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#30【胸郭出口】胸郭出口症候群について復習しましょう。

なんだか近々胸郭出口症候群の方の来院がありそうな予感がするので、復習しておこうかと思います。患者さんのためにも、しっかり復習しましょう。


1.胸郭出口症候群とは?

胸郭出口症候群というのは、上肢に出る痛みやしびれなどの症状を示す総称であり、これ自体が病態を適切に表現している病名ではありません。坐骨神経痛と似たようなものですね。

「胸郭出口」において問題が起こると上肢に症状が出るので、胸郭出口症候群と呼んでいるのです。では胸郭出口とはどこでしょうか。

胸郭出口 Thanks to @visiblebody

まあ、だいたいこの辺りですね。頚椎から出る腕神経叢の通り道だと思っておきましょう。
この胸郭出口の部分で神経や血管に何かしら問題が起こると、上肢に痛みやしびれが出るようになります。上肢にしびれや痛みが出る病気は他にもありますので、注意が必要です。

2.胸郭出口症候群の種類

痛みやしびれの原因は、神経や血管の圧迫だと一般的には言われています。では胸郭出口のどこでも圧迫が起こりうるのかというとそうではありません。
圧迫が起こる場所は大まかに3部位あると言われていますのでそちらを紹介していきます。

2-1.斜角筋症候群

腕神経叢(C5~T1)と鎖骨下動脈は頚椎から上肢に向かう際に、前斜角筋と中斜角筋の間を通ります。斜角筋隙と呼ばれる筋と筋の隙間ですが、ここで神経や血管が圧迫されると、斜角筋症候群と言われます。

斜角筋症候群 Thanks to @visiblebody

前斜角筋と中斜角筋を青くハイライトにしています。その間を通っている黄色い神経の束が腕神経叢です(動脈は表示されていません)。

2-2.肋鎖症候群

斜角筋隙を超えた神経と血管は鎖骨の下をくぐって上肢の方へ向かいます。鎖骨のすぐ下には第1肋骨がありますので、ここの隙間は非常に狭くなっています。ですので、ここでも神経や血管が圧迫されることがあります。
これを肋鎖症候群と言います。

肋鎖症候群 Thanks to @visiblebody

神経の束が鎖骨と肋骨の間を通っているのがわかると思います。

2-3.小胸筋症候群

神経と血管は鎖骨の下をくぐった後、烏口突起の下方を通って上肢の方へ向かいます。この烏口突起には胸郭に伸びる小胸筋が付着しており、烏口突起と小胸筋でつくられたトンネルをくぐらなければいけません。しかし例に違わずここでも神経や血管が圧迫されることがあります。
これを小胸筋症候群と言います。

小胸筋症候群 Thanks to @visiblebody

小胸筋の下を神経の束が通っているのがわかると思います。

以上の3部位が神経と血管の圧迫が起こりやすい部位になります。そしてこれら3つの症候群を総称して胸郭出口症候群と言います。

3.胸郭出口症候群の整形外科テスト

胸郭出口症候群の鑑別は非常に難しいですが、徒手でできる整形外科テストがあります。お医者さんではない私たち整体師は、このテストを駆使して患者さんの病態を把握できるよう努めています。
(詳しいテスト方法までは書きませんので、ググってください)

斜角筋症候群には、「アレンテスト」と「アドソンテスト」
肋鎖症候群には、「エデンテスト」
小胸筋症候群には、「ライトテスト」

他にもテスト法はありますが、この4つを完璧にしておけば問題ないかと考えています。
またテストを実施する際には、ライト→アレン→アドソン→エデンの順で行うとスムースにできると思っています。
(ライトテストが陽性であれば、アレンテストは飛ばしていいと思います)

以上、胸郭出口症候群についての復習記事でした。
いつどんな方が来院されても自信を持って対応できるように準備しておきたいものですね。頑張りましょう。
ま、どうしてもというときは患者さんを待たせておいて奥で調べ物をすることもありますが笑

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