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#20【シンスプリント】脛骨過労性骨膜炎について復習しましょう。

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)について、復習していきましょう。

個人的にはスポーツ障害の代表格で、放置していると疲労骨折にもつながる厄介な怪我だと考えています。
私も過度なランニングで疲労骨折一歩手前まで行ったことがあるので、その痛みはよく知っています。

一般的にはシンスプリントと呼ばれていますが、専門的には脛骨過労性骨膜炎と言います。
今回はこの脛骨過労性骨膜炎について、病態と原因、評価について確認していきます。


1.脛骨過労性骨膜炎の病態

脛骨をチェックしましょう。
青いハイライトを入れているのが脛骨です。

脛骨 Thanks to @visiblebody

そして脛骨の内側、赤丸をつけているあたりに疼痛が出現してくるのが脛骨過労性骨膜炎です。

脛骨過労性骨膜炎の好発部位 Thanks to @visiblebody

ちょうど脛骨を三等分して、上、中、下で痛みが出やすい場所を分類できます。個人的には一番下の丸の部分に炎症が起こることが多いという印象があります。

脛骨過労性骨膜炎とはその名の通り脛骨の骨膜の炎症で、脛骨の内側面に発症することが多いです。下腿後面内側の筋がその付着部である脛骨内側の骨膜を繰り返し牽引することで、脛骨骨膜が損傷し炎症をきたしているのがその実態です。

下腿後面内側には、腓腹筋、ヒラメ筋、長趾屈筋、後脛骨筋などが付着しています。どの筋が最も原因となっているのかについては統一した見解は無いと思います。個人的には、ヒラメ筋や後脛骨筋だと考えています。

2.脛骨過労性骨膜炎の原因

脛骨過労性骨膜炎は、反復する運動による怪我なのでスポーツ障害に分類されます。ランニング、ジャンプ、ターン、ストップなどのスポーツ動作を繰り返し行うと、足関節底屈筋の筋群に疲労が起こり、これらの筋の伸展性が低下します。

伸展性が低下した筋をさらに収縮させ続けると、筋の付着部である骨膜が繰り返し牽引されますので、組織の損傷が起こり炎症して疼痛が出てきます。

足部の疲労に繋がりやすいアライメント異常や動作の異常があると、脛骨過労性骨膜炎を発症するリスクが上がります。直接の原因はオーバーワークですが、足関節底屈筋群への負荷を増大させるような要因についても考えていく必要があります。

3.脛骨過労性骨膜炎の評価

脛骨過労性骨膜炎は、脛骨内側縁を中心とした広がりを有する疼痛、圧痛です。脛骨と筋のすきまをなぞると溝ができますが、その溝をなぞった際に炎症部に指が当たると鋭い痛みが出ます。

問診のポイントとしては、使いすぎていないか、運動量が変化していないか、運動する環境が変わっていないか(グラウンドのサーフェスの変化など)などの情報を集めます。
発症する年齢としては12~13歳や15~16歳に多いと言われています。これは、ちょうど進学する年にあたる年齢で、小学生から中学生、中学生から高校生へと進学した際にスポーツ活動の量が急激に増加することがあるからです。

画像診断としては、単純X線像では異常が見られないことが多いです。軟部組織も確認できるMRIなどが有効になります。

また長期間痛みを放置しているような例では、同部位に疲労骨折が起こっている可能性もあります。疲労骨折はX線でも確認できるのですが、骨折して比較的早期の間は骨折線を確認しづらい場合もあります。疲労骨折との鑑別をする意味でも、早期のMRI撮影は必要だと考えられます。

以上、脛骨過労性骨膜炎について、病態と原因、評価についてでした。
次回は、実際の脛骨過労性骨膜炎の方に対する施術について書いていきます。施術するだけでなく、アライメントの改善や自分でできるケアの指導も重要だと思いますので、そのあたりも書いていけたらと思っています。

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