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#33【足関節】ガニ股には2パターンある。

…と、ふと思ったので書いてみます。

簡潔に言うと、足首の硬いガニ股と足首の柔らかいガニ股です。
足首の柔らかいガニ股は、一般的にはO脚と呼ばれているやつです。ガニ股が2パターンというよりは、ガニ股とO脚は違うということですね。
ということで、今回はガニ股とO脚の違いについて考える記事です。(タイトル詐欺すみません)


1.ガニ股とO脚の違い

ガニ股とO脚は違うという記事は、検索すればすぐ出てきます。どちらもつま先が外を向いているのですが、注目すべきは膝関節です。
膝が外を向いているのがガニ股で、内を向いているのがO脚だという書き方がよくされています。

これは立位での評価なので、膝で起こっている現象は足関節の影響を強く受けているはすです。
膝の向きを見ればいいと言えばそれまでです。でも実はその違いを生み出しているのは足首かもしれません。私はそれを仮説として提示したいと思っています。

ズバリその仮説とは、足首が硬くて外を向いているのがガニ股、足首が柔らかくて外を向いているのがO脚、というものです。

2.足首が「硬い」「柔らかい」とは?

足首が「硬い」「柔らかい」と言いましたが、正確には「足部の柔らかさ」と言うべきかもしれません。ですので、足部が柔らかいかどうかによって、ガニ股とO脚の違いが生まれるのではという仮説です。

足首の背屈制限に対して下肢全体を外旋させるのが足部が硬い場合の戦略で、こちらはガニ股です。
一方足首の背屈制限に対して、アーチを崩して足先を外転させながら背屈させるのが、足部が柔らかい場合の戦略です。こちらはO脚です。

もう少し詳しく説明します。

脛骨と腓骨が構成する距腿関節の前方は、解剖学的肢位で前額面に対して平行ではなく若干外方を向いています。これは腓骨の方が脛骨よりも後方に位置しているからです。
ですので、距骨も外方を向く方が関節の適合は良くなります。
(そういう意味ではつま先が外を向いてるのが自然なのかもしれません)

脛骨は腓骨よりも若干前に出ている。 Thanks to @visiblebody

しかし、あくまで解剖学的肢位ではつま先は正面を向いています。距骨は基本的にはつま先と同じ方向を向くはずです。
この矛盾を解決する方法は2つあります。
すなわち①距骨を外旋させて下腿と方向を合わせるか、②下腿を内旋させて距骨と方向を合わせるかの2つです。

距腿関節の適合を高める2つの戦略

①距骨を外旋させて下腿と方向を合わせる。

②下腿を内旋させて距骨と方向を合わせる。

3.外反足と内反足とも言えそうだ。

内反足と外反足の違いとも言えるかもしれません。内反、外反とは踵骨の傾きの事を言っています。

内反足は踵骨が外方に倒れている状態を言い、内反足ではアーチが上がるので足部が硬くなります。運動連鎖ではアーチが上がると下腿は外旋すると言われています。
下腿が外旋すると下肢も全体として外旋し、足先は外側を向きます。これは先ほどの①の戦略であり、足部が硬い場合の戦略でもあり、ガニ股と言われるものです。

外反足は踵骨が内方に倒れているので、アーチが下がります。これは足部が緩んでいる状態で、下腿は内旋すると言われています。
アーチが下がると足先は外転方向に動きますので(ショパール関節の外転)足先は外側を向きます。これほ先ほどの②の戦略であり、足部が柔らかい場合の戦略であり、O脚と言われるものです。

※足部の運動連鎖についてメモを書いてますので興味があればリンクの記事をご覧ください。

4.まとめ

ちょっとややこしくなってしまったので、まとめます。

まず、解剖学的肢位では距骨はまっすぐ前を向いているが、脛骨と腓骨による関節面は外方を向いているという事実があります。
このねじれを解消する為には2つの戦略があります。すなわち、

①距骨を外旋させて下腿と方向を合わせる。

②下腿を内旋させて距骨と方向を合わせる。

①の距骨の外旋は踵骨の内反と同時に起こるので、アーチが上がり足部は硬くなります。つまり、足部が硬くてつま先が外を向いてしまうのがガニ股です。

②の下腿の内旋は、踵骨の外反と同時に起こるので、アーチが下がり足部は柔らかくなります。つまり、足部が柔らかくてつま先が外を向いてしまうのがO脚です。

いかがでしょうか。
ガニ股、O脚の違いは足部の柔軟性が影響している可能性があるという私の思いつきの仮説でした。
臨床で役に立つときがくるかもしれませんので、参考になれば幸いです。

5.膝の疾患の危険因子になり得る。

これらガニ股やO脚は膝疾患の危険因子となり得ます。O脚が膝に良くないというのは一般的にも広く知られているのではないでしょうか。

膝が広がってヨタヨタと歩いている高齢者を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
O脚は変形性膝関節症につながりやすいと言われています。変形性膝関節症は疼痛も激しく、日常生活が困難になれば人工関節置換術の適応にもなります。

ガニ股も膝の捻れを呈していることがあるので要注意です。膝蓋骨が外側を向いていればとりあえずは良いかと思いますが、内を向いている方も少なくありません。
これは膝関節が過度に外旋して捻れている証拠です。膝関節の過外旋症候群などとも呼ばれますが、膝疾患の危険因子の一つです。

これについては、スクインティングパテラと呼ばれる現象をメモとして書いてますので是非ご覧ください。

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