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雑巾で顔を拭いた話

歯医者に行く用事があり、自転車に乗って出かけた。

暑い。
照りつける日差しが容赦なく顔や腕に突き刺さる。


汗が顔をつたい、鞄からタオルを出そうと自転車を脇に止めた。


ない。
タオルが入っていない。

そんなバカな。
この猛暑日に?

財布と携帯に並び必需品であるタオルを忘れるなんて、なんたる失態。


流れる汗を手で拭いながら、コンビニに入る。
タオルタオル…タオルはどこだ。


あった!
小さく畳まれて袋に入っているハンドタオルを見つけた。

値段を見て驚愕。
560円…だと…?


好きなキャラクターなわけでもない。ただの縞模様の小さなタオルに払う金額ではない。
が、汗は容赦なく流れてくる。


仕方ない…買うか?
迷いながら店内をうろつく。


そこでふと、100円均一の棚が目に入った。
何気なく眺めていた私だったが、棚の一角を見て立ち止まる。


そこには、大きく「綿ぞうきん」と書かれた雑巾が置いてあったのだ。

なんてことだ。
2枚も入っていて、税込110円!

先ほどのタオルの5分の1の値段だ。
2枚入りだから、実質10分の1か。

しかし、雑巾。。。
雑巾……。。。


やはり顔を拭くのは、多少躊躇われる。
見た目的にも「あの人が使ってるの、雑巾じゃない?」と思われそうな。。。


しかし。
背に腹は変えられない。
好きな模様でもない小さなタオルごときに560円も払える余裕は、私の財布にはないのだ。


開き直って、雑巾を手に持ち、レジに持って行った。
お金を払い、店を出る。


早速中から一枚取り出し、顔を拭いた。
流れる汗がさっと吸水され、清々しい気持ちになる。
なんて気持ちいいんだ…!!

さすが、「吸収性の良い、綿ぞうきん」と書いてあるだけある。


雑巾といっても、床を拭いたあとってわけじゃないし。
今はまだ、ただの綿の布である。
躊躇したが買ってよかった。

今日1日は、大事にこの一枚を使おうと思う。

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