とらじゃむ

書いている小説は、私の経験を元としたお話です(笑)

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最近の記事

【小説】お仕事はテストエンジニア!?第十話『エピローグ』【完結】

以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第十話『エピローグ』 「お疲れさまでした~~~!」 キン、とグラスを打ち鳴らす。 今日は2回目のリリース――最後に見つけたバグの後追いリリースが終わっての打ち上げだ。 場所はファミレス。 手ごろな値段で色々楽しめるし、なにより…… 「え、美月ちゃんが頼んだそれ……」 私の前に置かれたものをみて小毬さんが息をのんだ。 私からはついつい笑顔がこぼれる。 「これをずっと楽しみにしていたっ……!」 ――

    • 【小説】お仕事はテストエンジニア!?第九話『リリース当日に致命的なバグじゃない!?』

      以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第九話『リリース当日に致命的なバグじゃない!?』 「おはようございます――」 入社2日目にして始業時間ギリギリです……。 朝、目覚ましで起きれずでして……。 「美月ちゃん、おはよう~」 小毬さんが私に向けブンブンと手を振る。私もそれに軽く手を挙げ挨拶。 昨日深夜残業したというのにこの元気。 寝坊してしまった私とは大違いだ。 南雲くんは一瞬私に目を向けたが。 「……」 すぐにディスプレイに目を戻した

      • 【小説】お仕事はテストエンジニア!?第八話『グッバイ終電』

        以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第八話『グッバイ終電』 ――静かな部屋にキーボードをタイプする音とマウスを操作する音が響いている。 お、終わらない……。 テスト項目書を下にスクロールしてみる。 ――ズラ~リ …………。 まだ未実施のテスト項目がこんなに。 いやまぁ、私のやり方が悪いのはもちろんある。 どうしてもテスト項目だけでは足りなそうに思えて、先ほどと同じく気になったことを選別して試しながら進めている。 気になったら手を

        • 【小説】お仕事はテストエンジニア!?第七話『それって隠蔽じゃない!?』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第七話『それって隠蔽じゃない!?』 ――口火を切ったのは吉村リーダーだ。 「……日野、休憩入っていいぞ」 可哀想な人を見るような目だった 「わ、あの、疲れてるとかそういうのじゃなくてーっ」 違くてーっ、とワタワタしている。 う……。 小毬さん、すまん。 「ホントだ」 スマホを操作していた南雲くんが眉をひそめた。 「メインページに遷移すると出るね、コレ」 正解。 コメントはメインページに書くことができ

        【小説】お仕事はテストエンジニア!?第十話『エピローグ』【完結】

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第六話『テスト項目書が雑じゃない!?』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第六話『テスト項目書が雑じゃない!?』 「――よし!」 気合いを入れてテスト項目書に向き合った。 このチーム――企画者、開発者、テスト、デザインを含めたプロジェクトチーム――では仕様書が『聖典』となっていることは今までのやり取りからわかった。 もちろんそれは間違ってはいないと思う。 仕様書は『思い描いたものを正確に人に伝えるためのツール』なのだ。 仕様書でチームメンバーが共通認識を持ってコミュニケー

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第六話『テスト項目書が雑じゃない!?』

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第五話『仕様漏れじゃない!?』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第五話『仕様漏れじゃない!?』 「そしたらそのテスト項目書って書いてるエクセルを開いてみて」 大企業だとてっきり何かシステムを使っていると思ったら違うんだ……。 「みんなで共有してファイルを開いてるから気をつけてね。それで――」 ――グイグイ。グイグイ。 「……」 相変わらず小毬さんがグイグイくる件について。 いやもう、わざとくっついてるんじゃないかと思うほどなんだけど。 で。 ――キシャーァ!

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第五話『仕様漏れじゃない!?』

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第四話『仕様書が雑じゃない!?』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第四話『仕様書が雑じゃない!?』 仕様書とは、「こういうアプリを作ります」が記載された説明書みたいなものだ。 どこにどんな機能があるか、その機能でどういうことができるか、といったことが書かれている。 ゲームであれば、オプションにはセーブ機能とロード機能があって10か所まで保存可能、BGM設定とボイス設定があってBGMは10段階設定、ボイスは各キャラごとに10段階設定ができる。そういったことが記載された

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第四話『仕様書が雑じゃない!?』

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第三話『入社初日から人間関係構築に失敗しました』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第三話『入社初日から人間関係構築に失敗しました』 「ここがわたしたちのお部屋です」 ドアの前に可愛らしいプレートが下がっていて、そこに 『テスト第9部』 とこれまた丸っこい字で書いてある。 これ、絶対小毬さんが書いたやつ。 「そのプレート? わたし書いたんだ~」 ですよねー。 「失礼します――」 ガチャリ、とドアを開ける。 そこそこ広い部屋だ。壁際にはAndroidやiPhoneと書かれたキャビネッ

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第三話『入社初日から人間関係構築に失敗しました』

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第二話『テストエンジニアってなに!?』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第二話『テストエンジニアってなに!?』 ――テスト、という言葉は知っている。 学校のテストではない。正確にはソフトウェアテストだ。 例えば私がコード、つまりプログラムを書くときの話だ。 多くのプログラムではメソッドや関数と呼ばれる、小さいプログラムの部品を書く。 その部品に対して「想定したデータが来たとき、想定した通り動くか」というテストをするためのプログラム――テストコードというものを書く。 このテ

          【小説】お仕事はテストエンジニア!?第二話『テストエンジニアってなに!?』

          【小説】お仕事はテストエンジニア!? 第一話『乙女ゲー開発者、テストエンジニアになる』

          以下のサイトに投稿しているお話と同じです。 お仕事はテストエンジニア!?第一話『乙女ゲー開発者、テストエンジニアになる』 「――乙女ゲーム開発、さすがにもうやめるよ」 スマホ越しにイラスト担当兼親友から『美月、もう少し考えてみたら……?』や『せっかくファンもついてくれたのに』と聞こえてくる。 「ごめんね。ありがとね」 『…………』 何か言おうとするが思い浮かばないといった雰囲気を感じながら、私は通話を終了した。 私は昔から何かを作ることが好きだった。 中学の頃にはオタク

          【小説】お仕事はテストエンジニア!? 第一話『乙女ゲー開発者、テストエンジニアになる』