンド」の時に覚えた「こ、これは、何かが違うぞ!」という直感は、間違いなかったと確信に至るところやと思う。
この「ロンド」で感じた瑞々しい感性は、アルバム全体を貫いている大切な個性であり、意図して作られているのだと。
青山純の強力なリズムで先へ進む爽快さとは違った、たゆたうような心地良さ。まさにアルバムタイトルに通じるものやろうね。
間奏のたびに、音の肌触りというか表情を変えてくるあたりの心配りも豊かさを感じるし、遊佐未森の歌の呼吸がいつになく深いのがとても印象的。
ともすれば童謡歌手のように、無垢さを出し過ぎて違和感を覚えかねない彼女の歌い方が、このアルバムでは破綻することなく美しく実を結んでいるのは、この呼吸の深さにあると思うわ。
ただ、その一方で、Cの「♪このごろ~」のところの音程の不安定さ、声が裏返るようなところも加味して、気になってしまう。これで良いんでしょうけど。

@tpopsreryo:
Cパートが白眉なんですよね。「この頃一度も、歌わない」の「歌わない」で入ってくる柔らかいシンセ。このホワンホワンした音の質なのです。こういう音使いに分散和音を混ぜてくる手法がいかにも野見祐二らしさというか。
分散和音の多用はハープなので。

間奏1とかアウトロとかのリコーダーでいつも居心地の悪い部分があって、4小節目のターラーラーラータラタラのタラタラの音階が微妙でずっと気持ち悪いのです。着地点を見つけられないというか…遊佐の歌よりもよほどムズムズするんですよねw

@junnovi:
その「タラタラ」のいささかフラットなトーンは、この曲に限らず、リコーダーを使う時とか、幼児コーラスを使う時とか、そういうズレたところの幼稚っぽさや舌足らずさを演出しようと狙ってのことだろうけど。私は基本的に苦手で、たとえば(岡村)靖幸の「だいすき」も、どこか好きになれない。
この曲も童謡の雰囲気を醸し出そうとして、牧歌的な響きを持つリコーダーを持って来たんだろう。ただここまで書いてはいるけど、この曲については、お互いの音がみごとに響き合っているので、楽しめます。

こんなゆったりとしたリズムで、力むところでもなく、ハイトーンでもないのに、どうしてこうもコロコロと声が裏返ってしまうんだろう。鼻から抜けるような声の裏返り方をなんとかこらえて持ちこたえて欲しいと、切に願うのですw 
って、大きなお世話やね。

@tpopsreryo:
ワタシはポップスの歌い方は不安定でナンボと思っているので、声が裏返ろうが音程を外そうがそれが個性にもなるし味にもなると思っているのね。なので正直歌に正確さを求めることに対してはポップスにおいては意味がないと考えています。本人が歌いたいように歌えばよい。ただそれだけですよ。ましてや自分が音楽教育を正統に受けてないのに、歌の善し悪しについてとやかく言えませんわw

リコーダーについては幼児性を演出するのは別によいのですよ。あの音階だけが気持ち悪いだけで。バックと合ってないと言うのかなぁ。
それこそ大きなお世話ですね、ハイw


5.「桃」

 詞・曲:遊佐未森 編:野見祐二
 野見祐二:computer & synthesizer programming
 今堀恒雄:electric guitar
 沖山優司:bass
 梅崎俊春:synthesizer programming
 遊佐未森:vox・background vocals・keyboard

@junnovi:
この曲で一旦、一区切りやね?

1曲目がオルガンで、この曲もオルガンぽい音で始まるところが、繋がっているのかなとか、統一したトーンで貫かれているのを読み取ってしまう。
弱起で始まる遊佐の歌はいつになく伸びやかで、穏やかな青空に向かって開かれていくようで、晴れ晴れとした気持ちにさせてくれる。
遊佐の、歩いているような、一息ついた感じの、穏やかで豊かな声がめいいっぱい響いて、聴いているだけで心地よくなる。スコンと歌と曲とがはまって、とてもしっくりくる。
歌の後ろで鳴っている音は、そんな伸びやかな遊佐の歌を邪魔しないようにしているけど、Bメロからは不思議な音やギジュギジュな存在感のあるギターとかが登場して、中々の主張をしてて飽きさせない。

@tpopsreryo:
確かこのアルバムの「桃」って事務所の社長やスタッフに赤ちゃんが産まれて、その赤ん坊のほっぺたを称したものだったよね。
そういう意味ではこれが本作のリードチューンであり、この曲を世に送り出すために本作は作られたとも言えるわけで。
モモイズムとは赤ん坊のほっぺたのような優しさや温もりのある幸せを歌いたいという、遊佐の意思表明でもあるわけやね。

なので、この楽曲でも本作の象徴ともいえるオルガンや今堀恒雄の繊細なギターワーク、そして野見祐二の微に入り細を穿つ美しいアレンジメントで構成されている。
遊佐自身が叩くトイピアノ?が味わい深い。
特にアウトロで半音ずつ下がっていくフレーズなんかは実に可愛らしいと思うね。

Bメロの不思議な音は野見祐二の十八番で、複数のボイス音源をサンプラー鍵盤に割り振って変調させたフレーズやね。
おしゃれテレビ「アジアの恋」でも出てくる手法。
この得意技を出してくるということは、それだけ重要なポジションの楽曲ということなんだと思う。

@junnovi:
この曲をどう評価するかでアルバム全体の評価にもつながるっていうことやね?
こういう、シングルカットされそうにない曲を、アルバムコンセプトの中心に据えて制作されるのって、なんか良いねー。

<イントロ>(0:00~0:10)
A やわらかな~(0:10~0:35)
A' はなびらの(0:35~1:01)
B せせらぎの(1:01~1:23)
C あたたかな(1:46~2:12)
<間奏>(1:46~2:12)
A 遠くから(2:12~2:39)
B 白い羽(2:39~3:02)
C いつまでも(3:02~3:28)
 <アウトロ>(3:28~END)

イントロではオルガンの穏やかな通奏低音みたいな音が中低域で鳴り続ける。この持続音が印象的なイントロなんだけど、この通奏低音は結構長くて、Bメロまで続く。そして小学生でも弾けそうな簡単な内容の伴奏なのだけど、却ってそれが良くて、どこまでも豊かに伸びやかで高みを目指して広がりを見せる遊佐の歌が登場してきて、そっちに持って行かれる。ここで1つの頂点を見る気がする。素晴らしい。

Bメロではビックリするくらいに歪んだ音のギターが輪郭のしっかりした旋律を奏でて異様なほどの存在感を醸し出すんだけど、それが意外にも聴きごたえがあって、この曲に広がりや奥深さを与えている気がする。

さらにCメロつまりサビになったら、またへんてこな音が登場してきてへんてこな旋律を奏でてるんだけど、破綻していなくて、どこか自由さすら感じるほど。センセはここがまさに野見祐二の十八番だと言ってるわけね。

2回目のAメロはさらに音楽的要素が加わって元気さと楽しさが増している。ちょっと注意して聞いたら、1回目のCメロの後ろでへんてこな音でへんてこな旋律に似たものがちょいちょい顔を覗かせていて、ここでもしっかりとこの曲のアレンジのコアな部分が引き継がれてて、Aメロという違う旋律であってもちゃんと馴染んでいることに驚くねん。

アウトロでは、3:37からはもう曲も終わるというのに、新たな音楽要素が登場。不協和音の濁らせた音色による魅惑的なフレーズが登場するところ。そのトイプレイ感がとても愛らしくて、余裕を感じる。このアルバムの豊かさはこういうところで感じることができるように思う。

@tpopsreryo:
既に説明した通りなのですが、やはりこの楽曲のキモはCメロの手前から入ってくる野見式アンドロイドボイスとオーガニックな今堀ギターフレーズとの絡み合いに尽きると思うのよね。
このアンドロイドボイスはサンプルボイスを割り当ててフレーズに散りばめているわけなんだけど、随所でグニャッとポルタメントを施したりして歪めているのね。
これが非常にミソであってボイスがボイスでない実にファンタジックな音色に聴こえてくるわけ。
基本的にこの楽曲はオーガニックなので、そんなアンドロイドボイスのような近未来要素は必要ないように思えるんだけど、あえてこのフレーズを入れることによって異世界であることを再認識させられるというわけです。

それと間奏部分も印象的で、メインのシンセソロ?は混じり気のない純粋な音色によって丁寧に紡ぎ出しているフレーズだと思う。
このソロフレーズも最後にポルタメントによるスラーでグイッと上げてくる譜割が素敵だなあと思うわけです。

@junnovi:
な~んも考えずに聴いてたら、ふんわりした曲という印象なんだけど、繰り返し聴いていると「何、この存在感のある音?」って引っかかる。その引っ掛かりに一度気がついたら「うわ、へんてこな音があちこちにあるやん!」って。なのにこの融合が自然に聞こえてしまうのが不思議。

@tpopsreryo:
高音と低音を幅広く散りばめているのもファンタジック性を増幅させていると思う。かわいく控えめなシーケンスが随所に存在しているのも細かな野見仕事。
音色作りに関しては梅崎俊春も少なからず貢献しているね。

@junnovi:
そのセンセの言う控え目で細やかなシーケンスって、80年代後半とかじゃ、聞けない音だったって思う?やっぱり90年代もしっかり入ったくらいにならないと聞けない音?

@tpopsreryo:
80年代後半でも聞けるものは聞けたと思うけどね。
ただレイト80'sは過剰サウンドの飽和状態にあったから、埋もれてしまっていたのかもしれない。
90年代は幾分スッキリしたミックスになってきているから、そういう控えめな音の分離の良さも目立つようになってきたと思うね。

@junnovi:
ド派手で攻撃的なシーケンス、みんな大好きだったもんねw
聴き飽きてるはずなのに、飽きないもんね(意味不明)。聴いても聴いても消化してしまう、辛さ20倍でも物足りなくなるような、ちょっと中毒性のあるシーケンスのシャワーを怖ろしいほど浴びまくった時代やったもんw
なのにまだ聴き足りない自分がいる。禁断症状?もっと聴きたい。ド派手な音をちょうだい。もう中毒やね!
それと、基本的に分散和音が大好きやねん。たまに聴いたら血のめぐりが良くなって、若返った気になるねんw

それが、「そのシーケンス、要る?」と引き算の美学を追求して、削ぎ落して行って、本当に重要な要素に絞り込んで、そこに丁寧さを込めていく。そういう音楽に巡り合えるというのも、面白いなぁと思います。そしてちゃんとそれも楽しめるんやもん。いいね~。

@tpopsreryo:
分散和音の使い方が尖っていない...野見祐二は昔からそういうタイプだったと記憶している。
おしゃれテレビ時代はもう少し派手で実験性に満ちていたけど、生み出すサウンドは実にエレガントだったから。
本作では遊佐の新機軸として野見を持ってきたという、これも福岡さんのファインプレイだったのかもしれないね。明らかに外間ワールドも頭打ちだったから。

@junnovi:
クエン酸回路?フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸・・・。

@tpopsreryo:
この曲、あんな不思議な組曲なのに最後コードワークの妙もあってラグジュアリーな曲に仕上がっているでしょ?w

@junnovi:
へんちくりんな曲だよねぇ~。でも仕上がってる感があるよね。鏡面艶出し加工をしましたって感じ。
そして『momoism』では野見祐二の進化を感じる。
ラクターゼは加水分解♪

@tpopsreryo:
その間にオネアミスの翼や子猫物語やラストエンペラーまであるからね。そりゃ成長するよw

@junnovi:
作品を残しながら自分も成長するって、なんかいいねぇ。
そう言えば、このアルバムの曲って情景を思い起こさせる曲が多いと思う。それは作詞の人には申し訳ないけど、言葉の力よりも音楽の力。音色や旋律やリズムの力の方が大きい気がする。
これをセンセに聞いたら、そもそもあんまし歌詞を意識してないから「やろ?」っていう返事が返ってきそうやけどw

@tpopsreryo:
遊佐楽曲は童話的な歌詞も世界観を醸成するために重要な役割を果たしているよね。しかしおっしゃる通り本作においては、音色やフレーズ、そして楽曲自体の展開自体が情景変化を雄弁に物語っていると言える。
それこそが野見祐二の類稀なセンスと言えるのではないかと。

@junnovi:
だってドラムレスなのにクラシックぽさがなくて、むしろリズムやグルーブ感もあったり、楽しいよね。

@tpopsreryo:
ドラムレスをシーケンスのリズムでカバーするというコペルニクス的転回。素晴らしい。

@junnovi:
ホントに。この「桃」で結実した狙いが、決して独りよがりではなくリスナーに伝わっているところもちゃんと評価したいよね。

あとこの曲について言っておきたいことは、いろいろ書いたけど、私はこの曲が好きだということ。なんやかんや言って、結局は音楽には好き嫌いが大切だし、それが決め手だからw
森林的童話ソングはそれまで沢山作ってきたけど、どこか退屈で、大半は好きになれなかった。環境音楽の持つ無機質的なそっけなさ、置いてけぼり感、閉じられた自己陶酔とかは鳴りを潜めてて、近い所からこっちに向かってる感じが良くて。

@tpopsreryo:
なるほどね。外間的世界観はコンセプトをがっちり固めてくるから、ある意味では押し付けがましく感じる部分もあるかもしれない。
ファンにとってはそこが良いということになるんだけど、作り込みが激しければ激しいほど近寄りがたくなるという感覚なのかも。
『momoism』は遊佐プロデュースとして新たな展開を見せた作品でもあるし、野見祐二という強力なサウンドデザイナーを迎えて、しかもドラムレスという制限がかえって創造性を高めるという結果を生み出している。
この楽曲はそんな本作の中でも典型的なサウンドワールドであるし、だからこそもっと多くのリスナーに本作のクオリティの高さについて気づいてほしいと思うわけです。


6.「土の話」

 詞・曲:外間隆史 編:野見祐二
 野見祐二:computer & synthesizer programming
 高野寛:electric guitar・acoustic guitar
 MECKEN:bass
 遊佐未森:vox・background vocals

@junnovi:
第1の間が終わって、この曲から第2の間である「外間の間」が始まるね。と言っても次の「虫の話」と2曲だけだけど。

中身に入る前に一応曲の全体構成を。

<イントロ>(0:00~0:48)
A ときどき~(0:48~1:34)
B 夕暮れの~(1:34~1:53)
C feel me, feel me(1:53~2:25)
<間奏>(2:26~2:49)
A 誰にも~(2:49~3:36)
B ほのかに~(3:36~)
C 心に水を(3:58~4:32)
C feel me, feel me(4:32~5:05)
<アウトロ>(5:05~END)

私は当初このアルバムを三部構成と言ったけど、センセは四部構成と言った。で、何度も聴き返して、確かになって思うようになった。「外間の間」はやっぱり1つの部屋にしとかんとね。そしてそれの前後に第1の間と第3の間があって、そして水辺なエピローグ、更にボーナストラックとしての月夜のブルッキー。
だから「桃」のところで第1の間についての総括をするのが良いのかもね。

@tpopsreryo:
そうそう、四部構成と言っていた。ただし、ワタシとしては現実世界として1.「オルガン」と11.「月夜の散歩」は一括りでして、異世界編で「ロンド」〜「桃」で1章、「土の話」「虫の話」で2章、「一粒の予感」はシングルカットかつクライマックスバトルモードで3章、「水辺にて」「エピローグ」で4章、「ブルッキーのひつじ」はあくまでボートラ。という解釈です。改めての確認ですねw
なので、異世界編が4部構成で、それを現実世界編で挟み込んでるという印象なのです。

@junnovi:
センセ、「オルガン」と「月夜の散歩」のサンドイッチは、食べられないw
私はネコザメとブルッキーは遊佐未森の夢の中では友達くらいなんだろうと思ってるw

あ~、でも異世界っていう解釈、理解できるわ。
なんか、「オルガン」と「月夜の散歩」のセットって聞くと、センセも私も大好きな土屋昌巳のアルバム『Life in Mirrors』の「STAY IN HEAVEN」「PLANET MIRRORS」が実は音の架け橋(アーチ)がかかるんだよっていうセンセの説に、30年の時を隔てて戦慄を覚えたほど感動したんだけど、それを思い出させるようで、つい構えてしまうねんw

@tpopsreryo:
そんな話してたっけ?w 忘れてるな〜w

@junnovi:
え~!?w

@tpopsreryo:
今から読んでくるわw

@junnovi:
アルバム1曲目の「STAY IN HEAVEN」のイントロで、泉から湧き出すような上昇する虹みたいな音、アルバム最終曲の「PLANET MIRRORS」のイントロで、流れ星が落ちていくような鮮やかな下降する音、それはアルバム『Life in Mirrors』全体を覆う、大きなアーチになっててって話。めちゃ感動したのに!w

@tpopsreryo:
「EDUCATION」(GRASS VALLEY)の印象しかなかったわ〜w
というのは冗談として、確かに上昇音と下降音の対比は語っとったね。大きなアーチとまでは言ってないと思うけどw

@junnovi:
「対比」どまりやったっけ?w
ゴメン、勝手にだいぶ話を盛ってるかもw

あ、読み過ごしてしまいそうやったけど、その「EDUCATION」は学級崩壊ってやつ?w

@tpopsreryo:
結構盛ってるw 
でも確かに言いたかったのはそんなとこで、確かにアレに気づいた時は驚いたけどね。本人にその意図があったのかは定かではないですがw
でも、遊佐のは確信犯というかコンセプトとしては間違っていないと思う。でないとあそこに「エピローグ」は持ってこないしね。

「PLANET MIRRORS」の乱痴気騒ぎは「EDUCATION」と同類というのは揺るぎないでしょw

@junnovi:
土屋のギタープレイがご機嫌♪ 出口(雅之)の英語もご機嫌♪ 
やっぱり乱れてるw

そやねん、何で「エピローグ」があんなところに、つまりすごくヘンな位置に、座りの悪いところに置かれてるんやろうって。

@tpopsreryo:
そう、あそこが異世界編の終わりで、「月夜の散歩」の時点で現実に帰ってるねん。
これ以上話すと「月夜の散歩」の項がもったいないのでやめておくけどw

@junnovi:
あ~ナルホド。ずっと自分の中では説明がつかなくて。そういうことか~。あ~。へ~。そっか~。
じゃあそろそろ「外間の間」の話する?

@tpopsreryo:
実は「土の話」は外間というイメージじゃないねん。歌詞を聴かないからw

@junnovi:
センセの言う外間のイメージってどんなんやったっけ?
確か話した気もするんやけど、忘れてもうたw

@tpopsreryo:
外間隆史は音楽家のイメージじゃないのよね。
コンセプトメイカー。トータルディレクションの人。
その構築方法に作詞や作曲編曲を利用してるというだけで、他に代用する方法があれば音楽にこだわらないタイプのような印象やね。

で、この楽曲はね、外間楽曲なんだけど完全に野見サウンドに置き換えられているし、何よりギターパートが高野寛なのよね。
この印象が強くて長い間この「土の話」は高野寛のイメージなのw

@junnovi:
外間の作詞、外間の作曲なのに、野見祐二の音楽の態をなし、高野寛の個性が出てると!

@tpopsreryo:
アフリカンボイスのサンプルフレーズをメインに野見式シーケンスがピキピン♪ピキピン♪とアクセントを入れる。
この小説の尺の計算がハマる感覚が好きなんですよね。
シーケンスを使う楽曲が楽しいのはこの尺がビタッとハマった時。
今回のも明らかに自由なアフリカンボイスを違和感なく組み込んでいる部分は芸術的とも言えるね。
まあフレーズサンプリングでは当たり前の技なんだけどw
あと左から時々カラカラ♪って言ってるのも微笑ましいw

@junnovi:
高野寛の個性と言われると正直何か分からない。
『hullo hulloa』『RING』も当時チャレンジしたんだけど、どうも馴染めなくて、分からないまま…

あ、それ、ピンボールとか、三角比を連想するシーケンス!
sinθ、cosθ、tanθ。そこまでの距離、その高さ、傾きの距離。
打って、跳ね返って、行って返ってくるねん。

@tpopsreryo:
高野寛はシンガーソングライターというイメージがあるけど、本来はギタリストで。改造ギター使って多重録音プレイヤーなのよね。
なのでギターパートに彼の個性が現れる。

@junnovi:
私はギターよりもベースのうねりの方がよく聞こえることもあって目立つよ。
このアルバムで一番グルーヴィやなと。
逆にギターはリズムギターの役割に徹してる感じで、ハモンドオルガン風のフレーズとか、ベースとパーカッションで作ってるグルーヴ感とかに気が行ってしまう。

あと三角比のピキパキピキピンって鳴ってるピンボールで金属球がバネに小刻みに跳ね返ってるのが私もお気に入りのアレンジなんだけど、これを聞くともっと荒削りなんだけど、松岡英明の「T-R-Y」の前奏とかにある、クルクル反転するシーケンスフレーズを思い出してしまうねん。「T-R-Y」は好きな曲だったんで、それに寄せてるのもあるけど。

@tpopsreryo:
そう、そこなんですよ。本作で高野寛が参加しているのがこの曲だけなので彼のイメージだったけど、改めて聴いてみると高野色は余りないw
MECKENの高い音階でうねるベースの方が確かに間違いなく主張しているね。

なるほど松岡英明の「T-R-Y」ね。だから三角比なのか。トライアングル…w

冗談はさておき、瑞々しさを前面に出してくる本作にあって、異質なほど土着的な印象を受けるのがこの楽曲なんだけど、やはりアフリカンボイスのインパクトやろうね。
それとハモンドというかアコーディオン風の、遊佐世界的に言えば風琴の音やね。
この2つの要素が水分の少なさを演出しているような気がする。
本作の中では実に個性的だと思うよ。虫の話ではまたオーガニックに戻るので。

@junnovi:
そや!ハモンドちゃうやん、アコーディオンやんw

弱起のアフリカンボイス。でも前奏はしっかりとした四拍子で余裕を持たせてる。満を持して始まるAメロは、スカッと入るのかなと思ったら弱起。だから歌詞を見てたら「え?そこで聯は切れてるのん?」って思う。「♪土の〜声〜何度も〜」のところ。「の」の後で切れる。変わってるわ〜。

@tpopsreryo:
その前奏への入りに関してはアフリカンボイスサンプルの長さと三角比シーケンスのおかげもあって変拍子っぽく推移するのが面白い。
2周目からは前曲に続いてまたアンドロイドボイスが駆け上がってくる。
このボイスの使い方が野見は非常に巧みなのよね。
Bメロでは高野のミニマルなギターがやや前面に出てきたり(これはミキシングの加減)、サビではグイッグイッというメッケンベースがうなりを上げていて、演奏としては実に楽しいね。
一見比較的生演奏が強い印象を受けるんだけど、実は結構打ち込み度が高いという、これも野見マジックの1つというわけ。

@junnovi:
うおー丁寧な分析だ〜。
2周目の話、触れたかったのにずっと忘れてた。さすがです。
で、私はこの曲かなり好きで、三角比シーケンスが楽しいのと「♪土の〜」のちょっとタメ気味に間延びした感じが好きやったり、サビの2回目で歌詞を変えて登場するところ「♪心に〜」って所は特に気持ちが昂ぶるねん。楽しい曲。
実を言うと、好き度で言えばトップかも!
アフリカンボイスは飽きてくると耳障りやけどw
なのでトップランクがより正確な言い方かも。

@tpopsreryo:
ワタシはあのアフリカンボイスがなければ凡庸な曲になったと思うけどねw
楽しい曲ではあるけれども、ちょっと乾いた感じがして本作では異色なので大好きという感じではないかな・・。

@junnovi:
お、意見が食い違いました。
思い返せば、外間のやろうとしていること、表現していることの周りで私はいつもウロウロしている。いつもどこかではまり切れないのだけど、ずっと気にしてて、相当気になる存在なのだろう。で、結局ちょいちょい拒否したりする。なんやねんw
この曲にはそんな肯定否定を含めた色んなものがあって、進んで単発で何度も聴きたいとまでは思わないけれど、アルバム全体の流れの中で楽しめる上々な曲という位置づけです。



ということで、今回はここまででございます。
折り返し地点ということで、次がラスト後編です。
「虫の話」〜「ブルッキーのひつじ」、そしてエンディングまで一気のクロストークです。気を抜けば脱線し過ぎる不親切なトークですが、これも我々の味ということでご容赦下さいませ。

それではまた次回、よろしくお願いいたします。

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