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香の色もまた、うつりにけり

20代の頃、好きだった香水の香り。ブルガリ オムニア アメジスト。

清楚でさわやかな香りで、ふわふわスカートをはいた女の子というよりは、
ボトルカラーの紫色のように、白いシャツに細身のパンツの上品な知的お姉さんってイメージ。20代後半だったわたしには、少し背伸びして高貴な気分にさせてくれる好きな香りだった。

この香りなら流行り廃りもなく、いつ嗅いでもイイ香りだろう。
そんなわけで買うのはいつでもいいか、とボトル買うのを後回しにしていた。

そして先日、たまたまショップにオムニア アメジストが並んでいるのを見つけ、手にとって香りを試してみた。久しぶりの香りで期待が高まる。

え!あれ?あっま!!

想定外の甘さに、びっくらこいたのであります。

嗅覚というのは、もっとも本能に近い感覚という話を聞いたことがある。
単純に自分の本能が「甘すぎる!」と感じたのか、実年齢イメージと比べて甘すぎる!と理性が反応したのか、どちらが先なのかはわからないけど、「甘い」と感じた事実は否めない。

だけど、もし自分の本能が甘すぎると判断したのなら、わたしにはとても興味深い。なぜなら、香りの好みは不変だと思ってたから。

え…変わっちゃうんだ…この世には不変ってことはないのね、香りの好みに至っても…と世の無常と寂しさを感じる半面、
変わらないと思ってたことが覆った新鮮な驚きも半分。

それはそれと受け止めると、いまの自分の本能が欲する香りを探す楽しみも増えるね。

いまのわたしは、エルメスの地中海の海が好きです。
3年前から夏に多用している香りで、イチジクがポマードっぽいのだけど、その甘ったるさがなんだか心地よい。これがわたしのいまの本能。

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