#29【足関節】足関節背屈制限の弊害
最近、下腿三頭筋のストレッチを患者さんに指導することが多いです。「ふくらはぎのストレッチだけでいいのでやってください」とよく言ってます。
何故かと言うと、診させていただく患者さんの多くの方に足関節の背屈制限があるからです。
足関節の背屈制限があることの弊害が人体にとってとても大きいような気がしています。今回はそこを考えていきたいと思います。
1.足関節の底屈は内反も伴う
足関節の背屈制限があるということは、足関節が常に底屈位にあるということです。そして足関節は底屈すると自然と内反するような形態になっています。
ベッドに仰向けになったときに、つま先が天井を向いているのが底背屈の中間位です。下肢が外旋して外を向いている場合もありますが…
たまにいらっしゃるのが、仰向けになった時につま先が真っ直ぐ下方向を向いている方です。バレエ選手のようにつま先をピンと尖らせているので、足背が天井を向いています。
仰向けで脱力した状態でそうなっているということは、足関節は底屈位で固まっているということです。
繰り返しになりますが、足関節が底屈していれば自然と内反位にもなってしまいます。
2.足関節の内反は下肢の外旋につながる
足関節が内反していると運動連鎖で下腿は外旋します。下腿が外旋すればそのまま大腿骨も外旋され、股関節は外旋します。
足関節が内反すると足の外側に荷重がかかりやすくなりますので、自然と下肢の外側に負担がかかりやすくなります。
具体的には大腿部の外側広筋などがパンパンに張ってきます。それを外側から押さえている腸脛靭帯も突っ張ってきます。
大腿部の外側を押すと痛みが強い方が多いのはその為です。
これは腰痛などの原因にもなってきますので、体の外側が固くなってしまうような状況は避けたいところです。
3.外側荷重はコスパが悪い
なぜ体の外側が固くなるのが腰椎などの原因となるのでしょうか?ここからは私見を交えて説明していきます。
人には重心があり、だいたい仙骨の前面あたりにあります。私たちが起き上がったり歩いたりするのは、言い換えれば重心を持ち上げたり移動させたりしているのです。
体の外側が固くなるというのは体の外側に荷重がかかり過ぎているということで、荷重は外側に行けば行くほど重心との距離が離れてしまいます。
てこをイメージしていただければ良いのですが、荷重が重心から離れれば離れるほど、体が不安定になります。不安定になればなるほど制御する必要性が高まりますので、それはつまり余計な筋力発揮が必要になるということでしょう。
外側重心で歩いている方は、重心を前に運ぶのに加えて、重心を安定させる必要があるためよりエネルギーを消費してしまうことが想像されます。
当然筋の疲労にもつながりますし、筋の収縮能力が下がると筋の虚血から疼痛につながるかもしれません。
4.股関節の外旋もコスパが悪い
これは以前反り腰の記事でも書きましたが、股関節の外旋はコスパが悪い可能性があります。
股関節はその形態上、立位では内旋位のほうが骨的に安定するようにできています。
詳しくはリンクの記事をご覧ください。
骨的に安定するということは、立位で姿勢保持するのに余計な筋力発揮が必要ないということです。
逆に股関節の外旋位では、多くの筋が収縮しますのでその分多くのエネルギーを使っています。
股関節の外旋筋が6つもあるのに対して股関節の内旋筋がほとんどないことからも、その可能性が考えられます。
余計なエネルギーを使い過ぎるということはそれだけ疲労しやすいということなので、外側荷重同様に腰痛などに繋がりやすい可能性も高まるでしょう。
以上、足関節の背屈制限の弊害について書いてみました。
足関節が固い方は本当に多いという印象があります。足首固いよという方がいらっしゃれば、今回の記事のような視点で体を見てみると施術のヒントが見えてくるかもしれません。是非参考にされてください!
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